国を滅ぼすのは「空気」
妻の職場の同僚(男性)が、育休を取ることになった。
ところが、この育休に対する評価が、世代間で真っ二つらしい。
詳細を書くと特定される可能性があるため、ざっくりとした書き方になってしまうが、
この男性同僚の育休の取り方は、会社が認めた育休の中でも、立場的な問題から前例がないようだ。
だから賛否両論というわけである。
世代間で真っ二つ、というのは、妻をはじめとする20代-30代が概ね肯定的な一方、先輩から上司までの40代-60代が否定的といった感じである。
「そんなことよくできるな」といった否定の仕方らしい。
流石に本人の前でそういう論調にはなっていないようなので、本人の知らないところでゲリラ的な反対勢力が暗躍しているというわけである。
この話、単なる世代間ギャップと捉えればそれまでなのだが、もうちょっと大枠で捉えると「じゃあ男性の育休取得が進まないのは何故か?」という答えが透けて見えてくるような気がする。
育休という制度も充実してきた。
お金の補助も充実してきた。
行政サービスもバッチリだ。
でも育休取得が進まない。
足りないのは「空気」だ。
男性の育休取得を肯定する空気。
幸いにも妻の同僚は、その空気に負けることなく育休取得にたどり着いた。
でも、世の中空気に勝てる男性ばかりではないだろう。
みんながみんな気持ちよく育休を取るためには、そういった空気を排すれば良いのだが、そう簡単に変わってくれるはずもない。
だからといって、空気を押し付けてくる人間・世代の絶滅を待っていたら、国が滅びかけてしまう。
いや、実際にはもう、国は滅びの方向へ向かっている。
少し前の出生率のニュースを思い出してほしい。
これだけ国や地方自治体、そして民間レベルで子育て世代の支援が図られているのに、一向に出生率が改善しない。
これを単なる経済格差や貧困問題で片付けるのは、おかしいだろう。
もし経済格差や貧困が問題の本質だとしたら、日本よりも貧しい数多の国はとっくに滅びている。
きっとどこかに、子を持つことを不安にさせる、「空気」があるのかもしれない。
女性が社会に出れば、負の空気に触れる機会は自ずと増える。
専業主婦であれば、育休産休に対する否定的な空気に触れることは、まずない。
だが、先の育休の例のように、会社にいれば否が応でもそういう空気に触れてしまうことになる。
「空気」が国を滅ぼす。
日本特有の、複雑怪奇な問題である。
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(おそらく、学校でやるべき道徳教育や多様性に対して理解を深める学習は、こういった1人1人の生き方を尊重できるようなものを行うべきだと思う。まぁ、学校という組織が画一的に成り立ってしまっているので、そういった教育がなされるのは極めて期待薄だろうが。)
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