CYJ (Climate Youth Japan)

2010年に気候変動問題に大きな関心を持つ若者によって設立されたネットワーク型NGOで…

CYJ (Climate Youth Japan)

2010年に気候変動問題に大きな関心を持つ若者によって設立されたネットワーク型NGOです! 中高生から社会人まで、全国各地から集まっています。 政府や関係省庁への政策提言や、COP等国際会議への派遣、さらに若者向けの発信・イベント開催など幅広く活動しています!

最近の記事

菜食と動物倫理④日本の家畜動物

 現在、日本の家畜動物はどのような環境で生きているのでしょうか?  採卵鶏(=卵を産む鶏)、ブロイラー(=食肉用の鶏)、豚、乳用牛、肉用牛の順にみていきたいと思います※3。  採卵鶏の9割は、バタリーケージ(=B5サイズほどの檻)の中、羽を伸ばすこともできない状態で生かされています。8割は、鶏同士でつつきあうのを防ぐために雛のうちにくちばしを焼き切られます。産卵を始めて一年ほどで採卵率が低下していきますが、3分の2は二週間の強制換羽(=絶食・絶水などの給餌制限)で羽を抜け変

    • 菜食と動物倫理③日本史と動物

      ・日本と動物倫理 前回までは、世界(特に欧米)の動物をめぐる展開を述べてきました。それでは、日本の場合はどうだったのでしょうか?今、どうなっているのでしょうか?  日本では19世紀後半に西洋諸国の文化がもたらされるまで、肉食は一般的ではありませんでした※2。明治・大正期になっても食肉需要は大きくなく、動物の飼育や屠殺は家庭の中で行われていたようです。また、役牛など農作業の助けとして飼われる家畜が多かったため、食用の家畜動物は人々に馴染まれていませんでした[21]。 [図1

      • 日本の原発最終処分場建設の現状

        これまで世界の原発最終処分場について見てきましたが、今回は「日本の原発最終処分場がどのような状況にあるのか」を考えていきます。 今回見ていくのは北海道・寿都町。ここでは原発最終処分場の建設に対する住民の意見が分かれています。寿都町の議会だよりから読み取れる、最終処分場を建設するプロセスの中にある様々な課題を話し合いました。 まず、コロナ禍によって住民や町長の間での意見交換の場が少なくなる中、十分な意思疎通がさらに難しくなっています。ホームページを介してしか閲覧することがで

        • 原発にも、「つくる責任」、「つかう責任」

          産経ニュースの「10万年後の安全―『信頼』と『責任』の意味」という記事を読みながら内容に関して思うことを共有し、議論しました。 記事の内容は、フィンランドのエウラヨキという小さな町における原発の最終処分場の建設が国によって正式に認められたというものです。 エウラヨキには原発があり、そこで出た核のゴミをその場で処理しようということだそうです。 核のゴミは高い放射能を含んでおり、放射能が使用前の水準に戻るまでに10万年かかると言われています。10万年の間、国がきちんと責任を

        菜食と動物倫理④日本の家畜動物

          菜食と動物倫理②家畜・魚の倫理

          ・「家畜」の歴史 前回の記事では、動物が意識をもち、苦痛を感じる可能性がとても大きいことを確かめてきました。動物が人と同じく何かを感じ、何かを望む存在であることに思いを巡らせると、「人と動物の関係」の暗い側面が見えてくるようになります。  いつの時代も、人が牛や馬などの家畜動物を育てるのは、それが農作業の手助けや食料生産といった人間の利益にかなうためでした。そして利用する以上、去勢しておとなしくさせたり、檻や囲いに閉じ込めたりというように、悪意はなくとも動物にとって過酷な扱

          菜食と動物倫理②家畜・魚の倫理

          プラスチックのリサイクル

          こんにちは! みなさんはプラスチックのリサイクルについて考えたことはありますか? 私は大学で化学を応用したリサイクルに関するレポートを書いたことがあり、先日のグループワークではそれを題材にして話し合いをしました。 今回は、その概要を簡単に紹介したいと思います。 現在、環境問題に大きな影響を与えているプラスチックですが、このまま生産を続けると2050 年にはプラスチックの量が魚の量を上回ってしまうと予想されています。それについての情報は以下のリンクに貼っておくので、気に

          プラスチックのリサイクル

          菜食と環境②海の産業

           前回は、畜産業と環境のかかわりについてまとめました。では、海の産業である漁業についてはどうでしょうか?  現在、世界中で毎年数兆匹の魚が捕獲されていると言われています[13]。加えて、延縄漁やトロール漁による海亀など海洋動物の混獲(=意図せず捕まえてしまうこと)も大きな問題となっています。これによって年間三十万以上の鯨や海豚(イルカ)が犠牲となっています[14]。混獲で害されやすい鮫など大型の肉食魚が減ることは、食物連鎖の不安定化につながり、海で暮らす他の多くの生物も悪影

          菜食と環境②海の産業

          菜食と環境①陸の産業

           2006 年、FAO(国連食糧農業機関)は『家畜の長い影』という報告書で、畜産業は温暖化、大気汚染、水質汚濁の大きな要因であることを示しました[1]。BBCによると、世界の温室効果ガス総排出量のうち26%が食物に由来していて、食品のなかでも特に肉、魚、乳製品などの動物性食品が58%(総排出量の約15%)を占めるとされています[2]。  [図1]FAOの報告書『家畜の長い影Livestock's Long Shadow』  現在、UNEP(国連環境計画)は「世界で最も急を

