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合図

交差点での右左折などの際に自動車は右左折の合図を、また進路変更するときも合図をしなければならない。
最近運転をしていて感じるのは、合図が遅いこと。
中には合図をしない車も多い。
では、合図はどうしたらよいのか・・・、今回はこのことについてちょい書きます。


|合図とは

道路交通法第53条に「合図」について記載がある。

(合図)
第五十三条 車両(自転車以外の軽車両を除く。次項及び第四項において同じ。)の運転者は、左折し、右折し、転回し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない。
2 車両の運転者は、環状交差点においては、前項の規定にかかわらず、当該環状交差点を出るとき、又は当該環状交差点において徐行し、停止し、若しくは後退するときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない。
3 前二項の合図を行う時期及び合図の方法について必要な事項は、政令で定める。
4 車両の運転者は、第一項又は第二項に規定する行為を終わつたときは、当該合図をやめなければならないものとし、また、これらの規定に規定する合図に係る行為をしないのにかかわらず、当該合図をしてはならない。
(罰則 第一項、第二項及び第四項については第百二十条第一項第六号、同条第三項)

ということで、条文を読んでもらうとお分かりのように、右折,左折…等の同一方向に進行しながら進路を変えるときは、合図をし、これらの行為が終わるまで継続しなければならないということである。

|合図の必要性

前を走っている車が、そのまま直進し続けるならば問題はない。
しかし、いつ進路を変えるかわからないというのは、運転者として非常に不安なことである。

今日、多くの車で混雑している道路上は、公共の場であり様々な道路利用者が共有して相互の安全を考えながら走行する場でもあるのだ。

そこをそれぞれが勝手気ままに、自分の思いのままに、しかも何の合図もせずに走り回ったらどういうことになるでしょうか?
言わずもがなかだが、「交通事故が続出」することは目に見えているようだ。

そのような道路交通の場において、自分の行動を「私は、この先の交差点で右折するよ」とか、「これから左側に寄るから、気をつけてほしい」、「この先で停止する」という意思を他の車に伝えるために、手や方向指示器、灯火などを使って合図する必要があるのだ。

人間同士は「言葉」というコミュニケーションツールを使い意思の疎通を図ることができるが、鉄の塊である車同士や車と人(歩行者)の間には「言葉」はなく「合図」という方法で、自分の意思を表に示し行動する、コミュニケーションを図るということになるのだ。

道路交通法の策定作業を行った先人によると、「意思疎通をよくするため合図というシステムを用いた」という。
実際、安全確保上も、合図は非常に重要なツールであり、合図を出し忘れたりすれば他の車に迷惑をかけ、最悪は交通事故の発生に至ってしまうこともあるのだ。

|それでも迷う合図

しかし、実際の交通の現場では、どう合図をすればよいか、判断に迷うことも結構あるのも確かだ。

たとえば、道交法を受け、道路交通法施行令第21条で「合図の時期及び方法」を定めている。

(合図の時期及び方法)
第二十一条 法第五十三条第一項に規定する合図を行う時期及び合図の方法は、次の表に掲げるとおりとする。

道路交通法施行令21条の引用

ということで、右左折の場合などには、
〇 進路を変えるとき:その行為をしようとするときの3秒前
〇 右左折するとき:その行為をしようとする地点から30m手前の地点に達したとき
ということになり、通常
 進路変更時は3秒前、右左折は交差点の30m手前
で合図が必要だという認識でいる(少なくとも私は・・・)。

|合図のタイミング

実は、合図のタイミングについては、難しいところもあるようだ。
法令に基づき杓子定規に判断すれば前記のとおりだが、例えば進路変更してから交差点まで30mの距離がないような場合は合図は継続したままでよいのか?

また、二車線目(第2通行帯)を走行中、先の交差点を左折するため進路を左側車線(第1通行帯)に変更しようと左に合図を出し進路を変更した。その後左折する交差点が迫っていたが、合図は一旦やめて出し直すべきか、それとも継続した行為として左に出したままでよいのか?
などということがある。

一般的には、左側の車線に進路中に次の交差点でそのまま左折するときなどは、まず進路変更の3秒前に合図をし、左折行為である「できる限り道路の左側端に寄る」ことになる、次に「交差点の手前30m」地点で左折の合図をし左折することを周囲に示し、徐行し左折することになる。

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したがって、左折の場合には同一の車線上でも「左側端に沿うために進路を左に変更する」行為と、「左折」行為の二つの別の行為があり、それぞれに合図が必要になることから、原則的には一旦合図をやめ、交差点手前30m付近であらためて左折の合図をすることになる。

しかしながら二つの行為が、時間的に密接に近接している状態、すなわち、進路を変更し終わったところで次の交差点が30m以内に接近しているときなどはそのまま継続してもよい。

道路交通法制定作業を担当した内海氏の著書の中でもこの点については以下のように記載されている。

進路変更の合図は三秒前、左折の合図は三〇メートル手前からという、その相関関係から判断して、そのときの状況に応じて出せばいいのである。
すなわち、合図を二度に分けるか、継統したままにするかは、どちらが安全かという判断で決まることになる。

著書:「道交法とつきあう法」より引用

|合図をしない車が多い

現実の交通の場では、進路変更時や追い越し、右左折などの際に、あらかじめ合図をしない車も多く、また、交差点等を右左折する直前で急に合図を出す車もある。
後続車や対向車からすると、驚きを感じるなど危険を伴う行為なのである。
また、合図をしなかった当時車両としても、交通事故を誘発する可能性があり、また追突や他の形態の事故に巻き込まれることもあるのだ。

自動車教習所ではその指導により正確かつ適正に合図を行い、右左折行為をしてきたはずであるが、慣れと運転操作の緩慢等から合図が遅れたり、合図をしなかったりという横着行為が常態化しているのかもしれない。

しかしながら安全のために
 進路変更の合図は3秒前
 左折の合図は30メートル手前

を実践していただきたい。

|合図が必要ではない場所
道路の曲がり角、つまり「く」の字や「L」字などに近い曲がり角で、ご丁寧に合図をしている車を時に見かけることがあるが、道交法上は合図の必要はない。

|おわりに

言葉を発することができない車なので、安全のためにも周囲には合図という形で、車の行動意思を車外、道路利用者に示し共有することは極めて重要なことである。

ぜひ、法令則った合図の使い方を行いましょう。

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