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8月31日の夜に

そういえば、高校生までは8月31日までが夏休みだったんだな、と今更になって思い当たる。たった一ヶ月ちょっとしか会ってないだけなのに、何故だかずいぶん長い間クラスメイトに会っていないような気がして次の日学校へ行くことが楽しみなような、寂しいような複雑な気持ちに襲われた覚えがある。

社会人になってみると、夏休みといえばお盆休みを含めた1週間だけ。いつもと比べて長い休みを取れるだけに、何だかワクワクする瞬間である。それだけに、この年になると8月31日という日はそれほど特別な日ではなくなってしまったのだが、noteの企画で改めて8月31日という区切りを設けられると、なんとなくちょっといろんなことを考えようではないか、という気になってくる。

そんなわけで、今日は天気予報も外れて強烈な雨は降らず、ここ数日の暑さと比べるとだいぶ涼しくなってきたので家の周りを歩くことにした。夜風が気持ちよくどこかで何か燻るような香ばしい匂いが漂ってくる。わたしは、わたしが今住んでいる町が結構気に入っている。それほど都会でもない代わりに、それほど田舎でもない。

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夜、歩く道は人がまばらである。静かに走る自転車の音、足早に家路へ戻る途中の人々。30分くらいかけて、人通りの少ない道を歩いた。すると大きなお寺があったり種類の豊富なお米屋さんがあったり意外と新しく発見することも多い。

そしてたどり着いたお店は、デザートとカレーが有名なお店。特にインスタ映えというものには興味がなかったが、8月の終わりの日にとんでもなく胃袋が飛び上がるようなカレーとスイーツをいただいた。素敵な夜だった。

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エビのカレーと豚チキンカレー。そして周りに散りばめられた燻製卵やアチャール、パクチーなど。混ぜれば混ぜるほど新しい味が生み出されていく。味に深みが出てくる。食べても食べても胃袋が求めてくる感覚は久しぶりだった。

その後に出されたパフェも素敵だった。決してベタついた甘さがなく、程よく酸味の効いた桃、練乳、アイスクリン、ダージリンの葉。全てがまるで計算されたかのような見事な味の配置だった。

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無事に胃袋が満たされた後は、そのまま再び我が居城へと戻る。美味しい料理はお腹だけでなく、お腹も満たされる。そして夏の空気感はいつにも増して爽やかだった。

かつて夏休みを終える頃には何だか寂しいような嬉しいような複雑な気持ちだったが、今は明日を迎えることにワクワクしている。歳を取ったらとったでまた違う楽しみ方が見えてくる。今の生活もそれほど悪くない。

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