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【イベント開催報告】根付かないと意味がない!途上国地域コミュニティの防災力を高めるポイント(2023年7月27日)

こんにちは🌞ファンドレイジング&サポーターエクスペリエンス担当の南原です。
7月27日にCWS Japanのメンバー協力のもと、「途上国支援」をテーマにしたオンラインイベントを企画・開催しました!当日は全体のモデレーターとしても参加させていただいたので、当日の様子やお話をピックアップしてお伝えさせていただきます。

イベント概要はこちら

なおYouTubeでアーカイブ動画の配信を行なっていますので、ぜひご覧ください。


テーマは「いかに根付く支援を実現するか」

支援の文脈では、その支援が一過性のものではなく、コミュニティーや地域、国にとって中長期的に価値のあるものになるか、という継続性/サステナビリティーの側面が重要視されます。

個人的にも、いかに根付く支援を実現できるか?そのためにどんなことが必要なのか?については非常に興味をもっており、今回はメインテーマに設定させていただきました。

災害と隣り合わせの国「アフガニスタン」でのプロジェクトを事例に。

CWS Japanでは2017年よりアフガニスタンの緊急支援・防災支援を行っています。また今回の登壇者の一人である事務局長の小美野自身は2003年からCWS Japan以外の団体の関わりでアフガニスタン支援に関わっています。

事務局長 小美野のスライドより

アフガニスタンでは、元々山地が国土の75%を占めていることから、地滑りなどが起きやすい状況に加えて、治水ちすいの未実施など、防災・減災対応の限界などもあり洪水が発生してしまう一方で、気候がもたらす干ばつ被害、それによる食糧や水へのアクセスの制限など、災害によって命を落としてしまうリスクが非常に高い状況が続いています。
そのなかでCWS Japanが行ってきた緊急人道支援、中長期的な防災力向上を目指した防災支援を事例に、お話を伺いました。

支援が「根付く」とはどういう状態か?そのためには何が必要か?

せっかく支援をしても、それが根付かない状態では支援の意味がありません。そういった背景から、支援が「根付く」とはどういう状態を指すのか?

技術の根底にあるサイエンスへの理解と、成功体験を持つことが「根付く支援」の始まり

小美野からは、「サイエンスへの理解」と「成功体験」を通じた「自分ごと化」が鍵という話がありました。

CWS Japanでは、活動を聞かれた時に「防災のフィロソフィー」を伝えていますって言うんですよ。「防災の技術」が前面に出るわけじゃないんです。

小美野より

支援の現場では、日本人に対して「答え=ソリューション(解決策)」を求めてくることが多いですが、そのソリューションがなぜ課題を解決するか、という根本のサイエンスを理解することで、本当の意味で災害対応ができるようになること、またそういったサイエンスを理解することが自信や成功体験にもつながることで、結果として防災・減災を自分ごと化し、災害に対して打ち手を講じることができるようになると言います。

アンコントローラブルなものから、コントローラブルなものに変わった瞬間が分かる

また西澤からは、以下のようなエピソードが共有されました。

「災害はわたし達の宿命なんだ」みたいに捉えられている現場もありました。防災・減災っていうコンセプトを理解すると、自分が主体的になって、災害リスクを軽減したり、命を救えたりするんだっていう側面に目が向いていくんですね。そういったことが伝わった時、現地の方々の目がキラキラしていくのを感じます。自分には状況を変える力がある、と感じた瞬間に目が変わるんです。

西澤より

モデレータとして話を伺うなかで、災害などの課題に対して、解決のためのサイエンスが理解でき、自分自身が状況に介入できる、ということまでを理解してもらうことが「根付く支援」の第一歩なのだなと感じました。

緊急支援の中に、中長期的な効果を見据え、防災支援の要素を織り込んでいく工夫

西澤の発表スライドより

また緊急支援を担当する西澤からは、「緊急支援」という短期的な成果を期待されているプロジェクトの中に、中長期的な防災力向上につながる「防災支援」の要素を織り込んでいく工夫が語られました。以下の記事でもある「キャッシュフォーワーク」がまさにこの事例になります。

短期的な効果と中長期的な防災力向上をどのように共存させるかは、今後もCWS Japanの活動のなかで向き合っていきます。

遠隔だからこそ、自己開示と率直さを信頼関係の基盤に

プロジェクト運営にあたって、とても重要な要素が現地のパートナー団体との連携です。しかしながら2020年からは新型コロナウイルス感染症が世界的に蔓延し、アフガニスタンも例外ではありませんでした。緊急支援を担当する西澤はこれまで一度もアフガニスタンを訪問できたことがないなかで、どのように関係を構築し、プロジェクトを進行していったのかを伺いました。

お二人からは、担当同士の自己開示を通じて話しやすい関係性を作っていくこと、また対等なパートナーシップを築いていくことなどが語られました。

わたしは小美野さんと違って1回もアフガニスタンに行ったことがないので、信頼関係の構築は自分としてはいつもハードルだと思っています。
現地パートナー団体で直接連絡を取り合う方に対しては、そのプロジェクトを管理してるとかそういう感覚だけじゃなくて、「顔が見えるようなコミュニケーション」はすごい心がけています。
最近引っ越したとか、明日友達の結婚式なんだとか、たわいもないことを話せる、そういう余白を大事にしようと心がけていると、自然と相談事もお互いしやすくなります。もしかしたら問題になるかもしれないことを事前に共有してくれるなど、スムーズなコミュニケーションが取れているかなと思います。

西澤より

パートナーシップって良いときもあれば悪いときもあるんですが、良い時は喜びが2倍になって、苦しいときにはその苦しみが半分になるような関係性が本当にパートナーシップのあるべき姿だと思うんです。
だから、いつも仲良しこよしじゃダメだと思っていて、中長期的なビジョンが共有できていて、そこに向かって進めているかは常に確認していますし、それができていないと感じる時は、率直にキツイことも現地パートナーに伝えたりします。

小美野より

「防災」が社会のあり方、人々の生き方のなかに溶け込んでいくような、そんなインパクトをもたらしたい

最後に、お二人に今後実現したいことについてお伺いしました。

西澤からは、これまで以上に、現地コミュニティーの方々や、プロジェクトを一緒に進めている現地パートナーの視点を強く意識しながら、支援活動に取り組んでいくという意気込みをお話しいただきました。

また小美野からは「防災のムーブメント化」というキーワードがでました。防災の実現は、災害時の一人ひとりの判断にゆだねられるため、まさに社会のあり方、人々の生き方のなかに溶け込んでいくようなインパクトをもたらすために、各関係者と協力して防災自体をムーブメントにしていく、という意気込みが語られました。

終わりに

実際の支援プロジェクトに関わってきたメンバーからの話を通じて、本当の意味で根付く支援をするための信念を感じる貴重な機会となりました。CWS Japanではそれぞれのメンバーが根付く支援を行うために日々活動をしています。そんな側面も知っていただけるように、今後も事例などの発信を行っていきたいと思います。

アーカイブ配信のご視聴はこちらから

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(文:ファンドレイジング&サポーターエクスペリエンス担当 南原隆之介)


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