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Ol' '55 (Tom Waits) 〜 歌詞和訳

トム・ウェイツを初めて知ったのはわりと遅かった, ジム・ジャームッシュ監督映画「ダウン・バイ・ロー」(1986年)

名前はそれ以前から耳にしていたけれど, 自分が初めてトム・ウェイツを意識したのは 1986年のたぶん12月。

以下の note 自体は 主として今世紀に入ってからの出来事を書いたものだけど, タイトル写真は, 1986年公開, 当時, 昔々の結婚前に妻と一緒に観た映画のワンシーンをキャプチャーしたもので, この映画のこともわりと紙幅ならぬ note 幅を割いて書いた。

映画の監督はジム・ジャームッシュ (Jim Jarmusch), 主演がトム・ウェイツ (Tom Waits), ジョン・ルーリー (John Lurie), そして ロベルト・ベニーニ (Roberto Benigni) の 3人。

この映画の音楽はジョン・ルーリーが主に担当した, のかもしれない(筆者はその辺の正確な事情はよく知らない)。ただ, 映画にはトム・ウェイツ自身の歌が使われてるし, 俳優としての演技だけでなく, 音楽でも一定程度以上(曖昧な言い方だけど!)関わったに違いないとは思う。

次は今年の自分の誕生日に関わって。

2021年の 911 誕生日は, "Ol' 55" ♫

今年の誕生日の 2日後の note 投稿です。題して, トム・ウェイツ "Ol' '55" 〜 ラジオで誕生日リクエストがオンエアされた ♫

今日の本題は 次章から。

Ol' '55 (Tom Waits, 1973) 〜 歌詞和訳

今日, 昼飯前(「朝飯前」ではありません, 笑)にざくっと訳してみた。わりと意訳が多いかも。例えば "stay" は普通は「滞在する」とか「居る」って日本語に置き換えるんだろうけど, この歌の中ではそういう言葉にしなかった。言葉の上では 訳だけど, まぁ文字通り 味はこれでいいんじゃないかと思ってる。

それと, 日本語訳としてはもう少し言葉数を減らした方がよかったかもしれないけれど, しかしトム・ウェイツは早口で沢山の単語を入れて歌い込んでいて, そういう言葉をカットしたくないと思うと, まぁこういう感じでいいかなと。

くたびれた 55年式の車, Ol' '55 というのは自分自身のことを言ってるのかなという気がした。トム・ウェイツ自身。でもトム・ウェイツは 1949年生まれ。Ol' '49, ってことで '49年式の車にしちゃったら「作り過ぎ」感あるし, さてその辺りはどういうことだったのか。まぁ本当にある 55年式の車を指しつつ, ではあるにしても。

自分は 1960年生まれ。Ol' '60 だけど, これは俺自身の歌なのだとリスナーとして勝手に解釈して聴く時があってもいいでしょう。ね, トムさん!

因みに彼のデビュー・アルバムに収録された曲で(オープニング・トラック), そのデビュー・アルバムのタイトルは "Closing Time" .. デビューにして早くも「閉店時間」(笑)。 

Ol' '55 〜 the opening track and lead single from the debut studio album by Tom Waits (born December 7, 1949), "Closing Time" released in March 1973 on Asylum Records ♫

*一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)より「著作権を有する音楽著作物の著作権を侵害している」旨, 指摘を受けた為, 当初 私の誤認識によりここに掲載していた英語歌詞を削除しました。英語歌詞・原詞は公式サイト等に掲載されているものを確認してください(2022.8.31 加筆/削除/編集)。

..............................

時間はあっという間に過ぎてしまって, 俺は大慌てで (*1) 俺のくたびれた 55年式の車に乗り込んだ
ゆっくり走り出すと何だか神聖な気分になって, 神のみぞ知る, どうやら俺は生きてるようだって感じたよ

いま陽が昇ってきた, 俺は幸運の女神と相乗り中さ, 高速を走る車やトラックと一緒にね
星が見えなくなり始めて, いま俺はパレードを先導してる
ただ望むのは もう少しこうしていたいってことさ
おお神よ, 分かってくれるかい, そんな気持ちが強くなってきたんだ (*2)

そして朝の6時, 悪い兆しは何もなかったよ; 俺は俺の道を進む他ないのさ
やれやれ, トラックは皆, 俺を追い抜いていくね, テールライトを点滅させながら (*3)
俺はいま おまえのところを出て, 家路につくところなんだ

