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育休中|人生を振り返ったら初めて自分に許可を出せた

会社への依存

2022年10月、産休に入っても会社のPCが手離せなかった。

あれはどうなったかな、チームのみんなは大丈夫かな、これも伝えておくべきだったかな…とそわそわして自分のいない職場を妄想してはもっとこうすればよかったと落ち込んだ。

頭から仕事が離れず、返さないといけないPCと携帯電話を文字通り手元に置いていた。

2週間くらいたってやっと少しずつ仕事以外のことを考える余裕が出てきた。お菓子を焼いたり、家の片付けをしてみたり。
1ヶ月くらい経って初めて会社に依存していたと気づいた。

新卒で入社してから7年間毎日クタクタになるまで働いて心も体も会社のものになっていた。

このまま育休が終わったらまた会社の人間になってしまうと思い、会社人生の棚卸しをすることにした。

人生の棚卸し|女性活動家たちの本

1年目からやってきたことや感じてきたことを箇条書きでも書き出そうと思ってやり始めたのに2年目でつまずいた。書いてるとあのときあの人から言われたことが嫌だった…など忘れていた嫌なことばっかり浮かんできてヘトヘトになった。

会社から離れて久しぶりに何者でもない自分になってみると、自分が我慢してきたことや傷ついてきたことに気づいた。女性がゆえに、年齢がゆえに能力を認められなかったことや意見を聞いてもらえなかったこと。自分という人間を扱ってもらえなかった傷つきに気づいてしばらく寝込んだ。

出産後、自分の傷つきを理解するために子どもが寝ている間にジェンダーやマイクロアグレッションの本を読み漁った。

その中でもおすすめなのがこの3冊。

▼1945年クリスマス-ベアテ・シロタ・ゴードン
日本国憲法に男女平等を書いたのはアメリカの女性だったなんて知らなかった。もしベアテさんがいなかったら今の自分の権利はなかったのかもしれないと思うとドキッとする。

▼市川房枝、そこから続く「長い列」-野村浩子
女性の参政権を得るために活動した市川房枝さん。
社会を変えるってこういう方法なんだと教えてくれる本。

▼ソーシャルジャスティス-内田舞
人種差別、女性差別へのアクションをし続ける現代の女性活動家だと思う。混沌とした問題を科学的に整理してくれる本。女性として母としてとても尊敬する人の1人になった。

人生の棚卸し|親との関係性の再構築

女性活動家の半生や活動や葛藤を知ったことで
パワーが戻り、次に取り組んだのは実母との関係の再構築だ。

妊娠中とても献身的で優しかった母が
産まれてから「これは大丈夫?」「こうした方がいいんじゃない?」「こうしなくていいの?」など
子育てに関してほぼ毎日あれこれ言うようになった。

母はもともと厳しい祖母の影響で
指摘や小言をいうことが多かった。

妊娠前は自分さえ我慢すれば良かったし
聞き流せば良かったが子どもがいるとそうもいかず、「これをしたらまた何か言われるかもしれない」とこのままでは自分たちがしたい子育てではなく母に小言を言われないための子育てになってしまうと思った。

思い切って母に嫌だという気持ちを伝えると
拗ねてしまったので、思いっきり距離を取ることにした。
LINEもブロック、今までのトークも消して、着信拒否もした。
子どもの写真が見れるアプリたちからも権限を外した。

距離を取って1ヶ月くらいは
妹や夫経由で私に気持ちを伝えてきたり手紙を送ってきたりした。
どれも私が距離を取った理由からは離れていて無視し続けた。

どっかでうっすら罪悪感を感じながらも
誰にも何も言われない自由がとても心地よくて
のびのび娘と関わることができたと思う。

距離を取っている間に母と娘の親子関係についての本を読んだ。
私も自分の娘とそうならないために…

▼苦しい親子関係から抜け出す本-石原加受子
母と娘のいびつな距離感について理解できる本。
適切な距離の取り方についても具体的に書かれていてとても役だった。自分が悪くないと思うこともできた本。

▼母と娘のしんどい関係を見直す本-石原加受子
再び石原加受子さんの本。石原さん自身も毒親である母に苦しんできた当事者で、分かりやすいし親近感も湧く。Kindle版なら無料で読めます。

本を読んで自分は悪くないのだと認めることができた。
そして適切な親子の距離感について知れたことで、巻き込まれない娘でいるために本に書いてある距離の取り方を母にも試してみたいと思うまでに回復した。


何者でもない自分を受け入れる


会社の呪縛が剥がれ、母の呪いが剥がれ、
自由なそのままの自分になれたことで
本来やりたかったことや好きなことに時間を費やせるようになってきた。

細々とやっていたイラストの活動を再開し、毎日投稿し続けた。
イラストの活動は副業だと思ってやってきたけど、会社や家族への罪悪感が減ったことで、突然「私好きなことで生きていってもいいのかもしれない。福祉じゃない道を選んでもいいんだ。」と思えるようになった。

「小さい頃から好きだったイラストやデザインを仕事にする」
これが今の私の生きる目標になった。

育休というこの時間は私の人生にとって必須だったんだと思う。
今まで「がんばらねばらならない」「母に認められなければならない」と
思って生きてきた鎧を脱いで
「好きなことをして生きていってもいいんだよ」と、やっと自分に許可を出すことができた。

最近こんな話を中学の頃の友人とする機会があり、
友人も出産を機に自分の生き方を見つめ直して
「仕事で成功することばかり考えてきたけどさ、自分の心地よさに従って生きていってもいいんだと思えるようになったんだよね」と話していた。
「そのままの自分に許可出す」というのがとてもしっくりくる。
そんな自分が誇らしい。

#育休から育業へ

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