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最近の記事

上海バンスキングと川畑文子 (吉田日出子の上海リル)

色川武大著「唄えば天国ジャズソング」には、幾度か川畑文子の名前が(初出は第2章)、紹介せねばと...先延ばし。 不世出の天才ダンサー ジャズがブームであれど、この極東の地をUS本土の著名プレーヤーが訪れるなど想像もつかない戦前の帝都、そこに本場で鍛えられた川畑文子(日系三世で生粋のダンサー)が来日、しかもブロードウェイ(NYC)の舞台で認められたトップスターの一人であるという噂はすでに国内にも伝わっていたそうだ。プライベートな来日は、紆余曲折を経て(国内タップ界のパイオニ

    • 上海リルは映画の劇中歌だった

      フットライト・パレード 「唄えば天国ジャズソング」第11章後半は1933年(国内公開は翌年)の映画「フットライト・パレード(Footlight Parade)」とその劇中歌「上海リル(Shanghai Lil)」にスポットが。その「上海リル」をSP盤で(日本ビクター"JA-189-B")。 1933年の録音(この盤そのものは「フットライト・パレード」のクレジッはあれど戦後の再発盤だと思う)。オケはポール・ホワイトマン[Paul Whiteman Orch.]、ボーカルはボ

      • 中野忠晴 (チャイナタウン・マイ・チャイナタウン)

        和製ポップスの系譜 第11章は、タクシーの中で(ラジオで)色川武大が偶然耳にした曲に始まる。それが「チャイナ・タンゴ(China Tango)」、公式で。 唄うは中野忠晴、作編曲は服部良一、作詞は藤浦洸。これのオリジナル音源は1939年のSP盤、コロムビア"30202"が歴史的音源にUPされている。 中野忠晴でもう一曲、標題曲の「チャイナタウン・マイ・チャイナタウン(Chinatown My Chinatown)」=邦題は「あなたの為に」、公式で。 編曲は仁木他喜雄、

        • スウィングしなけりゃ意味がない!

          色川武大のデューク・エリントン 第10章、ディー・ディー・ブリッジウォーター[Dee Dee Bridgewater]による「スウィングしなけりゃ意味ないね(It Don't Mean a Thing,If It Ain't Got That Swing)」で幕開け。1983年の舞台「ソフィスティケイテッド・レディ(Sophisticated Lady)」劇中歌にまつわる云々は見る唄、音源もないはず。 (DVD化されているのだろうか? 放映もされたので映像はあるはず)

        上海バンスキングと川畑文子 (吉田日出子の上海リル)

          色川武大のファッツ・ウォーラー

          ひとり者のラヴ・レター 第9章の標題曲は「ひとり者のラブレター(I'm Gonna Sit Right Down and Write Myself a Letter)」=aka「手紙でも書こう」。また「眠そうな二人(Two Sleepy People)」にもスポットが、この2曲がこの章でのメイン、ともにファッツ・ウォーラー[Fats Waller]でもお馴染み、つまりそのフィーチャー回。 まず「ひとり者のラブレター(手紙でも書こう)」、公式で。 音源ルーツ、おそらく19

          色川武大のファッツ・ウォーラー

          色川武大のジョージ・ガーシュウィン

          クラッシュ・オン・ユー! 「唄えば天国ジャズソング」第8章はジョージ・ガーシュウィン[George Gershwin]に費やされる。その名作&佳作のオンパレードに様々なバージョンも含めると星の数ほどに膨大な曲数であろう、その中からベスト作を選ぶ! は、どだい無理な話。もしもベストがあるとすればその時々の判断で=今の気分はコレという、否、それこそが正解なのだが。 色川御大の戦術、イモ唄は排除、完成度の高い曲も排除...と、あえて難癖をつけるようにターゲットを絞る。確かに「ラ

          色川武大のジョージ・ガーシュウィン

          ブラック・ボトムに皆殺しのトランペット

          第7章のエトセトラ 標題曲を除く、その他、取りこぼし。二村定一は紹介済み(ざっくりだけれど)。エノケンは如何に(公式にない)。前回紹介のジョー・スタッフォード[Jo Stafford]、他の曲は後で(重複)。「シャイン・オン・ハーヴェスト・ムーン(Shine On Harvest Moon)」はルース・エッティング[Ruth Etting]であるから後で(重複)。「マイ・アイディアル(My Ideal)」では西代宗良云々も後で(重複)。キャロル・スローン[Carol Slo

          ブラック・ボトムに皆殺しのトランペット

          スリム・ゲイラードとジョー・スタッフォードの"For You"...&パティ・ペイジのジャズ

          ジャズ・スタンダード 「唄えば天国ジャズソング」第7章では「フォー・ユウ(For You)」にスポットが。他にも数多の曲名が列記は、この章も、具体的に特定が難しい=曲名は明かでも歌手&バージョンなどの詳細は=「確か...はず? というような。そもそも購入ガイド本ではない、色川御大曰く「出たとこ勝負...に記憶を辿る試みは、曖昧に「できますものは(by金馬)...むにゃむにゃむにゃ(by志ん生)、も、一興。 それで却って推敲&妄想の余地が残されているという特徴が=ある意味、

          スリム・ゲイラードとジョー・スタッフォードの"For You"...&パティ・ペイジのジャズ

          古川ロッパ昭和日記 (唄えば天国ジャズソング)

          歌へば天国 古川ロッパ(古川緑波)、戦前-戦時下を代表する喜劇人の一人。その人なりは「日本の喜劇人(小林信彦著)」の中で述べられている「恐れを知らぬタダっ子役者...という評に尽きるのではあるまいか。この「恐れを知らぬ...云々は戦時下の上演に於いても、一見(演目は)、時局に迎合するようで、実は抵抗劇をやってのけた点にある由。そこは全体主義的な統制側に対する抵抗でもあったであろうし、しかしまたロッパ当人はナショナリストでもあったと思う。 (芸術芸能とは左派運動なのだけれど

