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短編小説

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2024年3月の記事一覧

茎を、切る

茎を、切る

 貝殻にあなたがびっしりと書いた文字の、そのかたちをよく覚えている。句読点の苦手なハルらしく、まばたきほどの隙間もなく敷き詰められた言の葉のその痛みが、ただ貝殻らしくひかりながらそこにあった。私の手にいっとき乗せられて、それから海へ帰ったんだ。それからハルも帰ったんだろう。今夜はどうやってかえろうか。わたしの白い椅子を延々ひいてくれるようなやさしい少年のくるぶしを夢想して、それからは、近くの薔薇を

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