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【演劇を観た】タテヨコ企画『谷繁2』の質問への回答

先日、タテヨコ企画さんの演劇『谷繁2』のアフタートークにゲストとして登壇し、
「この芝居は僕には移民とか外国人をめぐる寓話に見えた」
「だがこの劇のベースは、『親』という、誰にとっても不条理で、誰もが感情的になって冷静でいられない存在が描かれている」
「さまざまな切り口で語れる多層的な脚本で素晴らしい」
などなど、ひたすら絶賛し、
会場での質問には
「日本映画は他の国の映画と比べて演劇と近いところにある」
とか「まぁお喋りな男だこと!」と自分でも呆れるくらい喋った。

タテヨコ企画の作・演出は「青年団」出身の横田修さん。
『谷繁2』はSF設定を持ったシチュエーション・コメディで、見え隠れする「親と子」のテーマがとてもエモーショナルで、笑いながらちょっと泣きそうになった。本当にいい作品。

ということで、Xを通して制作の若旦那から質問が届いたので答えていく。

あえてSF設定の作品を外して答えてみたい。

【1】

ハイバイ 『て』

まず一発目に映画じゃなくて演劇作品なので恐縮だが、
⚫️真ん中に不条理なものがある
⚫️しかしその不条理なものは大事件に至らず、それを取り巻く「家族」の現代的な姿や綺麗事じゃない悲喜こもごもが丁寧に描かれる
⚫️ベースはコメディ仕立てだが、リアルなホームドラマである
⚫️最初の軽妙な印象で隠されてるが、劇の後半へ行くに従い、骨太な作品だとわかる。

という点で似ている。『て』、ほんと傑作。


【2】

黒沢清 『ニンゲン合格』

これは現代日本映画を代表する監督の一人、黒沢清監督の映画で、似てる理由は【1】とまったく同じ。
自分にとって理想の映画監督の一人。


【3】

ツァイ・ミンリャン 『河』

挙げといてそんな似てない気もするが、
傑作台湾映画なので挙げとく。
【1】の理由から「コメディ要素」「軽妙さ」を取り除いたらこんな感じではないか。どうだ。
あと、コメディではないと書いたが、
思い出すと笑えるシリアスな不条理劇ではある。変な映画。


【4】

森崎東 『喜劇 女は度胸』

ここで小津安二郎とか言うとキレイだが、あえて同じ松竹映画で「小津のカウンター」と言っても過言じゃない森崎東のデビュー作を。
以前書いたブログに「一見は下町人情喜劇。しかしこだわるところはしっかりと、しかも映画の構造の中でこだわってるのがメタ的で現代的でかっこいい。」と評した映画。
このブログで分析したようなことを、演出の横田さんは日頃から考えていそうだと思った。↓



以上、4作品を紹介しました。これでいいですか若旦那?

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