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ぼくの人生を君に捧げよう。 ぼくがこの世でいちばん愛する人。 この愛をすべて君に捧げよう。…
大層いい女だった。名前は真紀といった。派手さはないがさっぱりと品の良い身なりで、柔和な笑…
リリは顔だけめっちゃいい男の浮気相手を三人掛け持ちしてる。そいつら三人の誰もつかまらない…
おおむね遊び尽くし、残るは線香花火のみとなったところで一旦休憩にした。飲み物を手に、並…
二十分も走ると大きな公園に出た。ランニングコースがぐるりと囲んでいて、地域のランナーや…
羽虫よ。 おまえはこの世界に属している。私はずっとこの世界と戦ってる気でいたから、昨…
山間にある工場に勤めてもうすぐ一年になる。世間はお盆休みが近く、今日も最高気温が35℃を超えた。 「ジュンペイ、昼行ってきな」 「はい!」 入社したとき先輩に同じ苗字がふたりもいたので、自然とみんな下の名前でおれを呼んだ。 食堂で弁当を食べ、紙コップで冷たい緑茶を飲みながら窓の外を見た。裏手の地面にくっきりと濃い影が落ちている。 「なんだあれ」 「どした?」同僚が尋ねた。 おれは外を指さす。「ほら…あれ?」 何もなかった。陽炎でも出てたんだろうか。 仕事を終えて帰宅する。ア
産声というのをうまれてはじめて聞いた。 夏の峠の頃だった。 私がばあちゃんに拾われてここ…
「四苦八苦とは色んな嫌な目にいっぺんに遭うかのような印象であるが、もともとは仏教における…
夢で見た女の子に恋をした。彼女はキリンであった。背中のファスナーを降ろして人間の皮を脱ぐ…
だだっ広い草原は、一周見渡しても始まりも終わりもなかった。遠くの太陽はぼんやりと白く曖昧…
商店街を抜けた先、駅前の広場が普段より幾分にぎやかだ。 簡易な屋台のようなものが建ってい…
カラスもよく見るとなかなか可愛いですよ。 カニも可愛いです。おいしそう! 決まった予定の…
「あわ、あわわわわわ」 「こまったクマった」 「あわわあわ、あぶく」 ぼくに不具合が出たので、博士は青い顔をして修復プログラムを組みました。 まるで有機のからだで発熱しているみたい。ぜいぜい、ぐらぐら、博士の姿がにじんで見えます。 「わるかった」博士はしょんぼりして言いました。「むりさせた」 「ぼくはそもそも脆弱デ・博士のせいではありまセん」 ぼくはなんとか笑おうと・ 「生まれモったものなノです」 「コセイ」 「だいじょうぶ」 博士はしばらく下唇を噛んで画面をにらんで