トリクルダウン理論(トリクルダウンりろん、英: trickle-down effect)

途上国援助に関わった方々は、トリクルダウンはないことは、経験されていると思います。南米、アジア、みな独り占めの状態で、昔から変わらない。日本で数年前に、この言葉が聞こえたのは驚き、いまさら何を言っているんだと思いました。富裕税を科すのなら理解できますが、カクテルグラスを積み上げて、水を上から注いで、これがトリクルダウンです。などと説明されていました。重力が働く、場合ならとにかく、無重力だと上の方に滞留したままでしょうに、奇論としか思えません。

以下wikiなどからの解説です。
〇「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富がこぼれ落ち、経済全体が良くなる」とする経済理論である。18世紀の初頭に英国の精神科医であるマンデヴィルによって初めてこのような考え方が示され、その後の古典派経済学に影響を与えた。均霑理論(きんてんりろん)とも訳される]。
2014年現在では、提唱された当時とは時代的背景が大きく異なることもあり、否定的な意見が多い。
「トリクルダウン (trickle down) 」は英語で「徐々にあふれ落ちる」を意味し、大企業や富裕層の支援政策を行うことが経済活動を活性化させることになり、富が低所得層に向かって徐々に流れ落ち、国民全体の利益となる」とする仮説である。「トリクルダウン」という名称は、ウィル・ロジャースの発言に由来するとされる。
新自由主義の理論によれば、ジニ係数が上昇したとしても、自由競争と国際貿易によって、貧困層も含む全体の所得が底上げされると考えられていた。

〇新自由主義は豊かな者がより豊かになれば、豊かな者の富が貧しき者に滴り落ちるトリクル ダウン効果が働くと主張する。 しかし、現実にはトリクルダウン効果は機能せず、夢物語で終 わってしまった。
そもそも古典派経済学がかつてトリクルダウン効果を唱えた時には、二つの前提が存在して いた。一つは、人間が富を所有するのはいずれ消費をするためであるということである。もう 一つは、人間の消費には限界があるということである。そうすると、豊かな者が所有した富を さらに増加させたとしても、消費をしていくには限界があるため、使用人への支払いなどを増
加させることになる。そのため、トリクルダウン効果が機能すると唱えられたのである。
しかし現在では、消費することを目的に富が所有されているのではない。富を所有すること で、他者を意のままに行動させる権力を手にすることが目的となっている。私の青春時代には、 理想だけが大きく、富という権力をもたない若者たちの心情を代弁して、ビートルズは「愛は 金では買えない」と叫ぶように歌っていた。
ところが、現在では巨万の富を所有する者は、「愛は金で買える」と豪語する。 愛という動機で動く社会システムにおける人間の行動すらも、富を所有する者の意思で変えられるとすれ ば、富への所有欲求には限度がなくなってしまう。巨大な富を所有すればするほど、他者の行 動を支配する力は大きくなるからである。だからこそ、トリクルダウン効果は機能しないので ある。
神野直彦、財政と民主主義、ー人間が信頼し合える社会へ 岩波新書、2024.2.20 P234 - 235

〇田辺聖子さんの新源氏物語を読んでいます。光源氏は、まさに、トリクルダウンをかかわった姫たちに行っているわけですが、権力がその基盤になっていることを実感します。明石の姫など、両親・故郷から切り離され、娘さんも取り上げられ、まことに哀れに思います。

〇みせびらかし消費 (Conspicuous Consumption)
消費もいわゆる地位財のようなヴェブレン的「みせびらかし消費」に向かっている。平均所得が増えても、「見せびらかし消費」の生産に経済資源が投入されているから、未だにすべての人の必要を満たすことすらできない。
河野 龍太郎、成長の臨界 慶應義塾大学出版会 2022.7.6 より

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