日本の国家安全保障90年代 50


#多様性を考える


第5節 東アジア各国の戦力 北朝鮮  1990年代 


北朝鮮の総兵力は110万人、

そのうち陸軍が100万人、27個師団である。


主な装備は

旧ソ連の戦車がベースの「暴風号」戦車、「天馬号」戦車、

旧ソ連のT-62戦車、

T-54/55戦車

が3500両、


歩兵戦闘車4000両、


自走砲4500門、


野砲7000門、


多連装ロケット発射システム2400両、


重迫撃砲9000門


で、

機甲化、機械化、装甲化はある程度進んでいるとみられるが、稼働率に問題がある。


陸軍の配備状況は非武装地帯DMZ周辺に全戦力の70%以上を配置している。



 北朝鮮は正規戦力では数的に圧倒しているものの、近代化された韓国軍、合衆国軍、自衛隊には対抗できないため、特殊部隊によるゲリラ作戦、撹乱、陽動作戦、心理戦をとる。


人民武力省総参謀部のもとに

特殊軍団(旧・第8軍団)、

偵察局(8個特殊部隊)

がおかれ、

指揮は

軽歩兵教導指導局、

労働党35室(対外調査部)

がとると思われた。


特殊軍団は


敵地における破壊工作を遂行する6個狙撃旅団、


敵軍事施設、社会基盤の占拠をおこなう2個水陸両用狙撃旅団、


敵航空基地、レーダーの破壊を目的とする2個空軍狙撃旅団、


敵主要施設の占領を任務とする3個軽歩兵空挺旅団、


敵地潜入情報収集をおこなう17個偵察大隊、


要人拉致・暗殺、主要産業基盤破壊、テロ工作、長期敵地潜入・革命地下組織育成をおこなう偵察局8個特殊部隊


が主要な部隊で、

装備は

60mm迫撃砲、

RPG-7 対戦車ロケット擲弾砲、

AT-3 対戦車ミサイル、

SA-16携帯地対空ミサイル、

AK-47 7,62mm×39自動小銃、

AKS-74 5,45mm自動小銃、

VZ61サブ・マシンガン、

FNブローニング・ハイパワー 9mm×19自動拳銃、

手榴弾、

携帯用化学兵器、

GPS受信機、

無線装置、

暗号通信装置

などである。


2004年、防衛庁は北朝鮮特殊部隊2500人が日本で作戦行動する、と予算折衝において表明している。



労働党統一戦線部は資金調達、


労働党対外連絡部は朝鮮総連など外国朝鮮人組織への指導、


労働党作戦部は工作員派遣、要人拉致・暗殺を目的とし、


対韓国に3000人、対日本に500人が配備されている。



労働党35室(対外情報調査部)

は情報収集とともに、拉致活動、テロリズム作戦、長期潜入工作活動をおこなう。


労働党35室には


偽造パスポートを利用して日本・韓国に潜入する直接浸透課、

南北間の交流においての工作活動をおこなう南北会談課、


海外出張・海外留学の日本人、韓国人への接触、浸透、工作をおこなう海外担当課、


韓国、日本の国情の情報収集、調査、評価、研究を行う南朝鮮研究所、


北朝鮮の工作活動を支援する団体を管理する外郭団体課


がある。



労働党35室(旧・対外情報調査部)は

日本、韓国以外の国で外交官の身分を利用して、北朝鮮大使館を拠点に日本人、韓国人の拉致、情報収集、工作を展開する。


35室の上部機関として労働党作戦部があり、


工作員の育成、


工作員、ゲリラ・コマンド部隊の敵地への投入、


金正日政治軍事大学での工作員育成教育、


在日朝鮮人ゲリラ部隊の育成


をおこなっている。



労働党対外連絡部は

工作員を長期にわたり日本、韓国に潜入させ、工作活動、情報収集を実施している。

また朝鮮総連への指導や、

工作のためのダミー会社設立

を担当していると思われる。




北朝鮮の海軍力は、

近代戦に耐えうるものではないと思われるが、

工作員、ゲリラ、コマンドの敵地浸透のための特殊装備、違法装備は数多く装備しているようである。

サンオ級小型潜水艦21隻、

半潜水艇50隻、

小型ガス・タービン搭載高速巡航艤装漁船、

艤装漁船や貨物船に搭載されている小型高速ボート、

小型潜水艇、

水中スクーター

を装備し、

レーダー、ソナーでの捜索が困難で、目視による発見も困難、港湾での審査も難しい。



空軍力は

ロシア製

MiG-29戦闘機、

MiG-23戦闘機、

スホーイSu-25攻撃機

などを保有している。


主力は

アントノフAn-2輸送機300機で、

ゲリラ・コマンド部隊の輸送である。


ほかに

木製グライダー、

気球など

レーダーでの捜索が困難な航空機でゲリラ・コマンド部隊を輸送すると考えられる。



1980年代半ばまでに、

ソ連の開発したスカッド弾道ミサイルを改良した

スカッドBミサイル、スカッドCミサイル

を配備、

韓国と日本の本州西部、九州北部の脅威となってきた。

1992年には

射程距離1300kmのノドン1号弾道ミサイルの開発に成功し、

1993年には日本海・能登半島沖にノドン1号弾道ミサイルの試射をおこない成功、日本に対する脅威は非常に強まった。



ノドン1号弾道ミサイルはすでに200基は配備されている模様である。

さらに1998年には日本国土を超えるかたちでテポドンを試射した。


テポドン2弾道ミサイル、ムスダン弾道ミサイルなどより射程の長い弾道ミサイルも開発中である。



また、化学兵器、生物兵器、核兵器の配備にも力が注がれ、

すでに保有、配備したものと考えられる。



北朝鮮は

西ドイツの商社を利用して、

マクドネル・ダグラスMD500ヘリコプターを87機購入した。

MD500は合衆国陸軍MH-6リトル・バード、韓国陸軍OH-6カイユースと同じ形で、北朝鮮はMD500を韓国陸軍OH-6の塗装と同じ塗装にして運用している。





この記事が参加している募集

#多様性を考える

27,832件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?