日本の国家安全保障90年代 49


#多様性を考える


第4節 東アジア各国の戦力 韓国   1990年代



 北朝鮮の侵攻から防衛するため、世界有数の戦力を保有する韓国は、

陸上戦力を中心にした態勢から海軍力、空軍力を重視したものへと変貌を遂げつつあった。


陸軍は

3個軍、22個師団、

海兵隊は2個師団で

陸上戦力は60万人、

さらに予備役27個師団、400万人を揃えている。


装備面では

韓国国産のK-1戦車シリーズ、

M48A5パットン戦車

などを戦車を約2200両、

ゼネラル・ダイナミクスM110 203mm自走砲、

ローラル・ヴォート・システムズM270多連装ロケット発射システム

など多数の火砲、

ベルAH-1J/Fヒューイ・コブラ攻撃ヘリコプター

が北朝鮮の機甲部隊、歩兵部隊に対応している。

また、レンジャー部隊や陸軍特殊部隊、警察特殊部隊(KNP-SWAT)など、テロ・ゲリラ・コマンド対処部隊も充実している。



 韓国海軍は

現役3万3000人、

徴兵1万7000人、

予備役9000人で、

艦艇は約200隻である。



 クアンゲトデワン級駆逐艦は

満載排水量3855トン、

ディーゼル・ガスタービン推進、

兵装は

127mm単装砲1門、

Mk141発射機(RGM-84ハープーン艦対艦ミサイル8発)、

Mk32 324mm3連装短魚雷発射管2基、

ゴール・キーパー30mm近接防御武器システム2基

である。

1998年から2000年までに3隻が就役した。


これはKDXと名付けられた駆逐艦建造計画である。クアンゲトデワン級は、日本が同時期に導入したむらさめ級汎用護衛艦よりも満載排水量がかなり小さいにもかかわらず、むらさめ級護衛艦よりも重装備である。そのため上部構造物が大きくなっていてバランスが悪い。



 チャンボゴ級潜水艦は

ドイツHDW社の209型潜水艦

を韓国でライセンス生産したものである。

1番艦はドイツで建造され、

2番艦と3番艦は韓国でノック・ダウン生産した。

4番艦からは韓国で建造している。

1993年から2001年までに9隻が就役した。

ディーゼル・エレクトリック推進で、

水中排水量は1285トン、

水中速力22ノット、

兵装は533mm魚雷発射管8門である。

短期間に大量の潜水艦を装備したため、潜水艦作戦は成熟してないとみられていた。

チャンボゴ級潜水艦は533mm魚雷発射管からUGM-84ハープーン潜対艦ミサイルを発射可能にする改良工事と、近代化計画を進めた。


 このほかに韓国海軍は小型艦艇を多数装備している。小型なため単能艦が多い。

1000トン・クラスのコルベットが28隻、

満載排水量183トンの高速戦闘艦シー・ドルフィン級を83隻、

などを保有しており、沿岸警備を主な任務としている。

また、ロッキード・マーティンP-3C対潜哨戒機は8機しか導入しておらず、対潜能力強化にまったくなっていない。



韓国空軍の主力装備は


アメリカの資金援助で導入された

ロッキード・マーティンF-16C/Dファイティング・ファルコン戦闘機(KF-16戦闘機、自重8627kg、推力129kN×1)

180機、


アメリカの中古を無償譲渡してもらった

マクドネル・ダグラスF-4D/EファントムⅡ戦闘機(初飛行1958年、自重13500kg、総重量18818kg、推力79,62kN×2)

130機、


アメリカの援助品であるノースロップF-5E/FタイガーⅡ戦闘機(初飛行1972年、自重4410kg、推力22,2kN×2)

である。





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