短編小説『金太郎侍』
江戸の廻船問屋・越後屋の一室。
今宵も越後屋の主人と旗本・松田某とが悪の謀議を計っていた。
「越後屋、お主も悪よのう」
「松田様にはかないますまい」
江戸の夜のしじまに、悪の高笑いが鳴り響く。
その悪の高笑いを打ち消すように、
「待てい!」
「何やつ!」
越後屋と松田某の目線の先には、赤地に○に金の字の腹掛けの男が。
「お主らの悪事、足柄山にも風の便りに聞こえてくるわ! マサカリ担いだ金太郎侍、お主らを成敗してくれる!」
「ええい!であえい、であえい!」
越後屋が雇い入れた用