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クラスがしんどい。 その4 気になる生徒との関係性をあたためる、ちょっとしたコツ。

 さあ、ここまでの復習をしましょう。
 このnoteでは、クラスがしんどくなってきたなあと悩む先生が、まずどんなことをやればいいのかを書いてきました。ぜひ前の記事をお読みください。まず大前提!ヤバいと思ったら、クラスから逃げてください。あなたのせいではありません。こうなったのは学校、教職員のパワーバランス、地域、子ども、家庭などのあらゆる原因が重なり合って、ただあなたのクラスで表面化しただけなのです。だからいったん逃げるが勝ちなのです。それを指導力が不足しているだとか言って一括りにするような管理職がいたら、心の中で笑い飛ばしてやりましょう。
 そして、ここまでは、主に教師である「あなた」と「気になる生徒」との関係性をどうするかについて書いてきました。私がクラスのことでしんどいなあと思うのは、たいてい生徒との人間関係の悩みです。
 だから、まずは教育よりも人づきあいすると思って、気になる生徒のことを知ろうとすることからはじめましょう。好きなものや嫌いなもの、今興味を持っているものなど、普通の大人同士がお互いを知り合い方と同じ様に、フラットな人間関係をまずは築く。教育してやろうとか、指導してやろうとか思うのはその後でも大丈夫です。
 こういうことを指導力バリバリの人がきくと、「そんなのは子どもと馴れ合いの関係をつくるだけで、教師と生徒の関係性とは違うんだ!」と言うはずです。そう言う人にはそれが正解なのかもしれません。ベースの人間関係を築こうとしなくとも、授業をやったり生徒とやりとりができる人はいます。でも、そう言う人だって、自分が意識してないところで生徒と人間関係を築いている場合もあるのです。例えば行事や休み時間、中学校で言えば部活動など、ここぞと言う時に生徒と深く関わって、関係性をつくるのがうまい。もしくは、生徒の方が「ああ、この先生話通じないな。」と諦めていて、教師もその関係性を共謀しているとか。いろんな形があるのも事実です。

 ただ一つ言えるのは、クラスがしんどいなあと思う先生って、それだけ人間関係に対する感受性というか、人と人との関わり合いを大事にしているからこそ、それが上手くいかない時にしんどいと思うのではないでしょうか。私はむしろ、そういう先生の方が、生徒たちにとってはよい先生じゃないのかなあと思っています。

 前置きが長くなってしまいましたが本題に入りましょう。ここまで「あなた」と「気になる生徒」との関係性をどうするかについて書いてきた、とさっきも言いましたが、小技よりもスタンスというか、心持ちについて話してきたように思います。なので今回は、

気になる生徒との関係性をつくる小技

について話したいと思います。思いついた順番で。

  • まずは質より量。その生徒にたくさん声をかけましょう。「おはよう」から始まって、「元気?」とか「前の授業どうだった?」とか、何気ない声かけでも構いません。まずは関わる量を意識しましょう。実は、気になる生徒ってこちらから関わることを避けがちです。向こうから寄ってくることもないので、結局会話するのは注意や苦言を言うときだけ、なんてこともしばしば。そうなると、あなたにとって生徒は「なんか口を開けば注意しかしてこないやつ」になっています!

  • 全体の前で注意をしない。気になる生徒を全体の前で注意すると、ほら、やっぱりあいつは自分を注意する対象としか見ていない!と思ってしまいます。というか、大人でも嫌じゃないですか?全体の前で注意されるの笑。だから、なるべく落ち着いた場所で、落ち着いて話をしましょう。もし、つい全体で注意してしまったら、後で呼んで「あのときはみんなの前で注意してごめんね。あの時はね‥‥。」と話をしましょう。

  • 他の先生の授業で何かやらかして謝る場面があったら、生徒と一緒に謝りましょう。ありますよね、「謝罪の会」笑。名前の通り生徒が謝罪する場を設定するのですが、私はあんまり意味がないと思っています。でも、若い先生に拒否権はないと思うので、もし生徒が謝ることをやってしまったとしたら、あなたも担任として誰かに謝っている姿を見せましょう。生徒にとって、一緒に謝ってくれる誰かがいるって、結構心強いのかもしれません。私はこの後、生徒との関係がすこしほぐれたなあと思うことがありました。

  • その生徒の良いところを、他の生徒に伝えましょう。全体に言ったりするのではなく、何気ない雑談で「でもさあ、〇〇って、こういうところでやさしいよねー。」とか「〇〇のおかげて、あのとき本当に助かったんだよ。」とか。気になる生徒って、クラスの中でも若干浮いてしまったり、一部の生徒から疎まれたりしています。意外な一面を教えてあげると、その生徒の言動をちょっと許容できるようになります。

  • 個別に勉強を教えましょう。別に1対1ではなく、休み時間に他の生徒を教えているところに、その生徒を誘ったりするとよいかもしれません。気になる生徒って、授業でも勉強がしんどかったりします。そういう生徒は、授業中先生が全体に向けて喋っていることのほとんどを理解していません。聞くことができないんです。それが「こいつ話通じない」という判断の材料になっていたりします。そう言う生徒も、目の前で話せば意外とわかったりするから不思議です。

  • 一緒に遊びましょう。気になる生徒と休み時間を使って遊びましょう。生徒たちがやっている遊びに混ぜてもらうのです。最初は驚かれますが、次から生徒たちから誘ってきたりします。男子ならサッカーや鬼ごっこ、インドア派な人なら消しピンとか定規バトなど。(知らなかったら生徒に聞いてみてください)女子ならお絵かきしりとりとか、とにかく雑談とか。

  • 他の教員にその生徒の良さを宣伝しましょう。気になる生徒は他の教員も気になっています。あなたが関わってきて良いなあと思うことがあったら、ぜひ職員室でエピソードを話しましょう。「あんなやつにそんなところが?」と思う教員が周りにいるかもしれませんし、その教員にとっても関わりのヒントになります。他の教員に「最近〇〇どうですか?」と聞いてみてもよいでしょう。

  • 保護者に良いところを伝えましょう。気になる生徒の保護者は、きっと何かやらかした時だけ学校から連絡が来ると思っています。学校との連絡が鬱陶しくなり、生徒が学校でどうしているかなんて知りたくもない!と思っているかもしれません。良いなあと思うエピソードがあったら、ぜひ電話で伝えましょう。保護者も最初は面食らうと思いますが、自分の子どもを褒められて嫌な親はいないと思います。

 つらつらと書きましたが、私がやっている気になる生徒と関係性をつくる小技でした。気になる生徒との人間関係がうまく行くようになれば、気になる生徒が気にならなくなってきます。気になる生徒が気になるのは、その生徒がやってしまう行為よりも、そこに紐づいた感情(私のこと嫌っているなあ、ウザがられているなあ、とか)に引っ張られてしまうことが原因のひとつです。まずは感情の部分を修復することが、行為が余計に気にならなくなる第一歩かもしれません。
 これで第1章おわり!という感じです。誰にあてて書いてもいないのですが、2日で1万字くらい書いたでしょうか笑。ここまでは教師としての私と気になる生徒との関係性に焦点を当てましたが、実際これだけではしんどさは払拭できないかもしれません。次回からは、クラスの生徒と生徒の関係性に焦点を当ててみたいと思います。
 クラスがしんどいなあと思っているそこのあなた、明日も無理せず、のんびりやりましょう。


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