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日本の国家安全保障90年代 61


#多様性を考える

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第9章 日本のテロ・ゲリラ・コマンド対処


第2節 警察の対テロ作戦 1990年代  2


各種凶悪刑事事件、テロリズム、ゲリラ事件、コマンド対処に幅広く投入されるのは警察の機動隊である。機動隊は特殊急襲部隊SAT隊員の選抜母体にもなっている。


機動隊は、

警視庁に9個機動隊

(第1機動隊:千代田区、第2機動隊:墨田区、第3機動隊:目黒区、第4機動隊:立川市、第5機動隊:新宿区、第6機動隊:品川区、第7機動隊:調布市、第8機動隊:新宿区、第9機動隊:江東区)と1個特車隊(新宿区)

の10個隊、3000人と特殊急襲部隊(SAT)3個隊60人がおかれる。


大阪府府警には、3個機動隊900人と特殊急襲部隊2個隊40人がおかれる。


千葉県警察には、3個機動隊900人と特殊急襲部隊1個隊20人、新東京国際空港警備隊1500人がおかれる。


神奈川県警察と福岡県警察には、2個機動隊600人と特殊急襲部隊1個隊20人がおかれる。


他の府県警察には1個機動隊が定数なくおかれる場合と、または常勤の第1機動隊とパートタイムの第2機動隊がおかれる。


車両は三菱重工業によって防弾鋼板で防弾化された

三菱ふそうキャンター特型警備車、

三菱ふそうキャンター小型警備車、

日野ガーラ防弾輸送警備車

三菱ふそうファイター遊撃放水車、

三菱ふそうスーパー・グレート銃器対策特型警備車、


三菱ふそう大型警備車、日野自動車大型警備車、いすゞ自動車大型警備車、Jバス大型輸送車、日産ディーゼル工業大型警備車、UDトラックス大型輸送車

など大型輸送車、


日産シビリアンⅠ型遊撃車、三菱ローサⅠ型遊撃車、いすゞジャーニーⅠ型遊撃車、トヨタ・コースターⅠ型遊撃車

などⅠ型遊撃車、


トヨタ・ハイエースⅡ型遊撃車、日産キャラバン/ホーミーⅡ型遊撃車、トヨタ・ランドクルーザーⅡ型遊撃車

などのⅡ型遊撃車、


トヨタ・ランドクルーザーゲリラ対策車、日産テラノゲリラ対策車など、

ゲリラ対策車


が配備されている。


偵察・斥候用や移動用には三菱ランサー、マツダ・カペラ、マツダ・アクセラなどセダンの覆面パトカーが使われる。


指揮のために用いられる多重無線車には、

大型輸送車改造多重無線車、

遊撃車Ⅰ型多重無線車、

遊撃車Ⅱ型多重無線車、

捜査指揮車

が使われる。


特殊急襲部隊SATには

隊長車に三菱パジェロ防弾車、トヨタ・ランドクルーザー防弾車などの防弾SUV、

移動車に日野リエッセ小型バス、

装備搬送車には三菱ふそうキャンター・ガッツ、三菱ふそうファイター、三菱ふそうスーパー・グレートが用いられる。


警視庁警備部警護課、警備部警衛課、

大阪府警警備部、京都府警警備部の警護警衛課、

各県警の警備部警護課

の警護任務には

シボレー・エクスプレス、シボレー・アストロにTLアンテナ2本以上を装備したものや、

高い座席位置からの視野確保のためと突撃阻止・防止のために重量が重く車高の高い

シボレー・タホ、いすゞビッグホーン、トヨタ・ランドクルーザー、三菱パジェロ

など中型、大型のSUVが使用される。


日本の警察の装備は凶悪犯罪者、大規模デモ、暴動、少数のテロリズムには有効ではあるが、大規模テロリズム、重武装ゲリラ、重武装テロリズム、特殊部隊・コマンド対処は困難と思われる。






第3節  海上保安庁の対テロ作戦  1990年代



海上保安庁におけるテロリズム対処、ゲリラ・コマンド対処は

海上保安庁の機動隊にあたる特別警備隊、

特別警備隊から優秀な人員が選ばれて編成される特殊警備隊SST(Special Security Team)

がある。


特殊警備隊SSTは、

成田空港開港後、

闘争目標を関西空港開港阻止への爆弾テロ闘争とソウル五輪開催阻止へのシー・ジャック・テロ敢行へと動いた

左翼過激派の

1983年の連続ゲリラ事件、自衛隊駐屯地への時限発火装置による同時多発車両破壊事件、

1984年の大阪での軽ワゴン車爆破事件などのゲリラ事件が多発、

関西空港建設反対テロが予想され

またソウル・オリンピックを控え日韓フェリーのシー・ジャックが懸念された。


これらの脅威に対処するため、

全国の管区特別警備隊隊員から25人が選定され関西空港警備隊として、

第5海上保安本部大阪特殊警備基地が関西空港対岸地区に設けられた。

    

また1987年には、

あまりにも危険なプルトニウム海上輸送任務を軍隊による警備にするように世界各国から圧力がかけられた。

しかし、内務省官僚出身で反軍・反自衛隊を主張する後藤田正晴副総理は海上自衛隊による警備を反対した。

よってプルトニウム輸送船・あかつき丸の警備は海上保安庁が担当することになった。


アメリカ政府から日米原子力協定に基づき、アメリカ海軍特殊部隊SEALによる訓練を要求されたため、プルトニウム輸送の特別警備隊を設立し、アメリカ海軍特殊部隊SEALに隊員を訓練のため派遣した。


1996年、関西空港警備隊とプルトニウム輸送特別警備隊が統合され特殊警備隊SSTが40人で発足した。

特殊警備隊SSTはSEALなどの指導の下、対テロリズム戦・対ゲリラ戦・対コマンド戦に励んだ。  

          

1989年に東シナ海で発生した

イギリスの海運会社の保有するパナマ船籍の貨物船「アランドラ・レインボー」の船員暴動事件に

イギリス政府から鎮圧要請を受け、ヘリコプターから船内に突入、人質となっていたイギリス人船長を救出、暴動を鎮圧した。


また1992年、のシンガポールの貨物船「アセアン・エクスプレス」の船員暴動事件にも投入され暴動を鎮圧、人質の船長などを救出した。


警察の機動隊にあたる暴動対処部隊の

海上保安庁特別警備隊SRS(Special Riot Service)は、

海上デモの鎮圧、洋上警戒などが主任務であるが、

豊和工業89式小銃、

レミントンM870ショット・ガン、

S&W M5906ミリタリー 9mm×19口径拳銃

と、

ボディ・アーマー、対NBC防護服で装備し、ヘリコプターからの強行乗船もおこなえる実力を有し、

対テロ・ゲリラ戦に対処できる能力をある程度有していると思われる。






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