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ダイナンのユニフォームは、「思いやり」で、できています。


ダイナンnote編集部(以下、編) 前回は、ユニフォームの柄に込められた想いやアイデアについて、デザイナーの村田さん(以下、村田)にたくさんのお話を聞かせていただきました。 今回は、ついにブランディングチーム三部作の最終回!ユニフォームの形やこれから先の未来についてGRAPH榎本さん(以下、榎本)、但馬社長(以下、但馬)、ブランディングチームで話した様子をお届けしていきます!

作っただけでは「完成」じゃない

榎本 この資料、拝見したんですけど、いつ頃作って貼ったんですか?

⬜︎社内に掲出された資料。なぜユニフォームをリニューアルすることになったのか?
    どんな想いで、どんなふうに進めているのか。着用する上での決まりごとは何か…など、ブランディングチームがまとめたものになっています。

村田 すばらしい…!
吉田 デザインを選んでもらう時に、「突然選んでください」って言われても困るじゃないですか。リニューアルの流れを全く分かってない人たちに、伝えるにはどうしたらいいんだろうって。もうバタバタ作って。

村田 うんうん。
吉田 見る人は見るだろうし、見ない人は見ないだろうけど、ちゃんと伝えられたらなってて。
榎本  こう、カスタムのやっていいこと、悪いこととかも、あるんですよ、ちゃんと。

 せっかくですから、どういう形があって、どういう風にみんなに選んでもらっているかとか、教えてもらいたいですね。
井上 カスタムされたもの、お見せしますか?

 ぜひぜひ、せっかくなら。
井上  さっき村田さんには話を聞いてもらったんですよ。各所で大改造が行われていて…。
村田  みなさんねえ、結構ポケットつけてたりね。丈を短くしてたりとか。
 ご自身で縫えちゃいますからね。確かに使いやすいようやりたくなっちゃう。
長尾 自分を表現したくなっちゃうんですね。
村田 うんうん。
中川 2枚支給されたものを、合体させちゃおうとする人もいたりして。

村田 すごい。めちゃくちゃ面白い(笑)。
中川 私たちもすごいなあ、って。
村田 いや、カスタムの話は結構最初からあったんですよね。前のユニフォームも、みなさん自分の使いやすいように、ポケットつけたりとか結構されてて。僕はそれを、すごくいいなと思ったんですね。で、今回もカスタムできる余白をちょっと残しておきたいな、って。だからポケットを最小限の仕様にして、 あとは各自好きなようにしてください、って。
いろんな丈感のものがあったり、いろんなポケットの位置のものがあったり、それぞれが使いやすいようにカスタムしたものが並ぶ。それが、最初のお話にあったようにいざ自社開発となった時、一番いいサンプルになるんじゃないかな?と思って。

ルールの中で発揮される個性

井上 これ、さっき村田さんに説明した「エプロンの前と後ろを合体させた」っていう…。後ろのクロスしている部分を、外してしまって。

村田 なるほど。「スポン」って着られるようにしたんですね。
井上 スポンタイプが欲しかったんですね、きっと。スポーンタイプ。
村田 確かに、かぶることができて着やすそうですね。面白い。しかもダーツ(平面的な布を立体化するために使う技法)も入れてますね。これ。
井上 確かにダーツも入ってる。
村田 芸が細かいっすね(笑)。
 本当、村田さんのおっしゃる通り、それぞれがいつかのサンプルになる、というのはすごくいいですね。
村田 さっき、工場内を見させてもらったんですけど、ばらついてる印象は全くなかったんで。

井上 (カスタムしてて)大丈夫ですか?私たちもびっくりしたんで。あ、こんな短くなっちゃって、って。
一同 笑
村田 でもなみさん、まったく違う生地をつける、とかはしてないじゃないですか。
長尾 それはちゃんとNGにしてます
井上 あとレースね。レースつけるのもやめましょうって。
村田 レースは確かに(笑)。素材的に、結構マッチングが難しいですかね。 でも、今現時点での運用だったら、すごくいいんじゃないかなと思います。カスタム、とってもいいんじゃないでしょうか
榎本 確かにこういったカスタムの要望が集まった上で、ショートタイプが欲しいとか、なんか後ろも隠れた方が欲しいとか…、そういうのがあったら、 第二弾のデザインがあってもいいかもしれないですね。

