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「10代の心(実年齢問わず)を刺激する本」を並べた古本屋・大吉堂の店主が遭遇した本のこ…

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「10代の心(実年齢問わず)を刺激する本」を並べた古本屋・大吉堂の店主が遭遇した本のこと。 https://daikichidou.web.fc2.com/

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本との遭遇覚書・大吉堂について

・大吉堂大吉堂は大阪市阿倍野区にある「10代の心(実年齢問わず)を刺激する本」を並べた古本屋です。 古本屋なので、今現在の10代だけでなく10年前や30年前の10代の心を刺激する本もあります。 少しでも気になれば、ぜひお越しください。 https://daikichidou.web.fc2.com/ ・古本YA YAとはヤングアダルトの略。「10代を読者対象とした本」のことです。 児童書として出されているものや、一般文芸としていわゆる「青春もの」も分野で出されているもの

    • 大吉堂読書録・2024年8月

      『この本、おもしろいよ!』(岩波書店編集部編) 各界で活躍している人が、若者に勧める本の数々。 紹介される本はほぼ小説。三村美衣さんが執筆者に入っているため、当時(2007年)のライトノベルの流行が追えるのも面白い。 勧められることで新たな出会いもある。それがブックガイドの楽しさ。 『長浜高校水族館部!』(令丈ヒロ子) テレビなどでも度々紹介される、実在の部活動を元にした青春物語。活動内容や実績は、そのままだからすごい。 好きだから頑張れる。好きだから悩む。生き物相手だ

      • 本との遭遇覚書・10周年を迎えて

        2024年9月6日大吉堂は10周年を迎えました。ありがとうございます。 古本屋を始めたきっかけを聞かれた時に「魔が差した」と答えてますが、実際あまり何も考えずに始めているのです。 悩みはしました。昔から「いつかはやりたい」と思っていました。思いながら結局やらずに終わるのだろうなとも思っていました。 でも背中を押してくれる人もいて、えいやと始めたのです。 店のコンセプトは最初から決まっていました。 「10代の心(実年齢問わず)を刺激する」古本屋です。 YA(ヤングアダルト)

        • 大吉堂読書録・2024年7月

          『亡霊は夜歩く 名探偵夢水清志郎事件ノート』(はやみねかおる) 壊れた時計塔の鐘が鳴り響き亡霊(ゴースト)が現れる。ゴーストの目的は何か。 学校の伝説に因んだ謎の魅力と、学園ものとしての魅力が融合された面白さ。見事なまでの青春ミステリ。謎を解くことを目的化しない名探偵の魅力。 『そろそろタイムマシン で未来へ行けますか?』(齊田興哉) SFに登場するあれやこれは実現できるのか?  今現在の技術や開発中のものを紹介するので、興味関心の入口になりそう。 もう既にそこまでできる

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        本との遭遇覚書・大吉堂について

          大吉堂読書録・2024年6月

          『栗本薫・中島梓 JUNEからグイン・サーガまで』(堀江あき子・編) 膨大な活動からタイトル通りJuneとグインをメインに紹介。 一歩下がったような冷静な記述で総観しているが、所々で熱が噴出しているのが素敵。巻末に著作一覧があるのも嬉しい。 作品がこれからも多くの人に読まれますように。 『浪漫探偵・朱月宵三郎 屍天使学院は水没せり』(新城カズマ) 装飾に装飾を重ねた文章や設定や展開で彩られる怪人vs探偵。 荒唐無稽に見えて、ある意味ルールに則った特殊設定ミステリとも言え

          大吉堂読書録・2024年6月

          本との遭遇覚書・90年代を極めたい

          90年代から00年代にかけての娯楽小説を極めたい。 新本格ミステリの勃興と繁栄、ラノベレーベルの確立と拡大、ホラー文庫の創刊、SFの冬と夏、RPG型ファンタジーの隆盛、海外児童ファンタジーの大流行、などなどを網羅したい、極めたい。 そのためにはどんどん読まねば。小説自体だけでなく、ガイドブックや評論や雑誌も読みたい。さあ楽しくなってきたぞ〜 オタク文化としての小説(という表現がいいのかどうかはさておき)は、70〜80年代のものは扱う店も多いのだけれど、90〜00年代は一部を

          本との遭遇覚書・90年代を極めたい

          大吉堂読書録・2024年5月

          『シュレディンガーのチョコパフェ』(山本弘) どれもこれも面白い短編集。 SFとは人間や世界を大きなホラ話で囲んでしまい、その外側から観察するような面白さがある。だから人間や世界の本質を描くことができるのだろう。 そんなSFの面白さを多方向からグイグイと示してくれるような一冊。 『未踏の時代 日本SFを築いた男の回想録』(福島正実) SFマガジンを創刊し、日本にSFを根付かせ広めた人の回想録。 SFとは何かを問い続け唱え続け、ありとあらゆる手を尽くす。凄まじい熱量が胸を

          大吉堂読書録・2024年5月

          本との遭遇覚書・本を勧めること

          「何かオススメの本ありませんか?」 店でよく言われます。買う本を選んでほしい。選ぶのを手伝ってほしい。 まず確認するのは「普段どのような本を読んでいますか」普段と同じがいいのか、敢えて違うものを読んでみるか。 うちの店の場合は小説が多いので小説だとすると、次によく聞くのは「現実的な話がいいですか、(魔法が出てくるような)非現実的な話がいいですか」 その上で、これはどうかあれはどうかと、物語の冒頭部分やあらすじを紹介します。 この場合、オススメの本は基本的に僕自身が読んでい

