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カナダ支店長ではなく、フィリピンへの転職を決めた理由

転職しようか迷っている。

社会人であれば、誰もが一度は考えたことがあることです。
そんな転職に悩んでいる人の参考になればと思い、転職をした際の基準も含めて今回は書きます。

転職をする前までのnoteはこちら↓

転職前は夢だった海外事業部に入り、カナダ現地法人の立ち上げ準備を着々と進めていました。

そんな中、突然「転職」という選択肢が入ってきました。
選択肢はフィリピンで教育事業を展開するのベンチャー企業です。

なんとかして夢を掴んだのにその2年後に転職するとは夢にも思いませんでした。

今回はそんな「決断」の話です。

楽しかった海外事業部

海外事業部の仕事は大きく2つです。

1)海外法人の立ち上げ
 1人1支店の立ち上げが海外事業部員の任務。
 国選びから始まり、企画。最終的には自分自身が支店長として現地に駐在します。
2)外国人技能実習生の受け入れサポート

前職は24歳の若者でも現地法人の立ち上げを任せてくれるとても寛容な会社でした。

私は世界中の国からカナダを現地法人の場所に選びました。役員会でのプレゼンも終え、「2015年はカナダに進出しよう」と決まり、支社長としてカナダへ渡るのが目の前まで来ていました。

突然訪れたフィリピンでのチャンス

役員へのプレゼンをする1ヶ月前、尊敬している起業家の方(現勤務先の社長)から連絡がありました。

「今フィリピンでプログラミングと英語を教える教育事業を立ち上げている。原田の周りで良い営業マンいないか?」

条件は営業経験5年以上だったので新卒2年目の1年しか営業経験のない自分には当てはまっていませんでしたが、いつもの如く一言。

「それむしろ僕が興味あります。」

転職する予定はなかったのですが、昔から一緒に働きたいと思っていた社長からの話だったので興味はありました。事業内容を伺い興味が増したので選考に進み、内定をいただきました。

現地の同僚は海外のベンチャー企業らしく、東京大学出身者、起業経験者など優秀者揃いだったのでまさか内定がでるとは思わなかったのが正直なところです。
「やらない後悔よりやった後悔」
当たって砕けろの精神が功を奏しました。

「上場企業の海外支店長とフィリピンのベンチャー企業への転職」

普通に見たらどちらが良いかは明確でしたが、私はフィリピンのベンチャー企業への転職を選びました。

なんでフィリピンへの転職を選んだか

理由1:事業「プログラミングと英語教育の将来性」

これから日本は超少子高齢化社会に突入します。
約1.2億人の人口が2050年には1億人となり、生産年齢人口は約3,500万人となり、若年人口は約 900万人減少。
そして高齢化率は約20%から約40%に上昇すると言われています。

その結果、国全体が相対的に貧しくなっていくといわれています。

大手に入れば安定ではないし、終身雇用も崩壊しています。
親世代とはまったく異なる人生設計をする必要性を感じていました。

周りでも仕事の悩みを持っている人が多かったです。
「転職をしよう」と決めた時に選べるのは同業種になるので期待するような転職はできず、今の仕事をダラダラ続けていく、又は転職を繰り返しキャリア設計をうまく立てれない、そんな困っている人がたくさんいました。

IT人材は2020年には36.9万人、2030年には78.9万人不足すると言われています。そしてそれは日本だけではなく、世界中で不足し、2030年にはアメリカでも約100万人足りなくなると予想されています。

出典:経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」

もし「プログラミングと英語」というスキルを身につけることができたら、現状を打破する一筋の光になると思い、この教育事業に携わりたい、と感じました。

多くの人がこの教育事業で人生を変えられると確信していました。

また、これから人口減少により空き家が増えていくことを踏まえると前職の不動産業界に対する将来性は低いと感じました。

理由2:場所「世界一経済成長するフィリピンで働きたかった」


「流行る場所で流行るビジネスをしたい」
これは私がいつも二言目には言っていた言葉です。

じつは海外事業部で進出する国を選ぶ際、最後まで残していたのがフィリピンでした。それは2050年までに世界で一番成長する国だからです。

フィリピンのGDPは2010年時点で1120億ドルに対し、2050年には10倍以上の1兆6880億ドルになり、フィリピンの経済規模が世界第16位になると予測されています。

その大きな要因は人口動態。フィリピンは世界でもっとも長く人口ボーナス期(総人口に占める生産年齢人口比率が上人口1億人突破昇する期間)が続く国と言われ、2062年まで人口ボーナス期が継続すると試算されています。
高度経済成長の頃の日本はフィリピンと同じきれいな三角形、フィリピンは現在だけでなく、下記のように2050年になってもきれいな三角形を維持し続けます。

