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IDEATIONS TALK#02:CX IDEA SESSION - CX Produce視点で考えるプロトタイピング-|IDEATIONSイベントレポート

こんにちは! D2C ID CX推進室です。
先日開催された『IDEATIONS Vol.2』のトークイベント「IDEATIONS TALK#02:CX IDEA SESSION - CX Produce視点で考えるプロトタイピング-」について、イベントレポートを公開しました。このセッションでは、CX(顧客体験)プロデュースの現場において、『IDEATIONS Vol.2』で展示されたプロトタイピングは、どのような活用イメージが描けるのかについて、D2C IDのプロデューサー3名が、プロトタイピングの活用アイデアをお話しました。本記事ではその一部を抜粋しご紹介させていただきます。

▶︎スピーカー
株式会社D2C ID
安積 直人(CXプロデュース本部 コミュニケーションプロデュース部 プロデューサー)
河合 崇哲(CX推進室 プロデューサー)
星田 恵美令(CXプロデュース本部 コミュニケーションプロデュース部 プロデューサー)


プロトタイプを社会実装する、CXプロデュース

D2C IDの事業領域は、「CX PRODUCE」「EXPERIENCIAL TECHNOLOGY」「BRAND DESIGN」の3つ(詳しくはこちら)『IDEATIONS Vol.2』の展示では、この3つの事業領域のうち「EXPERIENCIAL TECHNOLOGY」事業を中心として、IMG SRC STUDIOが独自に開発したプロトタイプを体験いただくことで、ご来場された皆様とアイデアや案件を共創していくことを目指していましたが、本トークセッションでは、「CX PRODUCE」事業を掛け合わせ、CXプロデュースの視点から本展示を紐解くことを目的としています。

プロトタイピングとの接点

安積:展示をご覧になり、イベントやエンターテインメントのためのコンテンツではないか?と、感じられた方も多いかと思います。「イベントもエンターテインメントもやらないな…」とプロトタイピングに対し掛け離れた印象をもった方のために、今回のトークセッションがあります。自分たちの日常に、このプロトタイピングがどういう接点をもつ可能性があるのかという内容でお話させていただければと。普段、顧客体験をトータルでプロデュースさせていただいている、私たちプロデューサーの企画提案から、より身近な接点を感じていただけたら嬉しく思います。

安積 直人(CXプロデュース本部 コミュニケーションプロデュース部 プロデューサー)
毛色の異なるクライアントや体制にて、キャンペーン、コーポレートサイト、オウンドメディアの立ち上げ、WEBプロモーション、SNSキャンペーン、動画制作と多様な案件に従事。受け手へ伝わる、丁寧な仕事ぶりを心掛けているが、活舌は悪い。

・『Overlapping AR』

安積のプレゼンテーションひとつめは、スマホで操作したキャラクターの動きに合わせて実空間に置かれた物体も同時に動くWeb AR体験『Overlapping AR』への提案。

安積:「AR」と聞くと、アプリかWebブラウザを用いてスマホカメラで対象物を映すと、キャラクターなどのアニメーションが出現する仕組みというのは、割とご存知の方も多いと思いますが、この『Overlapping AR』のすごいところは、デジタル上の操作がリアルにも反映されていくこと。スマホ画面でキャラクターを動かし、缶をデジタル上で押すと、目の前にある缶もリアルに動きます。ポイントとしては、日常の何気ない場面(=スマホを使う)でも、ちょっと珍しい体験(=デジタルと現実の交わり)を、手軽に感じることができる(アプリのダウンロードなしでカメラを向ければWebブラウザが起動)…というところです。

「スマホ見ながら簡単ストレッチ」という案は、ヘルスケア領域等での活用を企画。ストレッチやリハビリなど、自分自身と向き合う時間のなかで誰かに後押しして欲しい場面を想定し、画面に出現した猫のキャラクターが、身体を伸展に合わせて手助けしてくれたり応援してくれたりするというもの。

他にも、ペット市場を意識し、アバター化した自分がペットの動きに合わせて動く、新しいふれあい体験、企業説明会や展示会での活用例では、長い待ち時間などのストレスなく効果的にご案内できるよう、パンフレット自体がマーカーとなり、ページをめくりながらAR上でトークが開始されるといった企画例が説明されました。

