R5の行方不明者の状況_認知症り患者は・・
先日、警察庁から「令和5年における行方不明者の状況」が公表された。特に若者と高齢者が多いというデータだ。昨今では認知症の人の行方不明者も多いのだ。
|令和5年中の行方不明者全体
令和5年は、統計の残る昭和31年以降で最少を記録した令和2年から3
年連続で増加し、9万144人(前年比5,234人増加)となっている。
(1) 男女別
男女別でみると、男性が5万7,410人(構成比63.7%)、女性が3万2,734人
(構成比36.3%)と、男性の割合の方が高い傾向にあり、その傾向は以前から続いているのだ。
(2) 年齢層別
下表は年別。年代別の集計表である。
警察庁発公表の資料をもとに、特に10、20歳代、70歳代を抽出したもの及びその構成率を加えたものである。
これを見るに、注目すべきは、年齢層別では、10歳代の行方不明者数が最も多く(17,732人)、10歳代及び20歳代(17,600人)で行方不明者全体のおよそ4割を占める状況にあり、比較的若者が所在不明になっていることがわかる。
一方、認知症の多いとされる60歳代以上(29,951人)についても約3割強(33.2%)を占めている状態にある。
すなわち、全体としては若者と高齢者に多い状況にあるのだ。
(3) 原因・動機別
ア 原因・動機別行方不明者数の推移
原因・動機別行方不明者数の推移をみると、疾病関係が25,060人(構成比27.8%)と最も多いが、このうち認知症又はその疑いによるものは19,039人(構成比21.1%)と総数に占める割合も多い状況にある。
なお、疾病関係に次いで、家庭関係の13,699人(構成比15.2%)、事業・職
業関係の9,652人(構成比10.7%)の順で多い(その他、不詳を除く。)のだ。
イ 原因・動機の年齢層別割合
原因・動機の年齢層別割合では、10歳代以下が家庭関係、20歳代から
30歳代までが事業・職業関係、60歳代以上は認知症が高い割合を占めている(その他、不詳を除く。)。
認知症については、50歳代から増え始め、70歳代では行方不明者に占める疾病を原因とする中の6割強、80歳以上にあっては8割弱となるなど、年齢が上がるにしたがって認知症の人の行方不明事案が多くなっている状況にある。
|認知症に係る行方不明者の状況
(1) 認知症に係る行方不明者数
令和5年中の認知症に係る行方不明者数は、統計をとり始めた平成24年以降で最多となる1万9,039人 (前年比330人増加)となった。
直近10年間の推移をグラフにしたものが下図であるが、昨年は平成26年の1.8倍に増加しているのがわかる。
(2) 男女別
男女別では、男性が1万597人(構成比55.7%)、女性が8,442人(構成 比44.3%)と、男性の割合が高い傾向が続いている。
(3) 所在確認等の期間
令和5年中に所在確認等がなされた認知症に係る行方不明者のうち、警察又は届出人等において発見(所在が確認)された者は1万8,221人であるり、72.3%を占めている。
届出受理から所在確認(死亡確認、その他を除く。)までの期間は、受理当日が最も多く1万3,517人(72.3%)、次いで2日~3日以内の4,471人(24.8%)であり、3日以内で97.1%が発見されている状況にある。
|おわりに
以上警察が公表した「令和5年における行方不明者の状況」をもとに若干の分析を加えてみたが、60歳を超える年齢層では病気、特に認知症を原因とする所在不明者が多いのが実態のようだ。
家族等の見守りが必要である。
一方で、3日以内に9割以上の高確率で発見されている状況にあるという。
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