村田 そうですね、オフィシャルとして作ってみてもいいかもしれないですね。切っちゃったりするのは、もったいないですもんね。

「オリジナル」を大切に

 ちなみに、元々の提案だと2タイプだったってことですかね?
村田 いえ、最初はもっといろんな型を考えてたんですよね。

 提案資料ですね。ありがとうございます。
村田 はい、いろんなのあっていいかなって思ってた中で、最終的に2タイプに絞った感じですね。 今後の展開として、ブラウスがあってもいいかなとも思うし、パンツがあっても可愛いかなと思うんですけど…。コレクションというか全体像の中で、これとこれですかね、みたいな提案の仕方をしましたね。だから次の型が、こんな風に増えてくることは、すごくいいんじゃないかなって思ってます。
 ちなみに2タイプってどんな型なんですか?
榎本 このエプロンタイプと、ワンピースタイプですね。
村田 あ、みなさんワンピースタイプか。

 男性は前掛けなんですよね。但馬社長は着ましたか?
但馬着てないっす
 なんでですか!すぐに着てください。じゃあ前掛けしていただいて。

榎本 但馬さん可愛いですね(笑)。
 みなさん、カスタムされてるんですか?
井上 そんなにカスタムはしてないですよ。
 なるほど、オリジナルを大事にしてるわけですね。では、他のみなさんは決めた方針の中でどんなカスタムをしてらっしゃるんですかね。ペン差しとか。ポケットがついてるとか、あとは…。
井上 丈が短めの人はいますね。
 それは動きやすい、とかの理由あるんですかね。
井上 いや、単純に若く見える
一同 笑

技術とプライドと思いやり

 村田さん、形や制作工程のこだわりを教えていただいてもいいですか?
村田 そうですね。少ないデザインの中で、みなさんに似合う形にしたたっていうのは一つありますね。タイトすぎず、緩すぎず。フリーサイズでどなたでも着られるように
榎本 あとはあれですよね、生地をなるべく無駄にしないように…
村田  そうです。ほとんどハギレは出てないんじゃないですか。
井上 うん、そうですね。
村田  多分これ。これ、生地そのままで、ちょっと斜めにしてるんですよね。

井上 生地幅で。その通りですね。
榎本  広がるように。
村田 はい。広がる、かつ、この限られた生地幅の中で欲しい分量を出せるように、2枚の生地を斜めに重ねています。腕まわりのよく擦れる部分は生地を切らないで、内側に折って補強にも使用して。
榎本 パタンナーさんは別にいらっしゃるんですか?
村田 はい。普段お付き合いのある方に、パターンを引いてもらいました。

 この生地を無駄にしない工夫は、チームのみなさんには事前に共有されていたんですか?
長尾 はい。聞いていたので、とにかくちょっとでも大事に、無駄がないように..
村田 そうですね。あらかじめ僕がこういう風に取れば無駄が出ないだろうっていうのをイメージしながら絵を描いて。で、パタンナーさんとやりとりしながら、「これ斜めにする角度、どれぐらいまでいけるかな?」みたいにして落とし込んでいった感じです。
井上 ちょっと村田さん。サイズ展開なんですけど、やっぱりいろんな体型の人がいたので…急遽こちらで…。
村田 はいはい?
井上ワンサイズ大きいものを、急遽作ったんですよ

村田 そうなんですね!でも、生地幅は一緒で狭いままじゃないですか。うまいことできましたか?
吉田 色々工夫して…。
榎本 ダイナンさんの方でちょっとだけカスタマイズされたんですね。その、生地幅のまま使うのって、やっぱり難しいんですかね。

