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後輩のお式Ⅲ(後)

コロナに入ってからというより、2021年、2022年、2023年だから マネージャーが亡くなって三年連続の、昨夜は満月の中秋の名月でした。 似た月を、12年前の秋にバンコクで、彼女と観ました。 秋に始まって四年に渡った、バンコクでの戦乱時間が終わり ほっとしてアトリエでの仕事を終えて珍しくマリさんと出かけた バンコクで一番天空に近いビルの屋上の、2011年の春の夜の写真。 2021年以前で、中秋の名月が満月だったのは、 2011年、2012年、2013年の秋です。 あの

    • 後輩のお式Ⅲ(前)

      出来立てのお色直しのペールピンクのワンピースドレスにお着替えをして 窓から、階段を降りて行く皆の背中を見送った、この木はよく憶えているのですが.. 気が付くともう夜で二次会の入場時で、 白のワンピースドレスに着替えも済んで、ヘアメイクさん達がラプンツェル風のコーディネートを。写真では私も一緒に花を挿していました。 後輩は幼少時にドイツで暮らしていたことがあって、だからか哲学的なところがあるというのか 高校生の時(修学旅行ででしたっけ)に告白をされて以来、ずっとお付き合いを

      • 最終フィッティング

        さくらこさんはお友達のご紹介でいらして下さったのですが お義母さまがひなぎくのことをずっと以前から知っていて、 逆に色々ひなぎくのお話聞いて偶然にびっくりしたんですと言われて お義母さまも一緒にと最終フィッティングを迎えました。 前回、さくらこさんなので桜の花の造花を髪に飾ってみたら 喜んで下さって、でも季節感が大切だねということになって 最後に秋桜とか秋明菊をお飾り出来たらいいなと思っていたら、 珍しい、フリルのような花びらのコスモスの花を見つけました。 お義母

        • 後輩のお式 Ⅱ

          白く光った春色の、秋の花々のラウンドブーケ この時はまだやり続けていた お色直しの、ペールピンクのドレスの身頃の刺繍と まるでハートで繋がっているかのようでした。 お式はデコラティブに刺繍のなされた、サテン衿のオフショルダーで。 ブーケは白紫陽花のキャスケード。写真のブーケは持ってみてただけですね お式の立ち会いはお義兄さんが。 この頃、仕上げを手伝いに来てくれた後輩が ずっと黙って一緒に仕上げてくれて.. でも「さきのさん、そろそろ..」と一言いいました。 それも

        後輩のお式Ⅲ(後)

          記憶が結婚に導く

          花嫁の撮影を屋外でしていると、かならず少女たちが寄って来ます。 男の子は目もくれないのですが。どこからともなく吸い寄せられて来ます。 以前に.. 保育士さんのお式に招かれた園児たちの中に 長時間、身も心も固まったように花嫁だけを凝視しながら 立ちつくすというより立ちすくんでた女の子に出会ったことがあって あんまり印象が強かったので後でお伺いすると あの子は甘えん坊で私も思い入れのつよい子なんですとお話下さって、 家族のように思ってたのかな。先生のことが大好きだったのね。と

          記憶が結婚に導く

          後輩のお式Ⅰ

          2013年秋のお式。雨の日比谷公園。 屋上のルーフバルコニーでお式のはずが..と 当日の朝には思いましたが 白紫陽花のブーケにピッタリだったんだと、 写真をすべて観る機会がやっと訪れて お式から十年後に初めて思いました。 コロナ前に、りょうま君が生まれて 6年経ったんだなと思っていたのに コロナがやっと終わったような今では、 もうすぐ10年前にもなります。 これは、二次会の前に帰られる前に撮った、お姉さんご夫婦。 小さな甥っ子の彼と花嫁の2shotをたくさん撮りました

          後輩のお式Ⅰ

          羽衣の伝説。「天人五衰」より 2

          結局、半年近く更新もしないままでしたが >主催した在バチカン日本大使館によると、バチカンでの能楽の公演は20  17年以来。能の代表作「羽衣」で天女が天空に帰って行く姿を演じると、大きな拍手が湧き起こった。 コロナの緊急事態宣言が3年3ヶ月ぶりに終了したところで https://www.it.emb-japan.go.jp/pdf/vatic_jp.pdf バチカンで「復活のキリスト」の公演のニュースを最近見かけて 書きかけのままだったこちらを思い出して。完成させないと

          羽衣の伝説。「天人五衰」より 2

          羽衣の伝説。「天人五衰」より

          「次第次第に天人たちは本多を軽んじて、波打ち際の水ちかく砂丘ちかくまで下りてきて、暗い松の下枝をくぐって飛んだりする。 そこで本多の目は、一時にすべてを括って見ることができず、目前の変転するほのめきに眩まされる。 たえず白い曼陀羅華が雨ってくる。簫笛琴箜篌の音が、天鼓の声がひびいてくる。 そのあいだを、青い髪や、裳裾や、袖や、肩から腕に纏うた生絹の領巾が風になびいて横流れに流れてゆく。 白い無垢なあらわな腹が突然目の前にたゆとうて来たり、彼方へ空を蹴ってゆく清らかな蹠

