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【気まま書評シリーズ:2】『鬼速PDCA』- 計画編 - 。おっさん社長の読書録

「プロジェクトの計画は、どれだけ練ったら実行に移っていいの?」そんなこと疑問に思ったことってありませんか?

私はずっと疑問を感じていました。この部分に自分なりの考えをもたせてくれたのが『鬼速PDCA - 計画編 -』です。

PDCAで失敗する人の2人に1人は、計画フェーズに原因があると本書はいいます。今回、noteに慎重さと大胆さのバランスがベストになる計画の立て方をお教えします。

「PDCAについて知りたい」「計画が苦手」という方はぜひ最後まで読んでみてください。

            ♦︎♦︎♦︎ 過去記事は以下より ♦︎♦︎♦︎ 

ステップ1.ゴールを定量化する(KGIの設定)

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1. ゴールの期日を決める

ゴールをいつまでに達成するのか、期日を決めます。期日を定めることで、成し遂げるためにどういった戦略をとるべきか選択することができ、期日に対する危機感を生むことができます。

期日を決めないと、例えば「目の前の仕事を全力でやっていれば、今月の売上目標は達成するだろう」といった見通しの甘い仕事の進め方をしてしまう。戦略を決めて危機感をもち、確実に事業を前に進めるため、まず期日を決めます。

2. ゴールを定量化する

もしゴールを定性的なまま据えると、自分の成長具合や進捗具合が把握しづらくなり、結果的にPDCAの精度が甘くなります。そのため、ゴールは必ず数字に落とし込む必要があります。

数字にするのが難しい定性的なゴールも、チェックシートを使うなどして定量化します。

3. ゴールを適度に分解する

壮大なゴールのままだと、下位のPDCAが雑になりかねません。そこで、ゴールを適度に分解していきます。具体例を挙げると、「年間目標売上高」をゴールにした場合、「月の新規開拓件数」くらいまでブレイクダウンしていくのです。

ゴールへの道のりをイメージして、1〜3ヶ月先の目標を定めます。1~3ヶ月という期間は、人やチームが成長するのに十分な期間で、劇的な環境変化も考えづらいので、とるべき行動がイメージしやすくなります。

ゴールへの道筋がイメージできるとモチベーションの維持がしやすくなります。目標を遠く漠然とした状態から近くに設定していくことでPDCAサイクルが丁寧になり、モチベーションを高く保つことができるのです。

ステップ2. 現状とのギャップを洗い出す

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KGI(最上段のゴール)を決めるのと同じ基準で現状を定量化して、ギャップを明確にします。ここで注意したいのが、定量化は検証精度を上げるために必要であって、定性的なギャップを無視していいということではないこと。

定量化を重要視するあまり、定性的なものを見落とさないように気をつけましょう。定性的なギャップとは、例えば「過去にクライアントに怒られた経験などから、テレアポに対する恐怖心を抱いている」など。

このギャップから「過去のトラウマをぬぐい去りたい」という気持ちがうまれ、モチベーションの源になったりします。こうした思いはPDCAサイクルにおいて検証の対象とはなりませんが、PDCAサイクルを回すうえでは重要なのです。

ステップ3. ギャップを埋める課題を考える

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ギャップが大きいほど課題は増えます。「個人では自問して課題をさがし」「チームではブレスト方式で課題をさがす」ことを筆者はおすすめしています。

課題抽出は正確に漏れなく行なうのが理想ですが、実際にはまずできないものです。課題抽出に自信が持てなくてPDCAを回せないのでは本末転倒。過度に慎重にならないよう、課題を洗い出すためにPDCAを回すくらいの考え方が大切です。

ステップ4.  課題を優先度づけして3つに絞る

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やらないことを決めると同時に、やることに優先順位をつけます。優先順位は「インパクト」「時間」「気軽さ」の3要素で決めます。それぞれA~C(Aが大きい・Cは小さい)で採点していきます。

1. インパクト(効果)