          菜食と環境①陸の産業

          原発最終処分場をめぐる問題①

          今年は、10年後のエネルギーの作り方について決める第6次エネルギー基本計画の策定に関する話題がありました。再生可能エネルギーや石炭火力の比率、新たな発電技術についての是非が議論され、原子力発電を今後どうしていくかという点についても注目が集まりました。 原発といえば、先日の衆議院選挙においても、各政党で原発をめぐる意見の違いが見られましたね。 世界的な脱炭素の潮流もあり、これまで以上に原発の是非について問われる昨今ですが、原子力発電をする上で発生する核のゴミはどうなっている

          原発最終処分場をめぐる問題①

          菜食と動物倫理①動物と学問

          ・動物の「意識」? 2012年、イギリスのケンブリッジ大学にて、著名な科学者たちが『意識に関するケンブリッジ宣言』を発表しました。  これは哺乳類、鳥類、その他多くの動物が意識を生み出す神経基盤を持っており、動物の意識の存在を示す多くの証拠があると主張したものです[1]。  実は長い間、動物が意識や心といった主観的な働きをもつことは、名高い哲学者をはじめ多くの人に否定されてきました。例えば17世紀、ルネ・デカルトは動物は魂を宿さず感覚も感情ももたない機械だと断言し、18世紀

          菜食と動物倫理①動物と学問

          菜食と健康

           近ごろ日本では、健康のためにベジタリアンやヴィーガンになる人が増えているように感じます。その背景には、科学が植物性食品のメリットを示してきたことがあるのではないでしょうか。 ・肉食と病気 WHO 国際ガン研究機関の「発ガン性リスク一覧」によると、グループ 1〔発ガン性がある〕に加工肉が、グループ 2A〔おそらく発ガン性がある〕にレッドミート(=牛豚など哺乳類の肉)が含まれています[1]。日本では大腸ガンによる死亡率が 1950 年代と比べて大幅に高まっていますが、これは肉

          ベジタリアン、ヴィーガンと多様性④交差性

          3.交差性=インターセクショナリティ  前回見たように、菜食の実践を哲学思想に基づくものと捉える見方は、欧米や英語圏を中心に形成されてきたものです。したがって、もしヴィーガンなどの菜食を実践する理由は常に倫理的なものだと断じてしまうなら、それは西洋以外の様々な地域で脈々と続いてきたプラントベースの実践を覆い隠してしまいかねず、差別的な白人・西洋中心主義を助長することになりえます。  ただし、それによって倫理的な菜食を否定するのではなく、動物の正義と人間の正義を両立するような

          ベジタリアン、ヴィーガンと多様性④交差性

          ベジタリアン、ヴィーガンと多様性③菜食と哲学

          2.「哲学思想」と捉える 前回の英国ヴィーガン協会によるヴィーガニズムの定義にみられるように、プラントベースの実践を論理的・客観的な根拠(=理論的根拠)を背景とした哲学思想と捉える流れは、西洋の社会を中心として形成されてきたものです※2。  例えば、19世紀イギリスの詩人パーシー・シェリーは『自然な食生活の擁護』(1813年)を、好古家のジョゼフ・リッツンは『道徳的な義務としての動物食の節制に関する試論』(1802年)をそれぞれ著し、肉を避ける食生活を倫理的なものとして勧め

          ベジタリアン、ヴィーガンと多様性③菜食と哲学

          ベジタリアン、ヴィーガンと多様性➁菜食とセクシャルマイノリティ

           前回の記事では、プラントベース=菜食の生活を送る理由はとても多様であること、西洋社会から生まれた定義が国際的に広まっていること、けれど菜食を多面的に捉えるのも大切であること、などを述べました。  今回は、菜食と、菜食をする人々についての、新しい捉え方を提案してみたいと思います。 1.「指向」と捉える  プラントベースの生活実践を、食べ物の好き嫌いや、外見の好みといった「嗜好」ではなく、その人に深く根付いた「指向」として捉える考え方があります[6]。この見方によって、ヘ

          ベジタリアン、ヴィーガンと多様性➁菜食とセクシャルマイノリティ

          Plant-Baseプロジェクト~ベジタリアン、ヴィーガンと多様性①

           プラントベース=菜食中心の生活をする理由は様々に分かれています。健康、環境、動物倫理、宗教、文化、経済など、「vegetarian」、「vegan」という言葉がまだ存在しなかった何千年も前から、世界中の様々な地域でそれぞれに異なる理由で実践されてきました[1]。  古代にはギリシアの数学者ピタゴラスのほか、インドの仏教の創始者ブッダやジャイナ教の創始者マハーヴィーラが肉を避ける菜食の生活を広めました。日本でも、6世紀の仏教伝来や7世紀の律令制による稲作の国策化により、明治

          Plant-Baseプロジェクト~ベジタリアン、ヴィーガンと多様性①

          第3回対話イベント「ユース×環境」

          みなさんこんにちは、CYJでは「対話イベント」なるものを開催しています。今回は第3回「ユース×環境」ということで様々なユース団体を招いて日頃の取り組みや最近の悩みについて共有しました。 ざっくりと流れはこんな感じです。 ①イントロダクション(環境問題に関心を抱いたきっかけ、団体に入った理由) ②所属団体の活動紹介 ③コロナ渦での取り組み、悩み ④問題意識の底上げ 2時間くらいかけてこのようなトピックについて対話をしました。参加団体はCYJのメンバーに加え、IRESA/Cl

          第3回対話イベント「ユース×環境」