土筆の子

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「貪欲な仕事」と「高圧経済」

原田 泰、日本人の賃金を上げる唯一の方法 、PHP新書 2024.2.19で興味深い言葉に出会いました。 貪欲な仕事、greedy work 「高収入の見返りに長時間労働を必要とし、勤務時間・場所のフレキシビリティのない仕事を意味する。 高賃金であるものの、配偶者・子供・友人など人生の他の全てよりも、担当労働者へ仕事への取組の優先を要求される仕事である。https://archive.md/4fTZu “greedy jobs”, which require people t

    • 清原達郎 わが投資術、講談社 2024.3.1

      日経に出ていた小さな広告に気づき買ってみました。まったく未知の分野でまことに興味深く読みました。ベイズ確率、企業の盛衰、失敗譚、成功譚など興味深く、経済学者の本では知りえない実際の経済・投資活動がよくわかります。現在、銀行預貯金から、投資に回してもらおうとの国の動きが活発です。個人資産を増やすことを考えている方々が多くおられることも想像できます。一方で、詐欺的行為もますます横行してきましょう。その際に、道義的観点を忘れないで何が起こっているのか、どうすべきか、大局的に押さえて

      • 恥を知れ

        朝、通勤経路にある大妻女子大学の入り口に『恥を知れ』の書の大きなパネルを張り出しているのに出会って驚きました。大妻中学高等学校の、校訓と知りました。『恥を知れ』を人間教育の根幹とし、一貫して「時代の要請に応える教育」を実践しているとのことです。創立者大妻コタカは、校訓『恥を知れ』について「これは決して他人に言うことではなく、あくまでも自分に対して言うことです。人に見られたり、聞かれたりしたときに恥ずかしいようなことをしてはいないかと、自分を戒めることなのです。」とはいわれてい

        • 不動産の12の新ルール提言

          幸田昌則、不動産バブル 静かな崩壊  2024.3.20 日経BP 日本経済新聞出版 ‎ 232ページ 3月25日の日経新聞に載っていて、早速、読んでみました。知りたいことがたくさん載っていて、非常に感動しています。多くの人にお勧めしたい本です。 とくに最後の章の「不動産の12の新ルール提言」には、大賛成で、政府・与党には取り組んでいただき、庶民が安心して生活できる国を作ってもらいたい。 普通の世帯年収の5倍以下で、持ち家が買えるようにしよう。との政策が語られた時代があったよ

        「貪欲な仕事」と「高圧経済」

          倉本 一宏 紫式部と藤原道長 講談社現代新書 2023.9.21

          2024.3.17の地元の図書館友の会読書会の課題本。調べながら読むとまことにおもしろい。滋賀県や、京都の土地勘があるので、親近感がわきます。藤原道長が造営した浄妙寺のあった、宇治の北端、木幡には、家庭教師のアルバイトで通っていました。瀬田川の下流に南郷洗堰は琵琶湖の水位を制御する堰でそこに、勤めたことがあります。その時、石山寺の当りの瀬田川右岸道路は川側に拡幅されました。瀬田川の浚渫を行って、川幅を狭めることができました。後に、石山寺の裏の岩盤を貫いて大津市内の洪水対策のた

          倉本 一宏 紫式部と藤原道長 講談社現代新書 2023.9.21

          知識社会の教育

          神野直彦、財政と民主主義、ー人間が信頼し合える社会へ 岩波新書、2024.2.20 を読んでいます。ロジックをつかみにくい冗長な文章にも感じますが、論点の多くに賛同します。例えば、 「知識社会の教育」は、人間を人間として成長させるという本来の教育を必要としている 。それは労働を担う手段としての人間を育成する教育とは 一線を画し、知識社会が要求する「量」を「 質」に置き換える人間的能力を開花させる方向である。どのような能力なのかは 、現段階では未知ではある 。知識社会では 、

          知識社会の教育

          トリクルダウン理論(トリクルダウンりろん、英: trickle-down effect)

          途上国援助に関わった方々は、トリクルダウンはないことは、経験されていると思います。南米、アジア、みな独り占めの状態で、昔から変わらない。日本で数年前に、この言葉が聞こえたのは驚き、いまさら何を言っているんだと思いました。富裕税を科すのなら理解できますが、カクテルグラスを積み上げて、水を上から注いで、これがトリクルダウンです。などと説明されていました。重力が働く、場合ならとにかく、無重力だと上の方に滞留したままでしょうに、奇論としか思えません。 以下wikiなどからの解説です

          トリクルダウン理論(トリクルダウンりろん、英: trickle-down effect)

          共同体による共有資源の管理

          経済評論家の話を聞いていて、おかしなことを話されると、思うことがしばしばある。例えば、「共有地(コモンズ)の悲劇」であり、「トリクルダウン効果」である。ここでは、共有地(コモンズ)の悲劇を考えてみたい。 イングランド銀行著、村井章子訳、経済がよくわかる10章, P86、P116には、おおむね以下の通りあった。 ====<以下引用要約>=== 共有資源が存在し、それをできるだけたくさん取ろうとする人が大勢いると、どの人も過剰に消費しがちになり、結果的に意図せずその資源を傷つけた