いま陽が昇ってきた, 俺は幸運の女神と相乗り中さ, 高速を走る車やトラックと一緒にね
星が見えなくなり始めて, いま俺はパレードを先導してる
ただ望むのは もう少しこうしていたいってことさ
おお神よ, 分かってくれるかい, そんな気持ちが強くなってきたんだ

時間はあっという間に過ぎてしまって, 俺は大慌てで 俺のくたびれた 55年式の車に乗り込んだ
ゆっくり車を動かすと何だか神聖な気分になって, 神のみぞ知る, どうやら俺は生きてるようだって感じたよ (*4)

いま陽が昇ってきた, 俺は幸運の女神と相乗り中さ,
高速を走る車やトラックと一緒にね, 高速を走る車やトラックと, 車やトラックと...

......................

注釈

*1 lickety-splickly は辞書を引いても見つからない。いや, でかい辞書(「でかい」って比喩です, 今や辞書はネット上にいくらでもあるからなぁ)なら載せてるかもしれないけれど, まぁいいや。一方でこれとはちょっとだけ違うが "lickety-split" というアメリカ英語の口語があるようで(副詞), これは "lick"(「舐める」ではなくてこれも口語で「高速」「全速力」といった意味)と "split"(「裂く」「別れる」よりもここでは「その場から去る, 出る」「素早く去る」といった意味)の組み合わせで, 結局やはり「全速力で」といったニュアンスになるらしい。

ネット上で見た辞書によれば, "lickety-split" は l-i-t という音が 2回反復されていて, 日本語の「パパッと」とか「ササッと」などに似た擬態語的な面を持つ副詞句かもしれないということだけれど, その意味では lickety-splickly は反復の音がもっと多くて l-i-c-k-y が 2回反復される。元々この言い方があるのか, トム・ウェイツが造った表現なのか自分には分からないけれど, "lickety-split" から派生させつつ, その語感に更に慌ただしさを加味した表現だと言えるかもしれない。

*2 let me tell you は「きみに言わせてほしい」「一言 言わせてほしい」ということなわけだけど, この you はその前の Lord, つまり「神」かな。まぁこの歌の主人公が本当に神(の存在)を信じているのかどうか定かでないのだが。とりあえず「神」が相手だからって必要以上に慇懃な言葉遣いはしなくていいだろうし, それに日本語にした場合の言い回しも, 上述のような直訳的な訳にしなくていいだろうと思った。まぁ勝手にそう思ったわけです(笑)。

*3 ここの lights はヘッドライトなのかテールライトなのか。それと, flashing は英語的にはまずは「点滅」ってことなんだろうけど, でもここでは「光らせながら」の方がいいのかな。迷ったまま。後で気分で変えるかも。

*4  pulled away は, "pull away" に「(車が)発車して(その場所から)離れて行く」とか「(人がその場所から)離れて行く」とかいった意味があって, この歌の中では主語は I, だからここは最初の節(verse)に出てくる I drove away と殆ど同じような意味ということでいいと思う。それでもまぁ違う単語を使ってるので, 和訳の方も少しだけ言い方を変えてみた。

さて, 次章は ライヴ です。

Ol' '55 (Tom Waits, LIVE 1975) 〜 歌詞和訳

この人は若い時から「渋い」んだけど, 歳を経るとどんどん, さらに「渋く」なっていく。そういう意味では後年めっちゃ「渋」なんだけど, このスタジオ・ヴァージョンからたった2年後の 1975年のライヴでも, 既にかなり渋い。

ライヴだからオリジナルの歌詞を一字一句そのまま歌っているわけではなく, 例えばスタジオ・ヴァージョンでは "As I drove away slowly", "As I pulled away slowly" と言い回しを変化させている箇所は, このライヴではどちらも後者の方で歌っている。他のところでも細かいところで聴き取れる違いもあるけれど, 語句の中でごちゃごちゃっと挟んでいるような言葉もあるようで, そんな仔細なところは筆者のヒアリング能力ではとても聴き取れない。というわけで, 上述の "As I pulled away slowly" の箇所以外は, 前章のオリジナルの歌詞をそのまま以下に掲載した。