          本との遭遇覚書・本を勧めること

          大吉堂読書録・2024年4月

          『金曜のバカ』(越谷オサム) 青春とはバカなのかも。そっちに行くか!? とのバカ話もあれば、一途に熱いバカさを抱えたものもあり、若さ故のバカな暴走もあり、そんなバカに巻き込まれることもある。 そのどれもが愛おしい。かっこよくはないが素敵な青春バカ話。悶えて足掻いて一歩進もう。 『世界ぐるぐる怪異紀行』(奥野克巳・監修) 世界各地の怪異を文化人類学者らが語る。 オカルトに走らず安易な意味づけもせず、当地の人々にとっては当たり前のこととして紹介する。 怪異の物語が生活と直結す

          大吉堂読書録・2024年4月

          「居場所」について思うこと覚書

          地域の子どもたちの「居場所」についての集まりに参加しました。 不登校支援や子ども食堂など様々な活動があります。 そこに参加したことで、ふと思ったことがあります。 「居場所」の形は様々なので、たくさんの人に来て欲しい所もあるし、たくさんの人が来ないと成り立たない所もあるし、たくさんの人が来ると困る所もある。 うちはあくまで古本屋の片隅を開放しているだけなので、たくさんの人が来たらパンクします。 でもそんな小さい活動も必要だろう。小さい活動が気軽にできるのも大切だろう。そんな小

          「居場所」について思うこと覚書

          大吉堂読書録・2024年3月

          『medium 霊媒探偵城塚翡翠』(相沢沙呼) ミステリ作家と霊媒の組み合わせによる連作ミステリ。 近頃は特殊設定ミステリも当たり前になっているからこそ、成り立つ構成。当たり前の意味が二重になり読者に迫る驚愕と快感。ラストの描写に更にやられる。 まさに全てが伏線のミステリ。面白い。 『ウは宇宙ヤバイのウ!〔新版〕』(宮澤伊織) 巨大隕石直撃人類滅亡から始まるスラップスティックSF活劇。 世界線は混淆し星間諜報員は女子高生となり異星人の艦隊が襲い来る。ドタバタの合間に挟ま

          大吉堂読書録・2024年3月

          本との遭遇覚書・ライトノベルを残すということ その2

          前回はこちら→「本との遭遇覚書・ライトノベルを残すということ」 Twitter上で昔のライトノベルを「懐ラノ」と称し、紹介や魅力を伝える活動をしています。 もともと僕自身が読んでいない作品が多くあり、いざ読もうとした時に何を読んだらいいのかわからず、オススメを教えてもらおうと始めたものです。 それに加えて、読みたい本が手に入らない。何となく多くの本を眺めながら読む本を見つけたい。そう思った時にどこの店の棚にも並んでいない! という現状だったので、ならば自分の店で並べようとも

          本との遭遇覚書・ライトノベルを残すということ その2

          本との遭遇覚書・ライトノベルを残すということ

          ライトノベルを残すということ。過去作品が気軽に手に取り読めるという意義について、つらつらと考えたことの覚書。 ライトノベルはずっと読んでいても、ある時ポンと読まなくなることがある。卒業とは言いたくないが、なんとなく疎遠になることがある。 でもまた何年か経って吹っ切れて読み始めることもある。そんな時に空白期間に出ていた作品を読もうと思っても難しいのですよ。 てのが僕自身の経験。だから過去作品を気軽に読める環境を作りたい。 単に「あの作品が読みたい」だけなら、電書やネット通販や

          本との遭遇覚書・ライトノベルを残すということ

          大吉堂読書録・2024年2月

          『少年少女のための文学全集があったころ』(松村由利子) 子どもの頃に読んだ児童文学の思い出。 翻訳についての言及が多いのが興味深い。それに伴い児童文学全集に於ける抄訳の意義や魅力についても語られる。 子どもの時に出会った作品は後の人生に大きく関わる。いい出会いがありますように。 『みどりのトンネルの秘密』(アラン・W・エッカート、山田順子・訳) ボートに乗り暗い緑のトンネルを抜けたら、異世界への入口があった。 ナルニア国への敬意がたっぷりと詰まった冒険ファンタジー。不意に

          大吉堂読書録・2024年2月

          大吉堂読書録・2024年1月

          『虹いろ図書館のへびおとこ』(櫻井とりお) 再読。イヌガミさんに会いたい!!と思い、ガガガと一気読み。 イヌガミさんの子どもとの距離感や仕事に対する姿勢などが好きです。憧れでもあるかも。 色々思うところがあり、その気持ちを再確認するために会いに行きました。この作品が好きなのです。 『屍竜戦記』(片理誠) 竜に抗うため竜の屍体を操る術を見出した人間。 宗教対立、国同士の政治的駆け引き、圧倒的な竜の猛威、何のために戦うのか。救いのない鬱々とした終焉かと思われた、最後の最後に訪

          大吉堂読書録・2024年1月

          大吉堂読書録・2023年12月

          『私が鳥のときは』(平戸萌) 中三の夏、蒼子の母が連れてきたのは余命僅かのバナミさんだった。 あの夏を鮮やかに切り取った物語。だからその外側のものが不意に垣間見えた時に、どきりとさせられる。 少女が少女であらんとする正にど真ん中の少女小説。 『ビブリオバトルガイドブック ルール改訂版』(ビブリオバトル普及委員会 以前ビブリオバトルに対して誤ったイメージを持っていました。公式のルールや意図するものから外れたものを見たせいです。 なので公式ガイドブックでルールや実践例を知れる

          大吉堂読書録・2023年12月