顔認証システム、ドイツ国内で非難轟々
独政府が、鉄道駅や空港で顔認証システムの導入を検討していることを受け、市民や一部政治家から批判の声が続出している。
顔認証技術は現時点で不十分なものであり、誤認証を引き起こす恐れがあると訴えているとのこと。
EUではかねて、個人情報の取り扱い方を巡り規制強化の動きが出てきている。GDPRもその一つ。治安や安全、セキュリティー目的で顔認証システムを導入しようとする動きがある中、これが個人情報を特定するほか、監視されているように感じてしまう人々もいる。
独週刊誌シュピーゲルは先に、ゼーホーファー内相が、国内の鉄道駅134カ所と14空港に、人混みの中で自動で人物を特定する顔認証カメラの導入を検討していると報じた。
ドイツ国内での普及を拡大する狙いとみられている。
報道について内務省の確認は取れていないものの、政府の広報担当官は、連邦警察法の改正は、向上したテクノロジーや、正当でより広範な責務を警察に付与するものだと説明。
これに対し、顔認証の導入に反対する市民と政治家の団体は、政府に請願書を提出し、顔認証システムの導入拡大に反対するだけでなく、公共での使用の全面的な禁止を求めた。
同団体を創設したビクトル・シュリューター氏は発足の理由について、「多くの人々が有用性や利便性に強い疑念を抱いているため」と述べている。
内務省は2018年、ベルリン・ズュートクロイツ駅で顔認証カメラの試験運用を実施。認証率は80%だったという。しかし、ハッカー集団「カオス・コンピューター・クラブ」は、三つの技術プロバイダー全てが同時に機能し、互いにサポートし合ったときにのみ、こうした良好な結果が出るのであり、単一のプロバイダーに限ると、68.5%にとどまるとしている。
さらに誤認証は差別的だとの声もある。特に女性、子供、肌の色が黒い人々は認証率が低く、これが差別を助長すると主張する。(これはちょっと無理があると思うけど)
全面禁止を訴える人々はまた、同システムが萎縮効果(chilling effect)を生み出すという。
萎縮効果とは
刑罰や規制を定める法令の文言が不明確であったり過度に広範であるため、その法令の適用を恐れて、本来自由に行いうる表現や行為が差し控えられること。萎縮効果の影響により自主規制が行われると、実質的に表現の自由が阻害されることがある。(ウェブリオより)
つまり、技術的問題が仮に解決されたとしても、顔認証導入によるコンスタントな監視は、人々に行動の改変を引き起こさせるというのだ。人々は監視されていることで見られていると感じ、(さらに身元が国家のデータベースに載ってしまうため)政治参加やその他の公な活動を恥ずかしく思い、ためらってしまう。この萎縮行動は民主主義国家にとり、非常に危険だとしている。
治安と監視。
難しい案件だと思う。ちなみにガトウィック空港では欧州各国に先駆け、乗客の身元確認に顔認証システムを導入。これはまあ、今回の治安維持とはまた違う次元の話なので、議論のケーススタディとは有用ではないが。
ちなみにこの「監視」というワードから思い出したのがある映画。
トゥルーマン・ショーをご存知だろうか。
生まれた時から監視?ではないけれど、作られた世界の中で生き続け、周りの人々は全てキャストという設定の話。
詳しくはウィキをご覧あれ。
地味に怖い話で、私個人としてはあまり好きではなかった。
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