【文化財紹介】『レトロな大正時代の消防署 ~今橋ビルヂング~』
【2024年10月1日/大阪歴史倶楽部】
大阪歴史倶楽部です。今月は大阪市中央区にあります、1925(大正14)年に建てられたレトロな消防署の建物「今橋ビルヂング」(旧・大阪市中央消防署今橋出張所)をご紹介いたします。
今橋ビルヂング
今回ご紹介する今橋ビルヂングは、いまから99年前の1925(大正14)年に建てられました。当初は大阪市中央消防署今橋出張所として建てられましたが、現在は民間に払い下げられてレストランとして活用されています。
2007(平成19)年に国の登録有形文化財に指定され、2020(令和2)年度に大阪市の補助で修景(外壁の洗浄、タイルの補修・貼り替え、ライトアップ機器の交換、アルミサッシをスチールサッシへ復元、赤色ランプの修復など)の工事が実施されました。
外観の写真
以下は今橋ビルヂングの外観の写真です(2024年9月 大阪歴史倶楽部 撮影)。
建物の特徴
今橋ビルヂングは、鉄筋コンクリート造り地上3階建てで、北側を正面としています。建物外壁の正面部分は灰褐色のタイル貼りです。
建物の1階部分は天井が高く設計されていて、かつては消防車の車庫として使われていました。2・3階は待機室などに使われていて、石造りの美しい大きなアーチ型の窓枠で装飾されています。
2階にはバルコニーが設けられ、その下には消防署や警察署のシンボルである赤色ランプ(赤灯)があります。
今橋ビルヂングへの行き方
今橋ビルヂングへは、大阪メトロ御堂筋線および京阪電車の「淀屋橋」駅9号出口から真っ直ぐ西へ約200m(徒歩約2分)です。
今橋ビルヂングへの行き方の目安は簡単です。「淀屋橋」駅9号出口(みずほ銀行の建物内)を出ると目の前の通りが今橋通です。
その今橋通をまっすぐ150mほど西へ進むと右側(北側)には1923(大正12)年築の大阪倶楽部の建物があります。
その大阪倶楽部の前を通り過ぎるとすぐ左側(交差点の向こう側)に今橋ビルヂングが見えて参ります。
おわりに
今回ご紹介した今橋ビルヂングは、1925(大正14)年に建てられ、1996(平成8)年まで消防署(消防出張所)として使われました。しかしその後2005(平成17)年に大阪市の財政改善策の一環としてこの建物は民間へ売却されることとなりました。
売却時には建物の保存や活用などの条件はつけられておらず、購入者の自由ということでした。ですからこのとき、多くの人は解体されてしまうのではないかと思いました。
しかし購入した人(オーナーさん)が古いもの好きな人で、建物を解体することなくイタリアン・レストランとして改装して活用することとなりました。現在のレストラン名「ダル・ポンピエーレ」(Dal POMPIERE)はイタリア語で「消防士さんから」という意味です。
冒頭に記しましたように、2007(平成19)年に国の登録有形文化財に指定され、2020(令和2)年度には大阪市の補助によってほぼ建築当初に近い姿へ復元(修景)されました。この復元(修景)工事の際には、消防署や警察署のシンボルである(バルコニー下の)赤色ランプ(赤灯)も点灯できるように修復されました。
なお、この今橋ビルヂングの建物を見学したり写真や動画などを撮影されるときには、所有者さんや管理者さんや周辺の方々に不快感を与えたりご迷惑にならないよう充分なご配慮をお願いいたします。また、許可なく他の人の敷地内へは入ったりしないようお願いいたします。
建物内部を撮影される場合にも、セキュリティの関係もありますので、必ず所有者さんや管理者さんなどの許可を得てくださいますようお願いいたします。
今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました。
【参考にした資料】
◎高岡伸一 他『大大阪モダン建築』青幻社 2007年
◎『国指定文化財等データベース』文化庁 2024年版
◎「今橋ビルヂング」『船場navi』一般社団法人船場倶楽部・集英地域活動協議会 2024年版(WEB版)
◎『修景事例紹介「今橋ビルヂング」』「消防署の佇まいの継承と新たな演出による魅力向上のための修景」大阪市 2024年版(WEB版)
◎「旧大阪市中央消防署今橋出張所(今橋ビルヂング)」『文化遺産オンライン』文化庁 2024年版(WEB版)
(『大阪歴史倶楽部』第3巻 第10号 通巻30号 2024年10月1日)
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※次号は2024年11月1日に投稿する予定です。
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