タコつぼ化と不寛容

私は現在大学においてあるゼミに所属している。そのゼミの担当の教授の専門分野は政治学だ。

ゼミにおいては教授が新聞記事を抜粋してあらかじめそれをゼミ生全員に読ませる、そして担当のゼミ生がその新聞記事に取り上げられていることについて取り上げ皆の前でプレゼンをする。他のゼミ生は取り上げられていることについてサーベイしワードにまとめてあらかじめ全員に送付しなければならない。そして、発表者がプレゼンを終えると質疑応答やディスカッションが始まる。

今回のテーマは「憲法9条」だった。プレゼンターはゼミのなかでも優秀な学生だった。そして、私は憲法9条の学説について調べ、自民党の改憲案なども考慮し、今後の改憲への展望なども調べた。そして、それを5000字程度の文章にまとめて教授を含めたほかの学生に送付していた。

プレゼンターは「憲法9条」の制定過程からそれに関する、学説、議論を発表していった。優秀な学生だけあって私も触れていなかった事実を提示しており、非常に興味深かった。しかし、途中で「長いな」といって教授がプレゼンを切り上げた。「ここは憲法の授業じゃないんだよ」その言葉を皮切りにゼミ生への説教が始まった。

「ここはあくまで政治学のゼミだから」「憲法の学説を聞きに来ているわけじゃないんだ。」そして、憲法9条の条文をホワイトボードに書き、「憲法とは文字面、只これだけのことだ。」と言った。「憲法学者は行間を読むだけ、憲法学会なんて、東大や京大の先生が言ったことに対して後の学者がどっちにつくかつかないかというだけで、結局のところ結局偉い大学の論理に過ぎない。」「だから、君たちがそれに踏み込んだとしてもどちらが詳しいかの競争になるだけ。」「憲法は理想論で政治学は現実を見つめている。」私もメモをとってないので、主要なことしか抜粋できないが、要は「自分の専門外の分野に足を踏み込むな」ということと「憲法学はだめな学問だ」ということが言いたいのだろう。

この教授は憲法について学説を全くと言っていいほど理解していなかった。そして、学生がその領域で物事を語ろうとすると「ここは政治学のゼミ」などと独善的なラインを引いて、苦言を呈する。そして、仕舞にはよく理解していない憲法学や憲法学会のことを一知半解の理解に基づいて批判するのである。

これはかつて、壮大なタコつぼ化現象だ。そして、寛容性のなさだ。この教授は自分が詳しい分野のたこつぼを作り、嫌いな分野や踏み込めない分野については見ないようにしたり攻撃を加えたりする。「理解」や「受け入れるなど」の寛容性は持ち合わせないのだ。

そもそも憲法9条の話題で学説に触れないことなど、不可能に近い。それを自分の引いたボーダーラインの外にいるからと一刀両断するのであれば端から憲法9条の記事など提示しなければよかったのではないか。その教授の批判が論理性を欠いていることは明らかなのだ。

こんな教授が学生に「先生」と呼ばれているのだから、世の中は滑稽だ。


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