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私の短歌:「駅」を詠んでみた
二十五階の女子トイレから見下ろした東京駅は眠らない川
2022年2月20日のNHK短歌の題は「駅」。この題は過去と未来、身近にあるものと遠くにあるものといったように、想像力を掻き立てられ、とても楽しい作歌ができました。
そのおかげでしょうか、久しぶりにNHK短歌で冒頭の短歌が入選し、初めて一席をいただきました。大森静佳先生、ありがとうございました。
これは15年間勤めた会社での思い出を詠んだものです。実際には東京駅が見えたのはメインのオフィス側からで、女子トイレからは見えませんでしたが、女子トイレの窓から外の風景を眺めていたことを思い出して、東京駅の動脈のような、静脈のような発光する姿と重ねてみました。
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ユトレヒト駅に降り立つ十年の夢から覚めた私の駅だ
次はオランダとベルギーを旅行した時の思い出です。実際にはアムステルダム駅を詠みたかったのですが「夢」と韻を踏むためにユトレヒトにしました。オランダの駅はどれも私が繰返し夢に見てきた駅に似ていて、私はオランダ人の生まれ変わりではないかと思ったものです。第二次世界大戦の時に敵国同士だったため、オランダ人の日本人に対する心証はかなり悪いそうですが、個人的には合理的な考え方をする国民として親近感を抱いています。
オレンジのハートのグミが落ちている昨日と同じ駅の階段
革命は失敗すればテロになる休日ダイヤで駅は脈打つ
カテーテルが腿から入っていくように我は着きたり最後の駅へ
個人的には、グミの歌も気に入っています。いま勤めている会社の最寄り駅で、2日続けて同じ階段に同じグミが落ちたままになっていて、なんだかほほえましかった、ただそれだけのことを詠んでみました。
「革命は~」は、60年代安保っぽい社会観をいまだ捨てられない一部の文化人への皮肉を込めて。東京駅から通勤していた時、ここはかっこうのテロの標的になるなあ、と何度も思ったものです。
最後の歌は、ちょっと辞世の歌っぽい感じです。友人が先日カテーテル手術を受けたことからひらめいたのですが、幸い彼女の手術は成功し、とても元気です。よかったー。(終わり)
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