          羽衣の伝説。「天人五衰」より

          はじめに3

          結局ぜんぜん映画のことなど書かないでしまったので(もう一つnoteがあってそちらが文学系だったので こちらはビジュアル系にしようと確か..最初はエヴァンゲリオンの絵のことを..でもアーカイブして)とにかく、あらためてドレスや花嫁の話題にシフトし直してゆこうと、ハートの中のマネージャーと私も新しい景色に進もうと思いました(今朝のドーハの勝利は最高でした。)

          はじめに3

          Falling off 存在しない時間へ

          昨日、親友が教えてくれた文章 「太陽と地球が互いに触れることなく、中間にあるものもまったく使ってい     ないとしたら、この二つはどうやって互いを重力で「引き合っている」のか。 太陽と地球が直接引き合っているのではなく、それぞれが中間にあるものに順次作用しているのではないだろうか」 ゲーテの色彩論の、光と闇の話に通じていると思いました。 「だとすると、この二つの間には空間と時間しかないから、 ちょうど水に浸かった物体がそのまわりの水を押しのけるように、 太陽と地球がま

          Falling off 存在しない時間へ

          方丈の無常感、豊饒の無常観

          昨今、日本もですが コロナを経て世界が物騒なのででしょう 現在西欧で起こっている戦争からでしょうか 万が一もし、核兵器などが使用されたらと こんな書き込み文章を目にしました。 >人類は滅亡してしまうかもしれない >その場合、たとえ人類が滅びたとしても >この変化に満ちた宇宙はなんの変わりもなく >膨張を続けるであろう 太宰さんの人間失格で、主人公が精神病院に入れられて後、 真理だと自分に思われたのはこれだけのことでしたと呟いた ただいっさいは流れてゆきますという 方丈(ほ

          方丈の無常感、豊饒の無常観

          again and again and again.

          さらにまたつくるために、の続きで 明治記念館のお庭での写真。 今日11/3は、明治天皇の誕生日だそうなのです。 2年前のカレンダーを観てみると.. コロナを経てようやく一ヶ月前にお式を終えられた花嫁さまの、 仮縫い(つくる行程の最初です)をFedで発送していました。 マネージャーが..仮縫い製作だけになってしまいましたけど 製作に関わったご衣装の、2022年9/25が最後のお式になりました。 秋のお彼岸の終わる頃でした。 梅の花 よるは夢にも 見てしがな 闇のうつつの

          again and again and again.

          さらにまたつくるために、

          Immer wieder さらにまた、 マネージャーとの仕事を書き連ねてゆこうと他の方のnote巡りをしていると、バンコクに住んでいる方の記事にワット・アルンを見かけました。 ペニンシュラホテルの辺りの川沿いのジャスミンの木の場所から 船に乗って少し川をのぼってゆくとアルンがあります。 近くに、海軍の基地があったことに初めていま気が付いて、 このドレスをアップしたくなりました。 白椿の花びらの質感と似たWサテンシルクオーガンジーの造形のドレス、 この忠度のうたによく似

          さらにまたつくるために、

          Immer wieder さらにまた

          Immer wieder さらにまた Immer wieder, ob wir der Liebe Landschaft auch kennen, さらにまた、もし私たちが愛の風景だけではなく und den kleinen Kirchhof mit seinen klagenden Namen 幾つも痛ましい名前の付いた小さな墓地や und die furchtbar verschweigende Schlucht, in welcher die andern 人々の死ん

          Immer wieder さらにまた

          リャナンシーの続き(後)

          リャナンシーの撮影の、さいごの一枚によく似ていた写真が 今夏の終わり頃、二次会の時の写真ですと、 フロム:https://note.com/daisydress/n/nc9d16d29d5fe の花嫁さまから送られてきました。 フロムをご会場に搬入した時に、お支度室で見かけた英国製のワンピースドレスです。 昨年1月の二週間でアトリエマネージャーと仕上げた、 フロムの薔薇と桜、梅の花と星たちや、水の刺繍にもよく似ていました。 お支度室の壁にかかっていたこのドレスを、 ご会

          リャナンシーの続き(後)

          リャナンシーの続き(前)

          「リャナンシーは、アイルランドに伝わる若く美しい女性の姿をした妖精。  緑の丘の近くに現れていつも人間の男性に愛を求める、妖精の恋人。  リャナンシーの愛を受け入れた男性には、その命を代償に詩の才能が与え られます。  ケルトの芸術家とくに詩人が短命に終わるのは、彼らが彼女に恋をして命 を削りながら最高の作品をつくり出したからという伝説が。 リャナンシーの姿は彼女が気に入った男性以外の人間には見えないそう」 ひなぎくというのは 昔亡くした女の子が成人するまで20年続けた

          リャナンシーの続き(前)