「インパクト」は優先度をきめる最重要基準。「KPI達成への影響度が強い」と思える課題をインパクトAにします。

インパクトが比較しづらい場合は、ネット検索して情報収集する。それでもわからない場合は、間違うことを恐れず自分にとって最も納得感のある課題をインパクトAにします。

2. 時間

「課題クリアまでの想定時間」を考えます。このステップでは、工数の計算まではしなくて大丈夫。時間がみえない課題は「?」で対応します。

ここで、ゴールまでの期日を再確認することが大切。期日までに間に合わない課題は、このタイミングでリストから削除しましょう。

3. 気軽さ

予算、マンパワー、リスクが少ない、心理的な障壁が低い場合は気軽さをAにします。気乗りしない課題は、外部の協力を得たり同僚にやってもらうことも検討してみましょう。

ステップ5. 各課題をKPI化する

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KPIは客観的に進捗状況を把握するために数値化したサブゴールです。定性的な課題でも、KPI化はできます。

KPIを絞るときの基準は、頻繁に検証できて成果が正確に反映されるかどうか。間違えやすいですが、KPIは目指すべき結果であり行動目標とは違うものです。ステップ5では、3つの課題から3つのKPIが決まります。

ステップ6. KPIを達成する解決案を考える

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解決案とは、KPIを達成するための大まかな方向性のこと。KPIによっては解決案が共通する場合もありますが、1つのKPIにつき最低1つ解決案を考えるようにしましょう。他人の感動や複雑な要因が絡み合っている課題のKPIは、要因分析が必要になります。

要因分析しても解決案がすんなり出てこない場合は、先輩や上司など外部の目をいれます。後で修正できる場合は、解決案に確固たる自信がなくても検証すればOK。

致命傷にならない程度にリスクを抑えれば、間違いを恐れず行動して改善をしていけばよいのです。内田和成氏の『仮説思考』やエリック・リース氏の『リーンスタートアップ』の考え方と共通している点であり、「前進するためのフレームワーク」鬼速PDCAの真骨頂の考え方です。

ステップ7. 解決案を優先度づけする

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理想は全て実行に移すことですが、抱え過ぎて中途半端になりそうであれば優先度を設定します。課題と同じように「インパクト」「時間」「気軽さ」で優先度をつけます。全ての解決案に取り組む余裕がない場合、最重要KPIの解決案だけでも取り組みましょう。

優先度づけした解決案の中で、いくつ実行するかの基準は「最重要KPIの解決案は最低1つ、できれば2つ以上残す」「KPI毎にインパクト重視で解決案を1つは残す」「短時間で終わるものはインパクトが弱くても残す」です。

取り組まなかった解決案も、後のサイクルで取り組む判断をする可能性があるので、書き出したものを捨てないでおきます。

ステップ8. 計画を見える化する

ここまでのプロセスを「見える化」して、チーム内で共有します。個人でも「計画の見える化」をし、とくにKPIは目立つところに書き出しておきましょう。「見える化」することで常に意識づけをおこなうことができます。携帯のアラート、手帳、ポストイットなどを使い強制的に視覚に入れると効果大です。

見える化された計画に「なぜそのゴールを目指すのか」という自問をしてみることで、無駄なPDCAをなくしたり、更に自信を持って取り組めるようになります。

たまに非常識な計画を考えて「思考のリミッターをはずす」クセづけるのもおすすめ。思い込みをなくしてブレイクスルーのきっかけを見つけられます。

まとめ

プロジェクトの計画は、考えすぎても考えなさすぎてもうまくいきません。一度足りとも同じ状況のない複雑なビジネスの世界で、鬼速PDCAの計画の感覚が掴めたらきっと強みになるだろうな、と私は感じました。

本書でも「慎重と大胆の間くらい」の計画は定量化できない感覚だと言っています。苦労と経験を重ねて鬼速PDCAの各ステップを自分の中に落とし込んでいって、そこから「慎重と大胆の間くらいの計画」を理解できるようになるのだと思います。ぜひ、実務で使ってみてください!

最後に、この計画編で紹介した内容は本書内では計画初級編の部分です。本書内ではこの先に計画応用編があります。応用編では、「仮説」の精度をあげる方法を紹介しています。

一生懸命考えた課題や解決案も、あくまで「仮説」に過ぎません。この「仮説」の精度を上げて鬼速PDCAを効果的にまわす方法が応用編です。気になる方はぜひ本書を手に取ってみてください。

それでは次回、~鬼速PDCA 実行編~でお会いしましょう。

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