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アリババやシャオミも投資するEV/自動運転車のXiaopeng Motorsが$500M調達など:米国主要VC投資調査 番外編part.01

半沢直樹が今日の放送分の4話で終わるのかと思いましたが、ちゃんと帝国航空編(銀翼のイカロス)もやるようで安心しました笑

原作小説もおもしろいのでドラマが気に入った方はオススメです。

お知らせ

先月7月2週目から米国主要VC投資調査マガジンを始めました。

・Zoomが追い風になるか?Docketがシードで$1.3M:米国主要VC投資調査vol.01
・巨人出身のゲーム開発企業Carbonatedがシードで$8.5M:米国主要VC投資調査vol.02
・COVID-19の影響で受講者5倍‼︎オンライン学習CourseraがシリーズFで$130Mなど:米国主要VC投資調査vol.03
・毎月1億2,000万人以上が利用するプログラミングQ&Aサイト+αを提供するStack OverflowがシリーズEで$85M調達など:米国主要VC投資調査vol.04

普段は米国トップVCと呼ばれるAndreessen Horowitz、Kleiner Perkins、Sequoia Capitalの3社についてまとめています。

今回は番外編として6月〜7月で大型資金調達をした中国企業3社に絞ってまとめました。


・IDG Capital :1社
< Biren Technology $155M / Series A / 半導体:チップ >

・Legend Capital:1社
< Tongcheng Life $200M / Series C / EC:生鮮食品 >

・Sequoia Capital China:1社
< Xpeng / Xiaopeng Motors $500M / Series C / EV:自動運転車 >


・IDG Capital :1社

Biren Technology $155M / Series A / 半導体:チップ

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参照元/URL:https://www.birentech.com/

2019年に設立された半導体のスタートアップ、Biren TechnologyがシリーズAで1億5,550万ドル調達。近年の半導体業界のAラウンド資金調達の新記録を打ち立てた。

Qiming Venture Partners、IDG Capital、Walden International China Fundの3社がリードし、Gree Venture Capital、Green Pine Capital Partners、V Fund、CDB Equipment Manufacturing Industial Investment Fund、Meridian Capital、CCI Holdings、Glory Venturesなどが参加。

上海に拠点を置く創業9ヶ月のBiren Technologyは、国内外のチップとクラウドコンピューティング分野の専門家で構成されており、GPU、DSA(ドメイン・スペシフィック・アクセラレータ)、コンピュータアーキテクチャの分野で深い技術と独自の洞察力を持っている。

Qiming Venture Partnersの創業パートナーであるAlex Zhou氏は、「ここ数十年のチップ分野における最大のチャンスである」と述べている。

北沢:まず半導体とはなんぞ?という方にざっと説明をすると、スマホやパソコンなどの電子機器を動かすための脳の役割だそうです(雑)。

多くのリリースを見てきたわけではないのですが、VC3社のパートナーからコメントを引っ張ってくるのは珍しいなと思いました。約155億円という金額にも表れているように、それだけ注目しているスタートアップだということでしょうか。

VLSIresearchという半導体および装置市場調査会社の調べによると、2019年の半導体製造装置メーカー売上高ランキング・トップ15に日本企業は8社(東京エレクトロン,アドバンテスト,日立ハイテクノロジーズなど)がランクインしているとのこと。

海外勢はApplied MaterialsやLam Research、Teradyneなど、名前を見ても知らない企業ばかりだったのですが、1社聞いたことがある!と思ったのがASM Internationalです。「これ、ソフトバンクが3兆円くらいで買収した企業では??」と思い調べてみると、、

全然違う企業でしたw ASMはオランダに本社がある半導体企業で、ARMはイギリスに本社があるライセンスやロイヤリティを収益源とした企業です。そのため収益性が高いのですがそんなARMも次は売却ということで話題になっていますね...しっかり説明があるので興味のある方は是非。

話が逸れましたが、これだけ大手がいる中でどう戦っていくのか。半導体について知らないせいか、イメージとしてはAppleのiPhoneや、Googleのpixelといった激戦の中に「新しいスマホ出すぞー!」と、飛び込んでいくようなもので、討ち死にするだけなのではないか?と思うのですが。


・Legend Capital:1社

Tongcheng Life $200M / Series C / EC:生鮮食品

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参照元/URL:https://www.ixiancheng.com/

コミュニティ単位で共同購入するECを運営するTongcheng Life(同程生活)シリーズCで2億ドルを調達した。2018年末に設立され、近隣地域での生鮮食品の食料品通販を取り扱っている。

JoyyとEngage Capitalがリードし、GSR Ventures、Legend Capital、Engage Capital、Bertelsmann Asia Investments、Oriza Holdings、
Welight Capitalが参加。

WeChatのミニプログラムでの注文も可能(LINEから注文できるイメージ)で、農家から直接購入することもでき、注文が完了すると、地元の店舗やスマートロッカーに商品が届き受け取ることができる。

