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「文化」を練り、「チーム」を創る。そして「あなた」が創られる。

本日は、この本を読了しました。

本著の折り返しには、こんな言葉が書かれています。

偉大な文化があっても、偉大なチームが作れるわけじゃない。
プロダクトが駄目なら、文化が優れていても企業は失敗する。
それでも文化を気にすべきなのは、人間の記憶に残るのは会社の業績でもなく、時にはプロダクトでもなく、会社の気風や気質だからだ。
そこからみんなの目的意識が生まれる。

どの企業にも、「完璧な文化」は存在し得ない。

しかし、「文化」はその企業が創り出すべきものであり、社員を形創るものである。そして、プロダクトの価値最大化を通して、企業の社会的立場を確立するものである、と本著で語られています。

本著では、優れた企業の「文化」を例に、語られてはいません。

たとえば、奴隷として生まれたルーベルチュール、武士道を貫き現代日本を形作った侍、世界最大の帝国を気付いたチンギスハン、殺人の罪で19年の刑に服したシャカ・サンゴールなど、異端な面々がメインに連なり、「文化」の重要性を説いています。

どの偉人(異人)も、共通して言えるのは圧倒的にぶれない「文化」を、圧倒的な説得力と行動力で、ゼロから築きあげてしまった、最高にクールな人達、ということです。すごい人たちです、ほんと。

こんな人におすすめ!
◆あなたの勤める会社の上層部に不満がある人。
◆そんな不満を隣にいる同僚と共有し意気投合する人。
◆これから「リーダー」のポストに就く人。
すべての会社員(ブルー、ホワイトに関わらず)におすすめです。

非常に内容が濃いので、ルーベルチュールの「奴隷文化」の革新について、そこで用いられたテクニックを元に、少し紹介します。

ルーベルチュールとはどのような人か

トゥサン=ルーベルチュールといいます。

ハイチの独立を指導した黒人。1790年から独立運動を指導、1800年に独立宣言した。しかし1803年、ナポレオンによって捕らえられ殺された。その遺志を継いで翌1804年、ハイチが黒人共和国としても最初の独立を達成した。(引用先

生まれつき病弱だった黒人でした。ティーンのころから、とにかく使役されていましたが、空き時間を見つけてはあらゆる本から知識を得ていたようです。

後に、ハイチ全島を掌握し、サン=ドマング(ハイチ)の総督まで上り詰め、奴隷制度廃止まで追い込むことに成功しました。

どうやって奴隷文化を解体したのか

彼の理念として一貫しているのは、「人格は肌の色とは関係ない」ということでした。

一貫した理念は多くの人を巻き込み、大きな集団としての「文化」を築いていき、その「文化」をもとにアメリカとの交渉を進めて、「奴隷文化」の変革を実行していきました。

そのような偉業を成し遂げることのできる「文化」やそのテクニックとはいったい何なのか、以下にまとめてみました。

ルーベルチュールが亡くなったあとも、「文化」が衰えることはなかったという証明の話の中に、「残された仲間が奴隷復活を望んだナポレオンの進行を打ち負かした」という逸話があります。

亡くなり方は非常にさみしいシチュエーションだったのですが、それこそ彼の信じた「価値観」をもとに行動し、「文化」に貢献し尽くした結果であると、本著を読んで思います。

そして著者は、このテクニックはどんな組織でも、あなたの所属する企業やチームなどでも、通用するものであると断言しています。

「文化」に存在するサブカルチャーに属する私たち

人と人は全て、違った背景により「今の自分」を成しています。ということは、「価値観」やそれに基づく「行動」「文化」も勿論異なります。

ベースから違っているのだから、最初に述べたように「完璧な文化は存在し得ない」ということです。しかし、近づくことは可能なはずです。

企業の各部門でも、全く「性格」や「文化」が異なるということは分かると思います。個人としても毎日実感していることです。

たとえば、エンジニアと営業に、下のような同じ質問をすると、両者の返答はどうでしょうか?

『この製品には、この機能はありますか?』
◆エンジニアの「文化」は物事の仕組みや実態に重きを置きます。ぼんやりとした話は出来るだけしたくないのです。なのでとにかく正確に答えます。「あります。」「ありません。」のように、です。
◆営業の「文化」では、本音を知りたがります。この質問をした顧客が何を思ってこの質問をしたのか、そして何が本音として隠れているのか、ぼんやりとした会話の中で探ろうと画策します。

個人的に困難だと思ってることが、この両部門における「文化」の差によって生まれる亀裂であると思います。亀裂といっても、いがみ合うようになるとまではいきませんが…。

営業としてはエンジニアや研究部門が話すような「事実」が知りたいわけではないのです。その「事実」に含まれる、そのプロダクトの背景と歴史、そしてなにが革新的だか知りたいわけです。

他部門に、色々と思うところがある人も多いと思いますが、それは「文化」の違いであり、その人そのものの否定に繋げてはいけません。

「企業文化」の前には、全社員が共有する「企業理念」があります。「文化」のボトルネックはみんな同じだ、と日々意識して、今ここにいる部署の文化を作るために尽力しないといけないと、本著を読んで、個人的に思います。

「文化」とはなにか

文化とは、あなたが何に一番価値を見出すかを知ることからはじまる。

リーダーは部下に対する「企業文化」を体現する存在として映る、と言います。

言ったこと・やったことが、どのように扱われていくのか、部下は無意識に注視しています。その結果、それが行動規範となっていきます。

この行動規範は「最低ライン」がいつも先導することも注意しないといけません。このくらいの仕事でいいか…と社員に思われてしまい、後々に大きな「文化」の損失を生んでしまいます。

完璧な人間や文化が存在しないからこそ、人は価値観を拠り所にして、「言行一致できる行動をする」ことで文化を作っていくことが重要であると、繰り返されています。

今後かならず「リーダー」を経験するであろう人へ(私も含め)、必携本であると思います。
是非とも読んでみて下さい!

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