あ〜あ, とにかくトム・ウェイツ兄いは渋い。このライヴの時は 25歳だと思うと, 尚のこと驚き。今の「還暦」過ぎた筆者より, よほど渋い ♫

Ol' '55 〜 Tom Waits LIVE 1975

*一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)より「著作権を有する音楽著作物の著作権を侵害している」旨, 指摘を受けた為, 当初 私の誤認識によりここに掲載していた英語歌詞を削除しました。英語歌詞・原詞は公式サイト等に掲載されているものを確認してください(2022.8.31 加筆/削除/編集)。

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時間はあっという間に過ぎてしまって, 俺は大慌てで (*1) 俺のくたびれた 55年式の車に乗り込んだ
ゆっくり車を動かすと何だか神聖な気分になって, 神のみぞ知る, どうやら俺は生きてるようだって感じたよ (*2)

いま陽が昇ってきた, 俺は幸運の女神と相乗り中さ, 高速を走る車やトラックと一緒にね
星が見えなくなり始めて, いま俺はパレードを先導してる
ただ望むのは もう少しこうしていたいってことさ
おお神よ, 分かってくれるかい, そんな気持ちが強くなってきたんだ (*3)

そして朝の6時, 悪い兆しは何もなかったよ; 俺は俺の道を進む他ないのさ
やれやれ, トラックは皆, 俺を追い抜いていくね, テールライトを点滅させながら (*4)
俺はいま おまえのところを出て, 家路につくところなんだ

いま陽が昇ってきた, 俺は幸運の女神と相乗り中さ, 高速を走る車やトラックと一緒にね
星が見えなくなり始めて, いま俺はパレードを先導してる
ただ望むのは もう少しこうしていたいってことさ
おお神よ, 分かってくれるかい, そんな気持ちが強くなってきたんだ

時間はあっという間に過ぎてしまって, 俺は大慌てで 俺のくたびれた 55年式の車に乗り込んだ
ゆっくり車を動かすと何だか神聖な気分になって, 神のみぞ知る, どうやら俺は生きてるようだって感じたよ

いま陽が昇ってきた, 俺は幸運の女神と相乗り中さ,
高速を走る車やトラックと一緒にね, 高速を走る車やトラックと, 車やトラックと...

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注釈

*1 lickety-splickly は辞書を引いても見つからない。いや, でかい辞書(「でかい」って比喩です, 今や辞書はネット上にいくらでもあるからなぁ)なら載せてるかもしれないけれど, まぁいいや。一方でこれとはちょっとだけ違うが "lickety-split" というアメリカ英語の口語があるようで(副詞), これは "lick"(「舐める」ではなくてこれも口語で「高速」「全速力」といった意味)と "split"(「裂く」「別れる」よりもここでは「その場から去る, 出る」「素早く去る」といった意味)の組み合わせで, 結局やはり「全速力で」といったニュアンスになるらしい。

ネット上で見た辞書によれば, "lickety-split" は l-i-t という音が 2回反復されていて, 日本語の「パパッと」とか「ササッと」などに似た擬態語的な面を持つ副詞句かもしれないということだけれど, その意味では lickety-splickly は反復の音がもっと多くて l-i-c-k-y が 2回反復される。元々この言い方があるのか, トム・ウェイツが造った表現なのか自分には分からないけれど, "lickety-split" から派生させつつ, その語感に更に慌ただしさを加味した表現だと言えるかもしれない。

*2  pulled away は, "pull away" に「(車が)発車して(その場所から)離れて行く」とか「(人がその場所から)離れて行く」とかいった意味があって, この歌の中では主語は I, だからまぁ上のような感じでよいかと。

*3 let me tell you は「きみに言わせてほしい」「一言 言わせてほしい」ということなわけだけど, この you はその前の Lord, つまり「神」かな。まぁこの歌の主人公が本当に神(の存在)を信じているのかどうか定かでないのだが。とりあえず「神」が相手だからって必要以上に慇懃な言葉遣いはしなくていいだろうし, それに日本語にした場合の言い回しも, 上述のような直訳的な訳にしなくていいだろうと思った。まぁ勝手にそう思ったわけです(笑)。

*4 ここの lights はヘッドライトなのかテールライトなのか。それと, flashing は英語的にはまずは「点滅」ってことなんだろうけど, でもここでは「光らせながら」の方がいいのかな。迷ったまま。後で気分で変えるかも。

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