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PALESTINE News, SILENT NIGHT

今日はクリスマス・イヴ。無神論者であり、当然ながらクリスチャンではない私ですが、このクリスマスの時期の雰囲気は子どもの頃からわりと好きな方です。クリスマスそのものやクリスマスにまつわる思い出はいつか機会があったら書きたいと思います。

上に掲げた写真は、1983年から1984年にかけてのバックパックひとつ担いだ海外貧乏旅行の際、1983年9月30日に訪れたパレスチナ、ベツレヘムにあるキリスト教の教会(聖誕教会または降誕教会, Church of the Nativity)を撮った写真の一部です。

この教会は、イエス・キリストが生まれたとされる(実際のところは分かりませんが)洞穴の上に聖堂が建設されたもので、西暦339年に完成していますが、その後、6世紀になって火災に見舞われ、当初のものはモザイクの床の一部が現存しているのみです。したがって、それ以外の部分は、当時 6世紀に再建されたものが中心となって、現代に受け継がれているものということになります。

36年前に撮った写真は、カットしないで載せると以下の通りになります。

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ベツレヘムと言えば、下に掲載する写真は、いま世界で話題になっている、ベツレヘムのホテルに展示されたバンクシーの作品「ベツレヘムの傷痕」です。

"Dubbed the 'Scar of Bethlehem', the work shows Jesus's manger by ISRAEL's separation barrier, which appears to have been pierced by a blast, creating the shape of a star." https://www.bbc.com/news/world-middle-east-50881270

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次に載せる写真も現代の写真です。36年前のものではないし、また、私が撮ったものでもありません。イスラエルの Haaretz という新聞(ネット上、英字紙)の一昨日、2019年12月22日付、"Gazan Girl Fights Cancer Alone at West Bank Hospital. ISRAEL Won't Let Her Parents Join" というタイトルの記事に掲載されているものです。

リード文には "Miral Abu Amsha, a 10-year-old suffering from leukemia, is undergoing chemotherapy in a Nablus hospital by herself. And she’s not the only patient in that situation" とあり、この記事は Gideon Levy というイスラエルのジャーナリスト兼作家によって書かれています。記事本文は、"The look on Miral's face says it all"(ミラルの表情が全てを物語っている)で始まっています。

https://www.haaretz.com/israel-news/.premium-israel-won-t-let-this-gaza-girl-s-parents-visit-in-hospital-where-she-fights-cancer-1.8292205

この少女はイスラエルによって完全封鎖され続けているパレスチナのガザ地区(PALESTINE, Gaza Strip)出身の Miral Abu Amsha という名の現在10歳になるパレスチナ人の女の子で、2019年の今現在、血液の癌である白血病を患い、イスラエルによって違法占領され続けているヨルダン川西岸地区 (West Bank, なお、イスラエルによるガザの封鎖も東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区の占領も1967年11月22日に採択された国連安保理決議第242号を含む数々の国連安保理決議ならびに国連総会決議に違反しています)にあるナブルス(Nablus, 私はナブルスも 36年前の旅行の際に訪れていますが、ナブルスで撮った写真や当時の思い出についてはまたいずれ機会があれば投稿したいと思います)という名の街にある病院で、化学療法による治療を受けていますが、この写真はその病室で撮られた写真です。

白血病を患い、化学療法による治療を受けなければならない10歳の女の子の治療に際し、ヨルダン川西岸地区の違法占領者であるイスラエル当局が、彼女の両親の同伴さえ認めません。彼女は本来なら両親に付き添われて闘病するところを、両親が見舞いにも来れないこの病院の病室で、たった一人で癌と闘っているのです。そして、 Gideon Levy が記事のリード文でも書いている通り、このような境遇を強いられているパレスチナ人の患者は、彼女一人ではありません。

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イスラエルによるガザの封鎖は、ガザに住むパレスチナ人たち(多くはもともとパレスチナのガザ地区以外の地域から1948年のイスラエル建国当時に逃れてきた難民出身であり、そういう意味では今現在も難民のままであるとも言えます)を、電気が使えるのも 1日4時間程度といったことに象徴されるような、牢獄暮らしよりも劣悪だという形容が相応しい過酷な生活環境に追い込んでおり、ガザは世界最大のゲットーもしくは強制収容所のようなものだと言われる程です。36年前の旅ではガザも訪れて滞在しましたが、その当時はイスラエルによって軍事占領されていたものの、現在のような封鎖はされておらず、ガザに住むパレスチナ人がヨルダン川西岸地区や、あるいはイスラエル国内に移動することも可能でした。ガザについても、またいずれ機会があれば別途、投稿したいと思います。