・『Sync High-definition AR』

安積のプレゼンテーションふたつめは、高精細映像を複数同期可能なAR体験『Sync High-definition AR』への提案です。このプロトタイプは、デバイスの性能に依存せずに高精細で迫力のあるAR体験をおこなえるもの。クラウドレンダリング技術を活用することで、それを叶え、複数端末での体験ができ、姿勢情報やコンテンツステータスといった情報を映像体験に反映することができます。

安積:高精細で迫力あるAR表現が、自分の状況で変化しながら(=端末の位置や姿勢などが)、みんなと共有できる(=リアルタイムに複数人で同期可能)可能性がプロトタイプと企画のポイントです。

それを踏まえた企画として、人流解析とを掛け合わせた案では、市街地の人混みや近所の散歩道などの道の混雑状況を、リッチなアニメーション表現とともに可視化するというもの。街と一体化した表現を楽しむことはもちろん、空いている道を選び散歩ルートを変えたりできる実用性についても語りました。
またその他、自動車運転の際のナビゲーションや、離れた場所にいてもバーチャルライブの熱気を共有できるライブ企画など、IMG SRC STUDIOがこれまで手がけてきた体験や開発とも親和性のある意見が出されました。

・『Augmented Projector』

河合:私からは、スマートフォンでのAR体験を小型プロジェクターで拡張する装置『Augmented Projector』についての企画を提案させていただきたいと思います。これは、スマホに表示されているARコンテンツを小型プロジェクターで現実空間にも投影することで、1台の端末でその場にいる複数名が同じARコンテンツを楽しめるといったもの。片手で手軽に扱えるハンディタイプに設計しているので、懐中電灯を照らすようにして宝探しをするなどもできます。「グループで新しいモノ・コトを発見・共有する体験」をつくれるのではないかということを、企画のポイントとしました。

河合 崇哲(CX推進室 プロデューサー)
デジタルを起点に、オンオフ問わず、統合的なコミュニケーション施策のプロデュース実績多数。特に、WEB/MOVIE/GR/PR/SNS/EVENTなど制作物が複合的に絡むクリエイティブプロデュース領域を得意とする。現在は、D2C IDのCX CRAFTSを体現するべく、自社のマーケティング/事業広報を推進中。

河合からの提案は、自治体の夜型観光に活用するといった、近年ニーズの高まりを見せるナイトタイムエコノミーに焦点を当てた企画でした。観光スポットでマーカーを読み取ると、キャプションや現実とは別のグラフィックなど、観光名所に関する情報が投影され、物理的に鑑賞物を阻害することなく、さらには複数人で楽しむことができます。

さらに、AI技術と掛け合わせ、鑑賞者が答えた質問内容から画像生成された自分だけのAR絵画が映し出される「額縁しかない美術館」、サバイバルゲームを暗闇でおこなう新感覚アクティビティ「暗闇ARサバゲー」、心拍計を追加することでドキドキすればするほど恐くて強いARオバケが出てくるエンタメアトラクション「心拍数連動型お化け屋敷」など、デジタル表現を通してフィジカルに楽しむ企画が説明されました。
子どもから大人までワクワクしそうな企画を聴き、思わず笑みがこぼれる来場者も。

・『Ambience Wall』

続けて、手を触れた部分から映像と音の波が周囲に広がっていく演出を楽しめる『Ambience Wall』についても、河合からプレゼンテーションがありました。

河合:このプロトタイプは、「壁に手を触れる」をトリガーに壁面の映像と振動が伝播してく仕組みですので、「人の手を介することで、世界が変わっていくさま」を描けるのではないか?との発想から企画を考えました。

人の手が触れたところから海が汚れていくといった、環境問題を直感的に捉えながら啓発活動に用いる案や、ハザードマップの認知促進のための「五感で体感するハザードマップ」といった防災観点からの企画、また、コンテンツファン消費行動にフォーカスした企画では、アイドルの歌声や鼓動を五感で体験できる装置として推し活市場のマーケティングプロモーションに活用できるのではないかというものもあり、大きく頷きながら話を聴くご来場者の姿もありました。