          共同体による共有資源の管理

          倉本 一宏 紫式部と藤原道長 講談社現代新書 2023.9.21

          次回2月の読書会の課題本。調べながら読むとまことにおもしろい。 源氏物語の断片には、出会っていましたが、歴史的な背景があることを知りました。 清少納言、(康保3年頃〈966年頃〉 - 万寿2年頃〈1025年頃〉)、定子(藤原兼家の長男『藤原道隆』の娘)に993年頃から1001年頃まで仕えた。枕草子 紫式部、(活動期間 990年代 - 1000年代)、彰子(藤原兼家の五男『藤原道長』の娘)に1005年頃から1012年頃まで仕えた。源氏物語  藤原道長(康保3年(966年)- 万

          倉本 一宏 紫式部と藤原道長 講談社現代新書 2023.9.21

          「有能でも嫌な人」の賞味期限

          「有能でも嫌な人」の賞味期限とのコラムが1月22日の日経にありました。ビッグモーター事件などを連想します。今週の週刊文春には、SBI証券の上場銘柄の初値操作、ハズキルーペ会長の悪評が載っていました。他山の石にし、おごらない、共感力を高めるを、今年の抱負の一つにしたいと思います。コラムの最後には、「もし仕事のできる嫌な人のおかげで悲惨な思いをしていても、心配しないでほしい。彼らはきっと相応の報いを受けるはずだ。」とありました。心を病んでいる若者も多いので、救いのコメントとに思え

          「有能でも嫌な人」の賞味期限

          共有地の悲劇 (tragedy of the commons)について

          経済学の話には、面白い議論があります。例えば、「共有地の悲劇」。 個人的な利益を優先することで、過剰に利用してしまい、共有の資源が損なわれ、資源の破壊や枯渇が引き起こされることを意味し、1968年にアメリカの生態学者であるギャレット・ハーディンが提唱したもの。彼は、共有の牧草地を例にとり、共有地の牧草地で牛飼いたちは、それぞれ自分の利益のために牛を増やそうとします。彼らが牛を増やすことで、共有地の牧草地は過放牧となり、餌となる草はどんどん減っていきます。本来なら草は時間をかけ

          共有地の悲劇 (tragedy of the commons)について

          近所の市立図書館友の会の新年会

          昨日の午後は、読書会とその後に、近所の市立図書館友の会の新年会がありました。20名ほどの参加でした。以下は、そこで、紹介された本です。何冊か読んでみようと思います。60から80代の高齢者が多く、女性は3分の1程度でした。 萩原博子『マイナ保険証の罠』文春新書 田中章宏『関東大震災 その100年の呪縛』幻冬舎 保坂正康『戦争の近現代史 日本人は戦いをやめられるのか』幻冬舎新書 加藤登紀子『百万本のバラ物語 こんな生き方がしたい』光文社 大橋由香子『生命科学者 中村桂子』理論社

          近所の市立図書館友の会の新年会

          アバイブーベ ・タイ薬学博物館

          バンコクから北東約140キロ、車で1時間半ほどのプラチン・ブリ(県)にある国立総合病院のアバイブーベ 病院 (Chao Phaya Abhaibhubejhr Hospital)、薬学博物館、併設されているスパに行く機会がありました。 タイ国王ラーマ6世のスワッタナー王妃の父、チャオプラヤ・アバイブーベ(1861-1922:第9代プラタボン総督1892-1907年)が、1909年にラーマ5世がプラチン・ブリを訪問した際の宿泊用に迎賓館を建てました。 アバイブーベ(タイ語: อ

          アバイブーベ ・タイ薬学博物館

          高田 胤臣、だからタイはおもしろい~暮らしてわかったタイ人の「素の顔」~ 光文社新書、2023/11/13

          霞が関の本屋さんで見つけました。ネット(note)に全32回にわたって連載された『「微笑みの国」タイの光と影』をベースにまとめられた本です。 年始に、メコン河委員会勤務時に知り合ったタイの友人を訪ね、バンコクの北東140キロ程のところにあるカオヤイ国立公園に行く機会があり、山の近くの林に囲まれた地で、暖かい冬を過ごしてきました。旅した折に、その地に関係ある図書をなるべく読むことにしています。梅棹忠夫さんは「自分の足であるき、自分の目で見て、その経験から、自由に考えを発展させる

          高田 胤臣、だからタイはおもしろい~暮らしてわかったタイ人の「素の顔」~ 光文社新書、2023/11/13

          Tilapia (仁魚)

          年始は、タイに行っていました。 私の父は、瀬戸内海の軍港、呉で育ち、鯛に格段の思いを持っています。鞆の浦で鯛をごちそうになった話をよくしました。昔は、慶事に鯛はつきものだった様です。その話を、タイの友人にしたところ、食事にティラピアを頼んでくれました。味も姿も鯛とよく似ています。ティラピアは、日本から紹介され普及したものだと言っていたので、調べてみました。 1964年12月、皇太子明仁親王(現・上皇)がタイを訪問された際、タイ国王から国民のたんぱく質不足問題についての相談を受

          Tilapia (仁魚)

          そうだ、図書館に行こう!

          わたくし小平市の前は、職場だった土木研究所のある茨城県つくば市に住んでいました。 つくば市周辺の探訪で、親鸞聖人ゆかりの笠間市稲田の西念寺に出会いました。親鸞聖人は佐渡に流された後、許されて戻ってこられたのは、京都ではなく稲田でした。そこに滞在した理由は、支援する豪族がいたのと、近くの神社に多くの古文書があったからだそうです。その地で教行信証を書かれました。その逸話を知り、引っ越しすることになったら、図書館のそばにしようと考えていました。小平市の職場に異動になり、小平市中央図

          そうだ、図書館に行こう!