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現代長歌

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「現代長歌」
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2022年7月の記事一覧

日輪の沈黙【縒れる場所】【再】

日輪の沈黙【縒れる場所】【再】

【死者の埋葬 縒れる場所】

  「こんな時にあなたは煙草を吸うのね」と
  火葬場の雪、火種の赤、白いけむりに横顔の
  「煙草ぐらいは好きに、いや」
  灰皿に押し付けて消しーーシュポッと時が訪れて
  「気を落とすなよ。君は上で待っていてくれ」
  ・・・・・・
   反歌
  ーー弾けた
          私たちが愛した死者の埋葬
              僕が君の君が僕の

【解説】

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日輪の沈黙【目次について】【再UP】

日輪の沈黙【目次について】【再UP】

【目次】
 第一章 死者の埋葬
  第二章 花と魚(花)
   第三章 水死
    第四章 おい鐘が鳴ってるぞ
   第五章 火の説教
  第六章 花と魚(魚)
 第七章 日輪の沈黙

【現代長歌】
  「こんな時にあなたは煙草を吸うのね」と
  火葬場の雪、火種の赤、白いけむりに横顔の
  「煙草ぐらいは好きに、いや」
  灰皿に押し付けて消しーーシュポッと時が訪れて
  「気を落とすなよ。君

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晩暉浸礼を享く(昭和二三年)

帝国の晩暉と共に新しき「日本」の誕生――
国柄は矯正器具の如きもの身じろぐ度に「国体」は禁忌となりぬ
『うらうらとかすむ春べになりぬれど山には雪ののこりてさむし』
「美濃部さんも亡くなりました」「あの頃の日本は良かった」
「食べるために赤子を殺す世の中に成り下がりましたね」
極東国際軍事裁判の判決は、人口膾炙に訴求する――
「我らは負けた、負けたんだ」「負ければ何でもされてしまう」
国体護持は今上

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