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庵野秀明監督作として『シン・ウルトラマン』には○○が足りない!(※ネタバレ無し)

はい!
本日(5/14)公開2日目ですが、観てきました!

『シン・ウルトラマン』

というわけで、今回は『シン・ウルトラマン』を語っていきますが……。

スミマセン、先に謝っておきます。
この映画が好きな方々、この度ワタクシあんまりこの映画を褒めてません(しかし、悪い映画でもありません 汗)。

というか僕自身ウルトラマンというシリーズにあまり明るくない (35歳のワタクシの初マン体験『パワード』でその後『ゼアス』。Q、初代~帰マンを学生時代にレンタルで観たぐらい )のと、庵野秀明×樋口真嗣のタッグが作った特撮として『シン・ゴジラ』という傑作(何が傑作かという議論があることはいったん置いといて)がある上での勝手で、偏りの有る期待値があるからだったからですが、あんまりこの映画に「乗れなかった」という所が正直なところです。

今回はそんな"俺の観た!"『シン・ウルトラマン』話をしていきます。

【褒めなとこ】現実に突然発生する"ウルトラ"コント

乗れなかったと言いつつ、褒めドコロを先に喋ります。
この映画は『シン・ウルトラマン』なので『シン・ゴジラ』と違い、怪獣(もとい以下、禍威獣)以外にも宇宙人が出てきます(何星人かは言いません)!

なぜか日本にしか現れない禍威獣、突如として現れた銀色の巨人ウルトラマン、そして外星人(宇宙人)。

ウルトラマンという作品はそういうモノだということは観客全員もわかっているけど、そしてその嘘っぱちをオリジナルシリーズのように平然と行い(超有名なのはセブンのメトロン星人のちゃぶ台シーン)、その中でツッコミを入れるような構成になっている。

コレって実はかなり発見というか、物語上の良いバランスを保つ"ズラし"のような気がします。

『ウルトラマン』の世界が禍威獣や外星人がどんどん出てくるトンデモ世界なんだけど、何かしらの原因や謎に観客の気がそれる前に、ツッコミを入れて一旦落ち着かせる。そして物語の最後でその秘密も明かされてゆく。

もちろん作劇の基本的な構成なんですが、観客の「なんでこんなに怪獣やら宇宙人が出てくんだよ!」という気持ちに登場人物も「知らねーよ!分かんねーし!」と喚き散らし、そこで同調が生まれ「だよなw」と笑いにかわる。

総理大臣が「我が国は、禍威獣に加えて外星人も来るのが当たり前になってしまったか……」と嘆き、それでも外交としてその外星人と笑顔で握手をしたり、このトンデモ設定に対して、我々も戸惑い、それでも頑張ってます感を出してくる。

そうこの映画はウルトラマンというフォーマットで、庵野監督が作った壮大なコント、コメディでもあるのです。

【アレなとこ】破壊の美学とCGと……

周知の事実でありますが、この映画は『ウルトラマン』であり、樋口真嗣監督作品ですが、何より庵野秀明作品であるということです。

総監督としてクレジットされていますが同時に脚本を務め、パンフの樋口監督へのインタビューで「庵野が(初代マンの)この5つのエピソードでやりたいと言いだして」という件もあり、この映画を観れば一目瞭然ですが、カメラアングルから演技演出の手法まで、(実相寺昭雄、市川崑の脈を感じる)庵野節が盛り込まれ、実質 "庵野映画" として完成しています。

現場レベルでどこまでの調整があったかなんて分かりませんが、樋口監督を中心とした製作陣が庵野映画を作ったような印象が凄くします(それを総監督の役目と言うならば、それはそれで構いませんが)。

なので庵野監督の前回の実写作『シン・ゴジラ』がゴジラの皮を被った『エヴァ』だったように、これもウルトラマンの皮を被った『エヴァ』であるわけです。

が、この映画には『エヴァ』や『シン・ゴジラ』にあったある要素が欠けています。それは「破壊の美」です。

庵野監督は高層ビル群でもエヴァの"人体"でも、ありとあらゆるモノを破壊するシーンに細心の拘りを持つ人だと知られています。

その場面は恐ろしくも美しくもあり、同時に残虐な描写です。

しかし、その得意の破壊描写が今作ではかなり少ない。
 
それは「ウルトラマンという存在が人類の味方であり、破壊そのものを避けるからだ」というと理に適いますが、庵野映画感は薄れてしまったように感じています。

そんな破壊を期待してしまっていた僕なので、破壊が少ないことに加え、戦闘と爆発がCGだった、いや!CG過ぎたのがちょっと残念でした。

いや、ここはもうホントに僕自身の好き嫌いなんで仕方ないんですが、最近の特撮で敵の怪人やら怪獣が主人公の必殺技で断末魔を上げて死ぬときに、だいたい爆死すると思うんですが、それがCGだったらちょっとションボリしちゃうんですよね。

「このご時世、火薬使って大爆発なんて……」と思われるでしょうが、あの……皆さん、かつて庵野監督が、オタキングこと岡田斗司夫氏や、イラストレーターの赤井孝美氏と学生時代に制作した『帰ってきたウルトラマン』ってご存知でしょうか?(8mmフィルムでこのクオリティーと脚本ヤバくね⁉)

この作品で最後に怪獣を倒したときの大爆発なんで、凄くないですかw!?

まぁ僕自身、爆発の一つや二つCGだろうが実写だろうが大迫力ならいいんですが(実写ならサイコーですケド)、この前例があったので庵野秀明の創るウルトラマンには破壊と生の爆発を期待してしまっていました。

更に、今作で中盤からウルトラマンの戦闘シーンで、カメラアングルがぐわんぐわん回るような動きをしていて、画として斬新なんですが重量感というか、質量を感じない戦闘になってくるというか。そこは少しどうなのかとも思いましたね。

庵野監督作としての "破壊" をもっと見せてほしかったなぁ~、というのが正直なところでした!(好きな人、スミマセン!)

ネタバレ無しで語れる感想は、このぐらいでしょうか。

この映画は『ウルトラマン』入門として最高!

ここまで色々と褒めたり、落としたりしましたが、ただ!この映画は『ウルトラマン』という世界への入り口の映画としては本当に最高の作品だと思います。

この映画の元になった5エピソードから、初代ウルトラマンを見るもよし、そこからウルトラマンという世界にハマっていく人が増えればいいなと思います。

僕も正直、この映画を観て初代ウルトラマンを見直したい気持ちになっています。これを機にDVDかBlu-rayのボックス買っちまおうかなー!

明日は20時から今更ですが『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』を語り上げる生配信をやります!
こっちはネタバレ有りでいきますよ!

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