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「逆説」の市場攻略方法は中小企業に適している

こんにちは。
カイロスマーケティングという営業DX系の会社で代表を務めております、佐宗(さそう|@dsasoon)と申します。

営業DXといっても、ソフトウエア(SaaS)を開発しております。おかげさまで、多くのお客さまにご利用いただきながら、多くのお客さまと営業とか販促についてお話や意見交換をさせていただきました。

なかでも、中小企業や、大企業のある事業部門のみなさまとお話しさせていただくことが多く、やはり「人員・人材」に関する課題をよく耳にさせていただきます。とにかく、人手不足の問題に直面している会社が多くあります。

人手不足の問題は、社会問題である少子高齢化や労働生産人口の低減が根幹にあり、今後はこの問題が中小企業に対してより大きな影響を与えることは避けられません。労働生産人口が減るという今後の社会の流れの中で、中小企業はいかに生産性を高めることが重要になってきます。

人手不足は今後もますます深刻になるという社会情勢のなかで、中小企業はどのような営業戦略を取るべきなのでしょうか。


営業戦略を考える前に、自社の現状を可視化する

戦略とは、これからやっていくべきことについて定義をするため、将来の計画に関わります。将来を予測するためには、過去の傾向を理解することが重要です。営業における「過去」とは、自社のこれまでの成果や成績を指します。

事業においては、これは売上に相当します。利益と言い換えることもできますが、個別の利益を詳細に記録しているケースは少ないと想定しておりますため、ここでは売上のみを取り扱わせていただきます。

営業戦略を考える際には、商品別や顧客別の売上を検討することが良い出発点です。これらの売上の分布をエクセルなどで整理し、グラフとして可視化することが助けになります。この分析を行うと、多くの場合、パレート分布に従うことがわかります。つまり、売上の大部分がトップのいくつかの顧客や商品に集中している現象です。

みなさんのグラフも、おおよそパレート分布になります。トップ何社かに売上の8割が集中している、トップいくつかの商品だけで売上の8割が集中している、という現象を目の当たりにすることになるでしょう。

パレート分布の説明は本記事では割愛します。以下のリンクを参考にしてください。

営業人員の人手不足を代表とする経営資源に大きな制約がある中小企業では、このパレート分布の傾向が顕著になりやすいとみています。

この状況に対して、限られた経営資源(ヒト・モノ・カネ)を集中投下するか?ということを考えていきます。事業は市場における競争であり、顧客の要望を満たし、競合よりも優位性を持つことが事業戦略の本質です。経営資源が限られている中小企業では、特定の分野に経営資源を集中させて競合に対して優位に立つ必要があります。

事業戦略については以下の記事が参考になります。


顧客担当の任命という経営の放棄の現状が多くある

自社の営業資源を集中すべき対象が見えてきたら、次に必要なのは現在の営業資源の分布の把握です。これには、顧客別の営業の訪問数や、顧客別の商品販売量などを見ることが含まれます。

理想は商品と顧客の両面から分析することですが、説明がややこしくなるので、ここでは顧客に焦点を当てて話を進めます。商品についても同様の考え方で進められると思います。

重要なのは、営業部門がどの顧客をどれだけ訪問しているかを知ることです。これが営業資源の分布を示します。

多くの中小企業では、顧客ごとに担当者を割り当てていますが、それだけでは不十分です。A社は○○さん、B社は□□さん、といった感じです。ただ担当者を決めるだけでは不十分で、どこにどの程度の頻度で接触するかを決定する必要があります。

営業資源の適切な配分とは、どの顧客にどれくらいの頻度で接触しているかを決めることです。

営業部員の行動を可視化するためのツールとしてSFAがありますが、その詳細については以下のリンクで説明します。

マーケティングや営業、販売促進の戦略では、接触回数が非常に重要です。これは単純接触効果やザイオンスの法則として知られています。

要は、接触回数が多いほど好感や信頼が高まりやすい、ということです。
・接触回数が多いほど、好感を抱きやすくなり、評価や信頼が高まる
・接触時間や内容は、それほど影響しない
・先方にこちらが好意を持っていなくても、ある程度の効果がある

単純接触効果を営業に当てはめると、営業に当てはめると、重要顧客ほど訪問回数がカギになることがわかります。むしろ、重要顧客にするには、訪問回数が不可欠なのです。

大企業は広告宣伝での視覚接触で補えますが、中小企業には大企業ほどの広告宣伝費はありません。だから、人的接触による攻めが必要なのです。

中小企業では、「接触回数」が重要な指標です。そのため、営業部員を単に担当者として任命するだけでは不十分です。営業部員に自由裁量で訪問先と回数を決めさせることは、会社としての営業戦略にならず、経営の放棄につながります。

営業戦略は、ターゲットとなる顧客と、その顧客への接触回数(接触頻度)を決定することから始まります。


中小企業に有効な逆説の戦略アプローチ

経営資源の制約が大きい中小企業では、決めた重点事項をうまく実行できないことがよくあります。「重要顧客」を定めても、ある程度はできても、営業部員の残業が激増して売上は伸び悩む、といった状況が起こりがちです。

中小企業にとって重要なのは、「やるべきことを決める」のではなく、「やらないことを決める」戦略です。やるべきことを正面から決定し実行するのは、業界のトップ企業が取る戦略です。むしろ、大企業のアプローチだと考えた方が良いでしょう。それ以外の企業は、経営資源を集中するためにやらないことを戦略的に選択する必要があります。したがって、中小企業にとって基本的な戦略は、やらないことを決めることなのです。

では、具体的に何をやらないか、何を止めるかを考える必要があります。

先ほどのパレートの法則に照らせば、その答えは明らかです。

「上位2割の企業に集中する」は業界トップ企業の戦略です。中小企業に求められるのは、「下位8割の企業に営業しない」という戦略です。下位に手を抜くことで、結果として上位に集中できるのです。

下位企業へ全く営業しない訳にはいきませんから、「やらないこと」を定める戦術が効果的でしょう。つまり「戦略は資源の集中だ。だからやるべきことを決める」という逆説的思考が重要です。

例えば、「四つのしない(四ない)」を実行するのはいかがでしょうか?
・訪問しない
・値引きしない
・配送しない(取りに来てもらう)
・後払いにしない(先払いにする)

このように、やらないことを決めることで、やるべきことへの経営資源の集中につながります。中小企業に有効なアプローチであると考えています。


さいごに

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