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黒革の手帖/松本清張

武井咲版のドラマ「黒革の手帖」は母親が見ていて、横で私もたまに見ていた。
武井咲って存在感があってキレイで好き。

 
しっかり見たのは1話と最終話くらいであとは部分的にしか見ていなかったが
基本的にテレビを見ない私がこのドラマは先が気になるな、と途中から見てもいつも思っていた。
(結局いつも他にやりたいことあったり、疲れたりで全部まるまるは見なかったが。DVDや録画したものも今は基本見ない人。テレビ離れ…)
 
 
この本を読んだ頃気になった連ドラは「黒革の手帖」と「カルテット」と韓国のドラマ「奇皇后」くらいだ。
母親はドラマ大好きで色々見ているが
そこを横切る時に私もほうほうと立ち止まって見るのはその三つくらいだった。

 
父親は「相棒」と「水戸黄門」と「科捜研の女」が好きなので、ついていれば横で一緒にたまに見る。1話完結なのがいい。

私は夕飯時はテレビを見る。
我が家のチャンネル優先は両親だ。私は今、毎日熱狂的に見たい番組は特にはないのだ。

 
  
話を戻そう。
 
「米倉涼子版ドラマもよかったし、「黒革の手帖」は傑作だ!」と両親が言っていたので
ドラマ最終話を見た後、本屋で小説を購入し
ちょこちょこ読んでいたが
しばらく別の本読んだり、なんやかんやしていて
下巻を読み切るまで時間がかかった。

 
下巻後半が怒濤の展開で目が離せず
昨夜読み始めたら一気に最後まで読んでしまい
久々に夜更かししてしまった。
良い本とは引き込む力がすごい。

 
「黒革の手帖」は主人公元子が銀行で働いていた時代に横領し
そのお金で銀座「カルネ」のママに成り上がり
それからもあの手この手でお金をかき集めて上を目指す話。
ちなみに、カルネとはフランス語で手帖の意味らしい。

元子は悪女だ。 
悪女なんだけど、もっとやってしまえ、と読んでいると応援したくなる魅力がある。

 
武井咲は美人だけど
元子は美人じゃなくて、恋人も友達もいない。
銀行では仕事はできるけど女じゃないから上に行けないし、華やかさがないからモテないしと
色々理不尽さを感じている。共感してしまう。

 
実際、就活で銀行を受けた時の体験や、銀行で働いていた友人からの話を踏まえると
この辺はリアリティーがある。

  
  
横領したお金やまくしあげたお金は
いわゆるグレーなお金だし
その持ち主の行いも明るみに出るとまずいことになるので
その辺を上手く元子は狙う。
法律や仕事柄得た知識などを巧みに使って振る舞うので
心理戦、知能戦が楽しい。

 
横領はするけど
元子が戦う相手も悪女だったり、悪男だったりする。

上巻と下巻前半ではとんとん拍子に上手くいっていた元子だったが
下巻後半の展開がすごい。

え!?あ、え!?
そこでこう繋がるの!?
え、そこも!?
あー…確かに言われてみればあそこは不自然だったよな………
あそこでもっと疑いかかったり、欲を出さなければまたちがかったのだろうが……。
オチがまさかの展開。

あの後、元子はどうなるのだろう?
因果応報、なんだろうが………
やはり悪いことをするとしっぺ返しは来る。
相手が悪かった。
元子は結局一人だった。
一人で大きなものに噛みつきすぎた。
 
  
波子みたいなタイプって敵に回したり、関わるだけでも怖いし
友達にはなりたくないけど
結果的には波子はやり手だった。
大きな力がある男に媚びを売り、仲間にするというのは
女が戦う上で協力な武器になる。

 
元子と波子のののしりあいは女のバトルって感じで面白かった。

 
  
「黒革の手帖」は罠の張り方や伏線が凄まじい。
武井咲版のドラマは小説と内容が大幅にちがかったので
ドラマを見ていたとしても先の展開が分からず
小説版も十分楽しめた。
読み応えあった。

安島さん……やはり女は惚れると冷静になれなくなる。これだから男は…(偏見)
一番似ていて親近感感じるのは婦長さんかな。

しかし小説版で一番怖いのは、やっぱりすみ江だな…波子みたいなタイプのが分かりやすいから対処しやすいのだ。

私はすみ江タイプを見破れる自信ない。


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