いずれにせよ、ガザはイスラエルによる度重なる爆撃で住宅だけでなく病院や学校を含む多くの建物が破壊されながら、イスラエルによる完全封鎖のために建設資材のみならず、医薬品なども満足に入って来ない状況にあり、ガザに住むパレスチナ人が癌のような高度医療が必要となる病気に罹った場合、ガザにも当然ながらパレスチナ人医師がいるにもかかわらず(医師として癌やその他の難病の患者の治療に貢献できない彼らも気の毒です)、エルサレムもしくはヨルダン川西岸地区内のその他の街にある比較的設備が整った病院に行って、治療を受ける他ありません。

しかしながら、イスラエルによる完全封鎖のもとにあるガザ地区では、そうしたケースにおいてさえ、ガザ地区を出て本来パレスチナ領である飛地のヨルダン川西岸地区に移動するに際しても、イスラエル当局の許可が必要となっており、その結果、病気の進行に対して適切な治療が追いつかず、命を落とすパレスチナ人患者も少なくないと言われています。そして、この写真の Miral のように何とかヨルダン川西岸地区の病院での治療が可能となっても、家族の同伴が許されるような例はほぼ皆無なのです。

キリスト教という世界宗教の生まれた土地であるパレスチナは、平和や自由、平等、あるいは慈悲、慈愛といった言葉からかけ離れた場所になってしまっています。ユダヤ教やキリスト教、イスラム教といったアブラハムの宗教が信じる唯一神なるものが本当に存在するのか、甚だ疑問ですが(そもそも存在を立証するものなど何ひとつありませんが)、宗教そのものの問題については、これはまた改めて別の機会に譲ります。

パレスチナ問題については、今年 9月11日に note に登録して以来、何度か書いてきましたし、これからも繰り返し投稿していきますが、今日の本投稿は、最後に歌を紹介して終わりです。

Simon & Garfunkel の "7 O'Clock News/Silent Night", 1966年10月10日にリリースされた彼らの 3枚目のアルバム "Parsley, Sage, Rosemary and Thyme" の LP のB面に、その最後を飾る曲として収録されています。日本人でも多くが知っている「きよしこの夜」に、当時のアメリカ合州国のベトナム反戦運動を含む世情や政治状況が分かる「7時のニュース」がオーヴァーラップして、録音されています。

以下に、歌詞と共に、ネット上から手に入れたそのニュース原稿を合わせて掲載しておきたいと思います。

*一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)より「著作権を有する音楽著作物の著作権を侵害している」旨, 指摘を受けた為, 当初 私の誤認識によりここに掲載していた英語歌詞を削除し, 楽曲をバックに読まれる「ニュース原稿」のみの掲載に改めました(2022.9.1 加筆/削除/編集)。

[Newscast, overlapping with verse]
This is the early evening edition of the news. The recent fight in the House of Representatives was over the open housing
Section of the Civil Rights Bill brought traditional enemies together but it left the defenders of the measure without the votes of their strongest supporters. 

President Johnson originally proposed an outright ban covering discrimination by everyone for every type of housing but it had no chance from the start, and everyone in Congress knew it. A compromise was painfully worked out in the House Judiciary Committee

In Los Angeles today comedian Lenny Bruce died of what was believed to be an overdose of narcotics. Bruce was 42 years old

Dr. Martin Luther King says he does not intend to cancel plans for an open housing march Sunday into the Chicago suburb of Cicero. Cook County Sheriff Richard Ogleby asked King to call off the march and the police in Cicero said they would ask the National Guard to be called out if it is held. King, now in Atlanta, Georgia, plans to return to Chicago Tuesday

In Chicago Richard Speck, accused murderer of nine student nurses, was brought before a grand jury today for indictment. The nurses were found stabbed an strangled in their Chicago apartment

In Washington the atmosphere was tense today as a special subcommittee of the House Committee on Un-American Activities continued its probe into anti-Vietnam war protests. Demonstrators were forcibly evicted from the hearings when they began chanting anti-war slogans. Former Vice-President Richard Nixon says that unless there is a substantial increase in the present war effort in Viet nam, the U.S. should look forward to five more years of war. In a speech before the Convention of the Veterans of Foreign Wars in New York Nixon also said opposition to the war in this country is the greatest single weapon working against the U.S

That's the 7 o'clock edition of the news. Goodnight

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