出典:幻冬舎 フィリピンの経済成長を支える「1億の人口」と「巨大な内需」

カナダは日本と同じ先進国。

それよりも「一度しかない人生ならリスクがあっても東南アジアで仕事をしてみたい、バブルを感じてみたい」と思いました。

理由3:人「この人についていって失敗したとしても納得できる」

最後は人です。将来は自分で事業をやりたいという思いがあります。
尊敬している人のもとで働くことで今後の長い将来を考えた時プラスになると思いました。

「一緒に働けるチャンスがあったのに働かない選択をしたら後悔する。万が一、失敗したとしても信じてついていった人なので自分なりに納得できる」

そう思うとフィリピンで働くことを決断できました。

悩み抜いて決断した転職

自分の中でフィリピンに行きたいということが明確になり、あとは上司に伝えるのみです。

とはいえ、タイミングは最悪でした。
内定が出たのは役員会議で「今年は原田のカナダにしよう」と決まった3日後でした。

上司に「大切な話がある」と伝え、退職届と一緒に退職の意向を伝えましたが、当然の大反対。

「せめて立ち上げてからいけ。その方がキャリアのためだ」

超わかる。絶対その方がいい。

ただフィリピンの会社に掛け合うと3ヶ月以上は待てない、という答えでした。

自分の中ではフィリピンに行きたい。だけどこの状況で投げ出していくことはできない。。

せっかく掴んだフィリピンでのチャンスなのに自ら手放さなければいけない。そう思うと涙が出てきて何回も枕を濡らしました。

いろんな人に相談しても悩む。そこで一番尊敬できる人に相談しよう。
それが今の社長でした。

社長「相談にのるのは良いけど俺はお前と働きたいと思ってるところの社長だぞ(笑)けどそれは置いて一人の男として相談にのるよ」

そして話している中で最後に言ってくれた一言が私を決断させました。

「悩んだらレアな方を選べ」

どちらもレアでしたが「可能性のあるビジネスを、将来性がある国で、尊敬している人と一緒に働ける」

それこそが私が思う「レア」でした。

そして心を鬼にして退職の旨を改めて上司に伝え、転職することを決めました。

不義理な辞め方

思い返しても本当に不義理な辞め方でした。
社会人として時間が経てば経つほど本当に申し訳なかったと痛感し、一生足を向けて寝れません。あの時は若さもあったかもしれません。

ただ常に自分の人生に対して正直に生きようという軸は今でも持っています。

野球をする時にギャラリーから文句をいう解説者ではなく、ピッチャーとして「この球で勝負を決めるんだ」とマウンドに立つ、そんな人生でありたい。

もう不義理はしませんが、これは私の人生の指針です。

退職前の秘話・転職をしてみて

転職をして5年が経ちましたが、未だにどちらが正解だったかは分かりません。ただそうやって決断したからこそ成功しなければ帰れないという環境を作ることができました。

最後に前職の上司と飲みに行った時、居酒屋で罵倒されました。

「お前は絶対後悔する」「フィリピンでうまくいくわけがない」

イライラしました。そしたら上司が言いました。

「お前、名刺出せ。"○○(元上司の呼び捨て)ふざけんな!絶対成功するまで帰ってこねぇぞ!"って名刺に書いて俺に渡せ。」

書いて渡しました。

「これでお前は成功するまで帰ってこれないな。応援してる。頑張れよ」

涙が出ました。居酒屋なのにひと目もはばからず号泣。
むしろこのnoteを書いている今も泣いています。

その掟があるから私は何もなしに日本へ帰ることができません。

フィリピンでも何回も悔し涙を流し、投げ出したくなるような出来事もありました。そんな時いつも元上司が持っている名刺を思い出します。

「ここで諦めるわけにはいかない。日本に帰れるわけがない。」

転職をした今でも彼に渡した名刺が私を支えてくれ、背中を押してくれています。

どちらが正解だったかはわからないけど、思い描いた通り今とても幸せです。転職をしてよかったと心の底から思っています。

正解だったかどうかは自分で正解にするまで顔晴るのみ。
※顔晴る:頑張るの造語です。辛い時でも顔はいつも晴れ!

人生山あり谷あり。自分のキャリア紆余曲折してるなと思います。

それでも自分で作っている人生、めっちゃ楽しいです。

鬼の気持ちで送り出してくれた元上司。
社内MVPを取ったタイミングで連絡したけど連絡返ってこなかったな。
もっと頑張れってことだと思っています。

成功して死ぬほど美味しい酒を僕の奢りで朝まで飲み明かすことが次の目標です。

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