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年収300万円台にして年間貯金100万円。月々14万円で猫と一緒に楽しく生活中

「こんなにもたくさんの物が手に入ったのに、私の暮らしは何故これほどまでに停滞し、どうして毎日不安に押しつぶされそうなのか――。」

 そんな悩みを抱えてうつむいていたなちさんが、どうやって不安を取り除き、自立して生きられるようになったのか。シンプルで、素朴で、前向き。『ひっそり暮らし』の前文を公開します。


10帖の1Kにあふれる物、物、物

 はじめに

 初めまして。
「ひっそり暮らし」というブログを運営している「なち」と申します。
 物事が長続きしない性格で、18 歳で社会人となってから転職も引っ越しも3回以上経験しました。

 続かないだけでなく先を読む力もなかったため、目先の収入のためにアルバイ3つ掛け持ちして、深夜まで働き詰めだったこともあります。現在は、学生の頃から興味があった住宅の会社に落ち着きました。

 18歳で念願の一人暮らしを始めてからは、欲しい物をどんどん買い集めました。10帖の1Kに、ソファ、ベッド、カウンターテーブル、キッチンワゴン。洋服も靴も収納に入り切らないほどあり、気に入った物は色違いもすべて買いました。

 料理の経験が全くないのに、オーブンレンジ、フードプロセッサー、ハンドミキサー、大きなサラダスピナーも買いました。 1Kの狭いキッチンは、食材ではなく道具で溢れていました。

 部屋が散らかり始めると、収納ケースや掃除道具などの便利グッズを買いました。どれも買ったら終わりで、気がつけば部屋の隅で埃をかぶっていました。


買っては捨て、捨てては買う。リセットを繰り返す

 猫を飼い始めても片付けが苦手なことは変わりません。事故の起きないよう、とにかく収納の中に押し込める日々。

 手当たり次第にその場しのぎの片付けを繰り返すため、大切な物をどこに入れたか思い出せず、毎日のように何かを探していました。あれがないこれがない、ここに入れたと思っても、それは何日も前の古い記憶だったり。物の住所という発想は 1ミリもありませんでした。

 こんなにもたくさんの物が手に入ったのに、私の暮らしは何故これほどまでに停滞し、どうして毎日不安に押しつぶされそうなのか。便利な道具に頼ってもうまくいかない自分の不出来に下を向くことしかできませんでした。

 しかし年に 1回ほど奮起する瞬間があります。何層にも積み重なり、複雑に絡み合った物の山。それらを 1つずつ解くよりも、全て捨ててゼロからやり直したほうが簡単だと、そうやって何度もリセットを繰り返しました。

 買っては捨て、捨てては買う。そんな不経済な活動の結果、クレジットカードのリボ払いは膨れ上がっていきましたが、そのループからの脱出方法が分からず、見て見ぬ振りを何年も続けました。


スーツケース1つに大切な物だけを詰めてみたら

 東日本大震災が 1つの転機でした。一瞬にして全てを奪っていった大災害を見て、自分にとって大切なものを見極めておかなければ、と考え始めたきっかけです。

 そんな折、スーツケース 1つで生活するというワードを目にしました。仕事や留学で飛び回っている人たちは、ホテルに備え付けの設備に加え、スーツケース 1つ分の私物だけで生活が成り立っています。それなら私の普段の生活に必要な物量も、それと同等なのではないかと––。

 すぐに機内持ち込みサイズの小さなスーツケースを買い、今まさに災害がおきて家を飛び出す瞬間だと想定して、大切な物だけを詰めました。入れた物は、印鑑などの貴重品と、大切な写真が入った HDDとノートパソコン、飼い猫のフォトブック、最後に少数の衛生用品。
  –––これまでの生活は何だったのかと脱力するほど、スーツケースはスキマだらけでした。

 それからは「シンプルライフ」「持たない暮らし」「ミニマリスト」「断捨離」と様々な近似ワードで WEB検索を繰り返し、数え切れないほどのブログや体験記を読み漁りま した。そこには物を手放して本当の自分を取り戻した、たくさんの先人たち。

 これまでの消費活動を改めるべく、買うときも捨てるときも熟考して、一時の感情で物を手に取らないようになりました。自分が心から求めるものだけを持ち、快適に暮らす。ようやく私も先人たちの仲間入りができた気がします。


誰かにもたれかかることなく、自分ひとりの足で立つ

 暮らしが楽になるとフットワークが軽くなり、他の悩みも解消したいと動き出します。それは主に家計管理と住宅に関する不安でした。家事に追われてないがしろだった家計簿が続けられるようになり、いかにお金を無駄にしてきたかを思い知りました。

 買うものが減ったので当然手元に残るお金が増え、終わりが見えなかったリボ残高も完済できました。

 月々の家計が安定しても将来のことは不透明なままでした。保険、税金、年金、介護。どうすれば正しい知識を得られるか考えた末に、ファイナンシャルプランナー級の資格を取りました。

 仕事にするつもりはなく、自分の人生設計のために受験。そして FPの勉強でお金に関する基礎知識を身につけると同時に、それが自ら進んで行動しなければ手に入らない情報であることにも驚きました。

 今住んでいる自宅は、リノベーションされた中古マンションです。20代のうちに住宅ローンを利用して買いました。

 賃貸を離れた理由は大きく2つ。一つは隣人など入居者の問題、一つは入居審査の問題です。中古を選んだ理由は、値崩れや売却損など金額に関する部分。

 過剰な物の供給から離れて、将来や住宅の不安を取り除いた結果、靄がかかって見えなかった望みや生きがいが浮かび上がり、人間らしく生きられるようになりました。

 大きなものは生み出せなくても、誰かにもたれかかることなく自分ひとりの足で立ち、ひっそり生きる。そんな生き方について書いたブログがこうして本になりました。この本を通じて誰かの暮らしが楽になれば本望です。

【目次】

1 私の小さな家計管理 2 小さな住まいと収納           3 小さな食事の楽しみ方 4 小さな暮らしと家事          5 小さなワードローブ 6 身軽を叶える持ち物            7 物選びのルール 8 引き算の美容                9 減らす、やめる 10 防災は日常の中に

【著者プロフィール】

平成生まれの女性会社員。
ファイナンシャルプランナーと宅建士の 資格を活かして
20代で分譲マンションを購入し、ひっそりと生活中。
年収300万円台にして年間100万円の貯金を目標にしつつ、
猫と熱帯魚を飼育、自動車も所有するなど贅沢に暮らしています。
家でペットが待っていてくれるので、
ヒトは1人でもにぎやかで楽しい毎日です。
ブログ ひっそり暮らし https://www.hiso-kura.com/












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