・『Surface of Distance』

最後にプレゼンテーションをおこなったのは、星田です。そのひとつめは、群制御ロボットによって動く短冊状のスクリーンに、絶対位置検出機能を用いて動きと形状に合わせた映像投影を可能にしたディスプレイ『Surface of Distance』について。スクリーンは制御された動きのほか、体験者自身がコントローラーで短冊の曲げ伸ばしをすることも可能です。

星田:このプロトタイプは、今回ディスプレイとして短冊状のシートを用いましたが、機能としてみたときの肝となるのは、複数のロボットを動かした任意の位置で映像表現ができるということがひとつあると思います。そこで私は、あらゆるものを「動くこと」や「質感」を活かしたディスプレイにすることが可能であることを鍵に、製品や物事の価値を伝えられるような企画を考えました。

まず挙げられたのは「本の “立ち見”」というアイデア。立ち読みするには時間がかかってしまう本選びの際に、気になった本を指定の位置に置くだけで、本が勝手に開き出し、ページがめくれる動きに合わせて本のストーリーを魅力的に投影するというもの。
また、もう一案、質感をウリとする商品例として、タオルのプロモーションへの利用した企画も発表しました。「ダンスするタオル」と題し、音楽に合わせてモコモコとダンス、映像も投影できるため、例えばイメージとして映った赤ちゃんがタオルのしわで笑ったように見えるなど、動きと映像とを掛け合わせて楽しめる企画提案をさせていただきました。これはタオルに限らず、カシミヤ素材やニットなど、ファッション業界のあらゆる商品で応用できそうだと盛り上がりました。

星田 恵美令(CXプロデュース本部 コミュニケーションプロデュース部 プロデューサー)
PM/ディレクターとして直クライアント案件にて制作(スチール撮影、動画撮影、サイト、プロダクト等)ディレクションを担当。2019年目より広告代理店とともにナショナルクライントに向き合い、デジタル・SNSを起点としたプランニング・制作ディレクション領域にて活動。2022年目よりプロデューサーとしてオンライン/オフラインの領域を超える統合的プランニング/プロデュースを提供。コンセプトメイキング、KPIの設計、制作領域各種をつなぐハブとしてプロジェクトを完遂、次期に向けた施策の評価まで実施。

・『Parallel Realms Through AI』

Stable Diffusionによる画像生成とChatGPTによるテキスト生成を用いて架空の自分を生成するディスプレイ体験『Parallel Realms Through AI』では、星田ならではの観点が光りました。

星田:「もしあの時こういう判断をしていたら、どういう人生になっていたんだろう?」と考えたことは誰にでもあるのではないでしょうか。ドラマやアニメでも「未来がこうなったかもしれない」という設定で、人気や話題を呼ぶことも多いと思います。そこで、この「あったかもしれない可能性」をとおして、製品やものごとの価値、啓蒙ができるのではと考えました。

そこで星田が提案したのは、「“もし” あの時、あのスニーカーを買っていたら」という企画です。とある場所に謎の鏡が出現、そして鏡を覗くと、鏡の中の自分がスニーカーをもって登場、さらにはシュチュエーションも変化し、そのスニーカーを履いて楽しそうに外へ走り出す自分の姿が映し出されます。スタイリッシュな自分の姿を見て、購買意欲やブランドへの価値を高めていくこのプロモーション企画は、「今日からあの英会話アプリをスタートしたら」といった様々な商品・ブランドで活用できるほか、「3.11の日にあの場所にいたら」といった深い内容や「あなたが生まれた時、SNSとスマホがあったなら」といった時間を越えた世界にも応用できるのではと説明されました。

まとめ

ここからは、登壇した3名から、これらの企画がどういったプロセスで考えられていったのか、また今回の展示テーマについても深掘りして語られました。
様々な意見を通し共通していたのは、日頃よりあらゆる「接点」を意識しているということでした。例えば本展示会のプロトタイプに関しても、自分の生活に有るちょっとしたモヤモヤを解決できる手段になるかもしれない、さらには企業やブランドがもつ商品と接続したら面白いことになるかもしれない、といった発想で、企画が生み出されているようでした。

トークセッションの最後には、D2C IDのR&D活動と、普段の業務で磨かれた発想力で、社会実装と課題解決をしていきたいと、意気込みが語られました。

いかがでしたでしょうか。
全3回に渡るIDEATIONS TALKは、次回もレポートしていきますので、noteやSNSをフォロー、ぜひチェックしてくださいね。


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