リャナンシーの続き(前)
「リャナンシーは、アイルランドに伝わる若く美しい女性の姿をした妖精。 緑の丘の近くに現れていつも人間の男性に愛を求める、妖精の恋人。
リャナンシーの愛を受け入れた男性には、その命を代償に詩の才能が与え られます。
ケルトの芸術家とくに詩人が短命に終わるのは、彼らが彼女に恋をして命 を削りながら最高の作品をつくり出したからという伝説が。
リャナンシーの姿は彼女が気に入った男性以外の人間には見えないそう」
ひなぎくというのは
昔亡くした女の子が成人するまで20年続けたSiestaと
コロナで亡くなったアトリエマネージャーとの夢のDaisyのはざまのことで
Daisyの夢というのは夢から覚めることで
自分たちの気儘にプレタ(既製)ラインだけをつくろうとしていたことで
だからひなぎくは、その両者のはざまの境界の時間のことでした。
もう数千着も0からつくったからこれからは
自分たちのつくりたいものを一からのんびりでもリアルにと
アトリエの部屋で夜更けにマネージャーと話したことがありましたので
'96年から20年が経って
2008年から3年間で心の残った場所を毎日窓から眺めて
すべての季節を一度ずつ過ごしたら
2015年から16年の一年でひなぎくを終えるつもりでした。
3年も延びたけど2019年の秋にひなぎくを終えようとして
8月の早朝に撮った、最後のプレタ(既存オーダード)の撮影をした、
これがさいごの一枚。リャナンシーというドレスでした。
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