すでに10億人以上が利用していて、売上高の約70%を占める生鮮食品に加え、家庭用品やその他製品も提供している。

コミュニティ単位で共同購入するモデルは、EC大手のPinduoduoなどが始めたもので、中国では非常に人気。コミュニティ単位でまとめ買いをすることで、消費者の価格を抑え、生鮮食品をスーパーの棚に並べる過程を省略することで、農家の利益を向上させることができるとのこと。

北沢:日本だとコミュニティや、何人か共同で注文することはほぼ0に等しいのではないかと思います。僕は実家が田舎なのですが、野菜のおすそ分けはあっても、共同購入パターンは聞いたことがないので文化の違いなのかなと。

中国では土地の所有形態には「国が所有」もしくは「集団で所有」の2種類しかないという話もあり、農民の方はどこかの集団に属する必要があるそう。その影響、集団での行動への慣れの上に成り立っているのではないかと感じました。

中国の人口が14億人を超えたと言われる中、Tongcheng Life(同程生活)をすでに10億人以上が利用しているので、約7割の人が使っていることになり、生活のインフラとして欠かせないものになっているんだと驚きました。

日本ではつい先日、産直ECを運営する食べチョクが6億円を調達したとリリースがありましたが、COVID-19の影響でこうした産地直送を扱うサービスが伸びていますね。

食べチョクは何かのテレビ(仕事論?)で見て存在は知っていたので、このリリースを見たときはなんだか嬉しかったです笑


・Sequoia Capital China:1社

Xpeng / Xiaopeng Motors $500M / Series C / EV:自動運転車

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参照元/URL:https://en.xiaopeng.com/

アリババの元幹部、He Xiaopeng氏が率いる電気自動車のスタートアップXpeng(シャオペン/小鵬汽車)は、シリーズCで約5億ドルを調達しました。累計調達額は17億ドルに達し、評価額は35億7000万ドルを超えているという話も。

投資家には、Aspex Management、Coatue Management、Hillhouse Capital、Sequoia Capital China、Foxconn、Xiaomi、GGV Capital、Morningside Venture Capital、IDG Capital、Primavera Capital など多くが参加しました。

広州に本社を置く同社は、北京、上海、シリコンバレー、サンディエゴにオフィスを構え、3,000人以上の従業員がいます。

中国での電気自動車の販売は、昨年の政府補助金の削減+COVID-19の影響で需要をさらに減少させると予想されており、Xpengは閉鎖された実店舗の代わりにオンラインで顧客にリーチするため、TikTok、Weibo、WeChatなどのツールに頼らざるを得なかったとのこと。

Xpeng以外の電気自動車スタートアップの動きにも変化がありました。

Byton(バイトン)は、COVID-19の影響を理由に、北米にある工場の従業員450人の約半分を解雇。他の競合である、Nio(ニーオ/蔚来汽車)は地元政府から100億元の調達を行い、Li Auto(リオート)は先月末に株式公開をしました。

政府としては、2025年までに新エネルギー車の販売台数を、中国の自動車販売台数の4分の1にすることを目標にしているため、EV市場は競争が激しく、上記以外にもテンセントが出資するDidi Chuxing(ディディチューシン/滴滴出行)米国のTesla(テスラ)などの多くのプレイヤーがパイを奪い合う状況。

Xpengが新規株式公開を視野に入れていたが、延期していたとも台北の資産管理会社Oak Stone Limitedは伝えている。また同社の価値を36億ドルと推定。

北沢:この中国編を書いている時に、EV車のLi AutoがIPOをしたり食べチョクが資金調達をしたりと、書いていることに関連するリリースが続いたので、やはり大きな変革期にいるんだなあとそわそわしながらまとめましたw

電気自動車・EVといえばテスラがイメージとして強かったのですが、中国だけでも上記のようなXpeng・Byton・Nio・Li Autoなど、テンセントが出資していたり、10億ドルを調達していたりとバチバチの状態が伺えます。

先日、自動運転に関しての考えをまとめた記事を出しました。

書いた時はXpengについてまとめるつもりはなかったので、今読み返すと、書く前に中国市場について知識が足りなかったなあと思うのですが、その時の考えを残すという意味ではいいかなと。

テスラのとのいざこざもありましたが、EV市場がどうなっていくのか?は日本にも大きな影響がありそうなので今後が楽しみです。

※2020/08/09追記:ニューヨーク証券取引所に新規株式公開の申請をしたとのニュースがありました。テスラに挑戦するためという一文もある通り、上場後の動きも気になるところ。


以上です。

今はTikTokが話題ですが、マイクロソフトが買収してもシナジーはなさそうに見えたのですが、広告事業でメリットがあるそう。

中国だけに絞ってもこうした話題の企業に加えて、多くのベンチャーキャピタルやスタートアップがあるので、調べることに事欠かないので楽しいです笑



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