          古川ロッパ昭和日記 (唄えば天国ジャズソング)

          黒と褐色の幻想・徳山璉・杉狂児・美ち奴

          鼻唄ソングのエトセトラ 色川武大著「唄えば天国ジャズソング」の第6章テーマは「鼻唄ソング」。鼻唄にまつわる回顧録ママ、曖昧に雰囲気重視な内容は=鼻唄とはそういうものであります。とにかくまあ、詳しくは(特にこの章は)ぜひ本書をお読みいただき、ここでは戦前、色川少年の耳に残った曲(強印象)を紹介させていただく。 まずは「黒と黄褐色の幻想=ブラック・アンド・タン・ファンタジー(BLACK AND TAN FANTASY)」=sometimes "FANTASIE"、SP盤(60

          黒と褐色の幻想・徳山璉・杉狂児・美ち奴

          元祖コミックバンド (Weintraubs Syncopators) 唄えば天国ジャズソング外伝

          戦前のジャーマン・スウィング ハット・ボンボンズに影響を与えたとされるドイツのバンド、コミカル演奏で有名なワイントラウブス・シンコペーターズ[Weintraubs Syncopators]について。 (読みカナは"ワイントラウブス・シンコペーターズ"また"ワイントラブス・シンコペーターズ"が公的にも混在のようだ) 断っておくと、元祖(仮)としたのは、近現代以降で、サイトギャグを織り交ぜた演奏をステージ芸(エンターテインメント)にまで昇華させたた点に於いて初ではないかと。

          元祖コミックバンド (Weintraubs Syncopators) 唄えば天国ジャズソング外伝

          ハット・ボンボンズ (コミックバンド) 色川武大のジャズ

          すばらしき音楽(音楽漫才) "あきれたぼういず"のライバルと云われたのがコミカル演奏での"ハットボンボンズ"な由(「喜劇人回り舞台(旗一兵)」では"ギャグ演奏"としての紹介が)。フロリダ・ダンスホール(この箱については瀬川昌久の著作に詳しい)にてデビューしたバンドだそうで(当初バンド名は"ハトポッポ")、その奇抜な演奏が新興キネマ(演芸部)の是唯健彦(=履歴不明、唯是の誤記?)の目に止まり、それで"あきれたぼういず"の伴奏楽団としてスカウトされた説が=旗一兵史観。 (当時

          ハット・ボンボンズ (コミックバンド) 色川武大のジャズ

          あきれたぼういず (コミックバンド) 色川武大のジャズ

          スウィング浪曲 第5章では"あきれたぼういず"がフィーチャーされている。いわゆるボーイズものとされる一種の歌謡漫談で、スウィング浪曲をベースにバーバルギャグ連発なステージは、軽妙にスピーディー&洒脱にしてモダン、そして"ハモる"のが当時としては画期的だった由。だが、際立つのはカオス=浪曲調に川田義雄がリードを取るとしても、そこにオペラにシャンソン、また石川啄木までサンプリングというジャンルを問わない"ごった煮"は他に類を見ないそうだ。 (例えば、なんらかのジャンルに特化=

          あきれたぼういず (コミックバンド) 色川武大のジャズ

          橘薫と三浦時子 (エッチン・タッチン) 色川武大のジャズ

          宝塚歌劇初のJAZZ 前回「唄えば天国ジャズソング」の第4章まで、今回はスピンアウト。まずは「ディガ・ディガ・ドゥ(Diga Diga Doo)」、SP盤("A815")と蓄音機で。 (オリジナルは1930年の"26007"盤で、この"A815"は1950年の再発盤) ジャジーなポーカルはエッチン&タッチン=橘薫と三浦時子、そう、宝塚少女歌劇団。1930年(昭和5年7月)初演のレヴュー「パリゼット」劇中歌でプロデューサは白井鐵造。この曲(唄)に関しては「銀座百点」の連載

          橘薫と三浦時子 (エッチン・タッチン) 色川武大のジャズ

          桜井潔とコンチネンタル・タンゴ

          長崎物語 第4章の補足。戦時下、桜井潔とその楽団(サクライ・イ・ス・オルケスタ)のステージを色川武大は幾度か見ている。その桜井潔といえば"タンゴ"だ、十八番は「ラ・クンパルシータ(La Cumparsita)」に「ジプシーの夢(Lamento gitano & Sierra madre)」、また「奥さまお手をどうぞ(I Kiss Your Hand,Madame)」など、が、代表曲&最大のヒットは「長崎物語」になるだろう。 ではその「長崎物語」、SP盤と蓄音機で。ルーツは

          桜井潔とコンチネンタル・タンゴ

          ディスカバージャパンと日本のうた(色川武大のジャズ)

          藤山一郎のジャズ 第4章の標題曲「フウ?(Who?)」、これには幾つかの日本語バージョンが。その一つが藤山一郎の「誰ゆえに?」で、この"Who?"="誰ゆえに?"というトランスレート(邦題)は秀逸であると色川御大は評されている(訳詞は西条八十)。では公式音源で。ルーツは昭和9年(1934年)の録音だと思う(いわゆるビクター在籍時代の後期)。 藤山版の他では、訳詞&アレンジは微妙に異なれど、作間毅版「フー」、徳山璉版「フウ」なども知られている(いずれも瀬川昌久監修の復刻シリ

          ディスカバージャパンと日本のうた(色川武大のジャズ)