どのリスクをとるか
先日、とあるテレビでコメンテーターの橋下徹氏が、宮根誠司氏にこんな問いかけをしていた。
「宮根さん、なんであなた東京にいるんですか。本来であれば、私と一緒に大阪から参加すべきなんですよ」
これに対する宮根氏の回答はこうだ。
「3密を避けるために、車で東京に来たの。これが終わったらまた車で帰らなきゃいけない」
橋下氏が続ける。
「いやいや、おかしいでしょ。それだったら新幹線のグリーン車の方が絶対安全ですよ」
宮根氏は苦笑いしながらこう言った。
「そうだと思うんだよね」
この2人の会話は、つまり“リスクの取り方”に関するものである。
このご時世だからコロナを恐れて車で東京と大阪を往復せざるを得ないかもしれない。
しかしながら、コロナを恐れてそういう行動を取る人の中に、おそらく交通事故に遭う可能性は考慮されていないだろう。
確率的に考えれば、交通事故に遭ってしまう確率、または交通事故を起こして他人を危険な目に遭わせてしまう方が起こりうる。
だったら対策を万全にして新幹線で来ればよい。
これが橋下氏の主張である。
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こんな逸話もある。
飛行機の機長が恐れるものは何か。
それは飛行機事故そのものに遭うことよりも、勤務前後の車移動で交通事故に遭うことだそうだ。
実は、飛行機事故に遭う確率は宝くじに当たるよりも低い。
世界中で飛行機がバンバン飛び交っていることを考えたら、毎日どこかで墜落が起きても正直不思議ではない。
ただ、ニュースを見ていても、飛行機も墜落に関するニュースは年10回くらいだ。
それも国内だけではなく、全世界でのお話である。
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この新型コロナウイルスにおいて、過剰に恐怖を煽ったりそれに苛まれて、日常とは違う行動に走ってしまう人がいる。
マスクや消毒液、ウェットティッシュの買い占めに走り、ドラッグストアに行列を作る人々はその典型だろう。
彼らは、
- 密着することで感染する危険があること
- 長時間寒空の下で並ぶことで別の疾患にかかる可能性があること
- もしかしたらアクセルとブレーキを踏み間違えた車が突っ込んんでくること
といった他のリスクを全て忘れている。
確率的には、コロナそのものにかかることよりも、これらに遭う可能性の方が高いのではないだろうか。
返って命を危険に晒しているのである。
過剰な恐怖心もリスクを見誤る原因である。
どこにウイルスが滞留しているかわからないという恐怖心からか、やれ段ボールが危険とか公園の遊具が危ないとか、そういった話があるが、
残念ながら、1番汚くて危ないのは、そういった投稿や書き込みをするための、スマホやpcなのである。
段ボールが危ない、公園の遊具が危険、つり革はダメだ。
こうやって言ってるそばから、己の“便器より汚い”汚いスマホをポチポチいじるのである。
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人間、生きている限りリスクをゼロにすることは不可能である。
生きていく上でどのリスクをとるのか。
改めてよく考えないと、今回のような長期戦は生き抜けないのではないだろうか。
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