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気が緩む金曜日

某利用者が日中不安定な様子だったので
送迎の時に保護者に伝えた。

 
保護者は迷惑をかけたのではないかと不安がっていたし
当の本人も不安がっていたが
安心させようと、色々と話をする内に雑談になった。

「あそこの職員さんはみんな仲がよいわよね。それはよく伝わってくるわ。利用者にも伝わって、それでいい雰囲気なのだと思う。」

「真咲さんが働きやすい環境でよかったわ。うちの子は真咲さん好きだから、これからも働いていてほしい。」

そんなことを保護者に言われた。

 
確かにうちの施設の人間関係はとてもいい。
なんというか、悪意がある人がいない。
ケンカがなく、文句や陰口や派閥もない。
みんなよく働く。

 
笑顔で穏やかな人間関係。

ここで働いていると
私が一番性格悪い気さえしてしまうほど、みんないい人だ。

 
前の職場も正職員同士や事業内は仲がよかった。気が合った。
だけど、職員全体を見れば、働く意欲にバラつきがあったし、怒鳴る声や文句や陰口も日常茶飯事で、派閥もあった。

 
転職先は人に恵まれている。

それは常々思っている。

 
その日は保護者と話しすぎて戻りが遅くなった。

色々話せたのはよかったが
そのたまたま職員の休みが多く、私は焦りながら職場へ戻った。

 
やるべきことはリーダーが送迎後にシレッと全部済ませていた。
さすがリーダーだ。

 
その日は金曜日で、気の緩みがあったのだろう。
珍しく事務室で雑談で盛り上がった。

 
いつもは定時くらいで上がるし、会話もそこそこに帰るが
やはり金曜日で何事もなく一日の仕事が終わろうとし
気が緩んでいたのかもしれない。

仕事に関係のない話を笑いながらする時間。
それが楽しかった。

 
私はリーダーと共に職場を出て
更に駐車場で話の続きをして笑った。

こんな風にリーダーと長時間話すのは久々だ。
話せば話すほど好きになる。

 
「俺に話しても、何もできないよ。」
「他の人の方が力になれるよ。」

そんな風に言いながら
いつだってリーダーは私の悩みや話に向き合ってくれる。
意見を聞かせてくれる。

 
安心感。
信頼感。

それは態度からいくらでも伝わる。

  
話を何分も何分も聞いてくれる。
それが私には力になる。

 
話を終えて自車に乗り込んだ時
二人で一時間も話していたと気づいてビックリした。
事務室でのみんなとの雑談も合わせればそれ以上だ。

やはり金曜日だから気が緩んでいたのだと思う。

 
仕事中は仕事の話が中心だからこそ
利用者が帰った後、一日が、一週間が終わろうとする時
こうして話ができる人がいて幸せだ。

 
前の職場でもよくこうして同僚と色んなことを話した。
あの時間が好きだった。

私がいなくても、きっと今もまだ、前の職場は職場で職員同士話しているのだろう。

 
両親が三日間旅行で寂しさもあったが
久々にガッツリやる家事の忙しさや人の温かさに触れ金曜日は心地良い疲れと癒やしに包まれた。
なんて素敵な日だろう。

 
今日はいい日だった。
明日もきっといい日になる。いや、する。

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