村田 はい、結構難しい…っていうか、めちゃくちゃ難しいです。とにかく超頭使いました。これは。
一同 笑
榎本 生地も貴重だし、高いし…。
村田 はいはいはい。この着物の狭い幅で合理的かつ、ある程度自由なデザインにするっていうのは、もうね、超ウルトラCです。自分でも、どうやってやったのかわかんないけど、よくできたなって思う(笑)。そういうことってあるじゃないですか。
結構細い幅に生地を切って、色々ボディーに当てながら、 こうやったら取れるかな。みたいなのをかなりやりました。はい。
榎本 制限があると、いつもと考えること変わったり、それが面白かったりしますよね。こういう重なりのエプロンとか、あんまり他で見ないデザインになってるからすごく可愛いなと。
村田 そうですよね。こんな生地の取り方は絶対にしない。重なってるところをポケットにしてたりとか、ハギレの部分を厚みを出すために見返しに使ったりとか…。よくできてますね(笑)
一同 笑
村田 パタンナーさんの腕もかなりあると思います。特にワンピースの方は僕が荒く出したアイデアに対して、すごい球を返してきたんで。半分以上はパタンナーさんの力です。はい。

手と手の柄が羽ばたく未来

榎本 じゃあまた、ユニフォームリニューアルの第二弾があれば…。
村田 そうですね。パンツとかやりたいですよね。生地、取りやすいですしね。
但馬 あのー…。ちょっと寒くなってきたら、こう、ベストみたいなやつがあったらいいんかなとか思ったりするんですけど…
長尾 ベスト?
但馬 最近さ、ジャケットの下とかでもさ、着たりする人多いやん。 あれ。ちょっと寒くなってきたら…

但馬 いや、ベストの形にしろとかではなくて要は、なんかこう動きやすくて、ちょっと暖かいやつ。それこそ、育て始めた綿を詰めてもいいかなって。
村田 現代版かわいい「はんてん」みたいな感じですかね。デザイン次第ですかねえ。
但馬 作業してもらうにあたって、暖かくて機能性もあっていいかなと…。
井上 社長、社長!これもリニューアルしたくて。
榎本     帽子、ですね。
村田 でもあれですよね、色に意味があるんですもんね、帽子は。
但馬 これこそ知らん間に決まっちょって、なんか提案出てて、急にみんなが帽子被ってて。
長尾 これは髪の毛が入らないように…。

但馬 そうやろうけど、なんで静電素材入ったそんな半導体工場みたいな…ってのは正直思った。
一同 笑
榎本 じゃあ次は、帽子と秋冬の「あったかシリーズ」事例を作りましょうか!
村田 うんうん、そうですね。全体的なスタイリングを考えると、なんかニットとかね。異素材が来ても、いや、来た方がスタイルとしては可愛いかなって思ったりはしますね。
一同 いいと思います。
村田 ニット…。手編み…。手編み…!?
一同 手編み(笑)!!!
榎本 それはまた別の技術ですね(笑)。
村田 はい。でも、久留米絣に絶対こだわらなくてもいいと思います。また違う意味を探りながら作ってみるっていうことは絶対に面白いと思うので。違う産地に行ってみるのもいいでしょうし。
榎本 さっき但馬さんが、播州織(村田さんが携わっている兵庫県西脇市の織物)の工場も見てみたいな、っておっしゃってましたよ。
村田 そうですね!ぜひぜひ。いつでもご案内しますよ。
榎本 やりましょう!
 その様子はぜひ記事にもさせてください。では、ユニフォームについてのインタビューはこれで一旦終わりとさせていただければと思います。ありがとうございました!

 ユニフォーム三部作、いかがだったでしょうか?従業員同士の思いやり、生地や、その材料、作る人への思いやり…。手前味噌ですが、そういったもので作られているんだなと気づくことができました。(もちろん、それを形にする技術も、ダイナンの自慢だったりします!)
次回更新は、8月9日頃の予定です。「会社を楽しくする」ための取り組みを、色々な切り口からご紹介してければと思います。引き続き、よろしくお願いします!

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