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Z世代の新卒が「知り合い同士のためのVRコミュニケーションアプリ」を作った話

こんにちは。ダフトクラフトのオオタです。

突然ですが、私はVRChatに馴染めません。

VRChatとはVR SNSの一つで、今世界で最も多いユーザー数を誇るプラットフォーム。Oculus Questを購入した約半年前にアカウントを作りそこからちょこちょことワールド巡りなどをしてますが、基本的には1人で周り、自分しか来れないようなインスタンス(部屋)を立て、たまに勇気を出して他のユーザーがいるオープンインスタンスに入ってはビビって逃げてくる、の繰り返しです。

VRChatヘビーユーザーの妹に相談しても「そうは言っても知らない人とおしゃべりするためのプラットフォームですし……」と言われ、ぐうの音も出ず退散するのみ。「知らない人とおしゃべりしたい」という欲求っていったいなんなの? それ自体が理解できない私にVRChatが楽しめるわけないんじゃないか……と最近は諦めかけています。


そんな「知らない人とおしゃべりしたい」欲求が理解できない私が普段どんなSNSライフを過ごしているかというと、

①友達のみ・鍵アカ・ストーリーのみのInstagram
②鍵アカ・閲覧専用の情報収集アカのほうが多いTwitter
③友達4人のみで共有しているポッドキャストアプリCappuchino
④友達3人のみ閲覧しているSnapchat
⑤完全に閲覧のみのTikTok
⑥日程調整など必要な会話をするためのLINE

といった感じ。THE・クローズドユーズという感じで、どう見ても知らない人とおしゃべりがしたい人のSNS事情には見えません。

とはいえ私も最初からクローズドだったわけではありません。SNSが登場したての頃であり、私が初めてSNSを利用するようになった12年前から、SNSそのものの変遷とともに変化してきたのです。
クローズドユーズが私のスタイルとして落ち着くようになったのはこの3、4年の話で、変化のきっかけにはとある気づきがありました。

それは「たくさんの人に知られたいと本当に思っているかというと、そうでもないな」ということ。
いいねをたくさんもらうために、自分の知り合いの範囲を超えて多くの人の目に触れるように、ハッシュタグを工夫してみたり見た目がよく見えるよう何度も写真を撮り直したり。そういったことに対して「疲れた」と口にしてみると、なんだか自分の胸にストンと落ちるものがありました。友達にも聞いてみると「実は私もそう思ってた」と話す子がいて、「あぁ自分だけではなかったんだ」と気づきました。

それからは自分にとって本当に心地いいSNS環境を作り直したり、たまに冒険してみたいと思えば新しいアプリを試してみたりと、自分が「そうしたい」と思うことにチューニングを合わせ行動をとるようになり、結果的に、知っている人だけと気軽にコミュニケーションをとれる今のスタイルが自分に合っているとわかりました。

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さて、そんな私は入社してからの数ヶ月間、会社の新人研修として会社が作っていたVRコミュニケーションアプリ「Digital Campfire(デジタルキャンプファイヤー)」の制作に携わりました。
このアプリは私のような「知り合いだけのクローズドワールドで、普段とは一味ちがうコミュニケーションを楽しみたい」という人にぴったりなVRコミュニケーションアプリ。最大10人の仲間と集まって、一緒にただ火を眺め、星空を眺め、リラックスして会話を楽しむことができる場所になっています。

10人程度の少人数で知り合い同士しゃべれるアプリというと、ビジネス会議用に作られたものが多くあります。ですがそれは作業効率アップのためのビジネス向け機能が多かったりリアルの会議室のような見た目をしていたりと、たいていのものが「生産的かつ効率的なコミュニケーション」を目的に作られたVRコミュニケーションアプリになっています。
そんな中、少人数向け・知っている人同士向けでゆっくりリラックスした時間を過ごせるように作ったVRコミュニケーションアプリ:Digital Campfireの価値を私はこのように考えています。


まず、意図的なスローダウンができることの価値です。
日々を過ごす中で、急ぐことは簡単なのにゆっくりすることはなぜか難しいと感じることがあります。空いている時間があればその時間をできる限り生産的に過ごそうとしてしまったり、会社の人に「業務連絡」ばかりしてしまって対話的な時間が取れなかったり。私はそうして忙しく過ごした時間を振り返るとき、何をしていたのか思い出せなくて「時間だけが過ぎてしまった…」なんて後悔するときがあります。
そんなとき、このプロダクトは「この場所ではゆっくり時間をとるんだ」「この場所ではちゃんと相手の話に耳を傾けるんだ」と自分のモードを “スローモード” に切り替えられる場所として存在してくれます。


そして、「距離」を感じられることの価値です。
相手がそばにいる・遠くにいるという感覚は、2020年以降、たくさんの人にとって大きな価値になりました。VRはその感覚を感じられる点でとても優れたデバイスですが、「1人用ゲーム機」という印象もまだ強いため、あまりその価値が知られていないように感じます。Digital Campfireにはもちろん1人で入ることもできますが、多接続でのコミュニケーションを前提に作られています。輪になって喋っているグループの声を遠くに聞きながら少し離れた場所で2人で話したり、声をかけられた方へ振り返ってみたら友達が来ていたことに気づいたりといったことが、自然にできるのはスマホやPCのコミュニケーションにはない魅力だと感じます。素朴な要素ではありますが、この魅力が存分に感じられるように制作をしました。

SNSとの付き合い方を試行錯誤する1人のユーザーとして、またアプリの作り手として、《心地よいコミュニケーション》はどのように作ればいいのだろうとたくさん考えた数ヶ月間でした。
コミュニケーションの課題に正解は存在しません。ですから、このアプリもこれが最後のバージョンというわけではありません。これからもより心地よいコミュニケーションの場を目指して進化していきます。

私と似たような価値観を持っている方にとっても、友人・家族、会社のチームメンバーなどと集える新しいコミュニケーションスペースをお探しの方にとっても、「Digital Campfire」がやさしく、あたたかい選択肢になれることを願っています。

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トップ画イラスト:shigureni illust

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Digital Campfire(デジタルキャンプファイヤー)
リリース日:2021年10月27日

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