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|映画・反復批評!!| 8 1/2のフェデリコについて…。

イタリアの映画監督、グイド・アンセルミ。彼は思い悩んでいたのだった。

次回作の映画の構想、脚本、スタッフ達によるクレー厶、成功を収めた前作品の、後の次作への期待による周囲からの圧力。期待による映画製作にかかわる全ての重圧、そして、それにもまして彼をめぐる妻や女性達による様々な問題と重圧、プレッシャー等のきりのない問題にかれは悩み苦しみ、白日夢すら見つつ………………………………。

・グイド………ひたすら悩むのであった……・

以前、フェデリコ・フェリーニの映画監督論をやりましたが、この8 1/2について特に言及したかった事があるので、今回はそこを特にチェックしたいと思います。

映画監督グイド・アンセルミは、次回作の映画の構想も出来ておらず、映画出資者との関係、妻ルイーザ・アンセルミとの係わり、様々な愛人たちとの関係、等の煩わしさからもウンザリしていた。温泉へ療養と称して現実逃避を試みていた。女優クラウディアにも心惹かれながら………やがて、彼は夢とも現実とも言えぬ、白日夢的な世界にいざなわれて行く………スランプに陷りつつもあらゆる事に
ウンザリした、とある映画監督の苦悩と言うやつです………………………。

作中、様々な美しい女優さんや愛人達が、時に現実以上にリアルに生生しく立ち表れたり、ブスでデブな女が表れたり、存在感の薄い、か、全くない不思議な妄想のシルクハットの謎の紳士が表れたりします。白日夢的なグイドの妄想狂的な世界観が流れるように流麗に観衆である我々の目の前、想像力の前に流れ出して行きます。

グイド監督の心の中の声・女たちよ………私を自由に解放してくれ……………

・グイド監督が苦悩する女性との関係・

この映像作品は、世界中の、様々な映画関係者、映画監督や巨匠と呼ばれる方々から多大な称賛を浴び、高い評価を受けます。いわく
ロシアのアンドレイ・タルコフスキーや、米国のマーティン・スコセッシ、イングマール・ベルイマン、ミケランジェロ・アントニオーニ等の錚々たる面々から高い評価を受けます。世代が離れている、と思いますが、意外にもアニメ映画・新世紀エヴァンゲリオンの庵野秀明監督も影響を受けたとか……………。

フェリーニ自身も、自分の代表作だと言い切っています。

映画制作現場に苦悩する、監督グイド。それは8作目と1/2分目の映画の制作に対し、私生活でも問題を抱えていた…………フェデリコ・フェリーニ自身だったのです!!

・映画監督の苦悩と悪夢、白昼夢・

ハッキリ言って、トップ・ガンや、アバター
なんかの大衆向け大ヒット作なんかが見るのがスキ!!っていう人には分からない方向性
の作品でしょう。芸術系の難解な作品という物でもなく、どちらかと言えば、映画製作関係者、映画監督や、脚本家、カメラさん
、映画評論家、今や数が少なくなった絶滅危惧種、俗に言うシネ・フィル、映画中毒患者
、映画狂と言うやつですネ! まぁ、そういう人、映画の現場の造り手達が高く評価する映画作品なのだと思います。そういう関連の映画では全世界ナンバー・ワンの映画と讃えられているのです!! なぜって、それは自分達が日々の制作の現場で見続けている事なのだから…………………。

映画の内容としては、映画制作の苦悩に悩む
、映画監督グイドの白日夢。ただ、それだけなのですが、フェリーニ監督は、恐らく我々にこう、語りかけたいのでしょう…………………

正直………人生で、現実だけ見て生きているって、そんな人なんていやしないでしょ?………
……………………。


人って、現実と妄想、空想のあいだを行き来
しながら、人生を生きているモンでしょ………
…………そういうものでしょ?


そういやぁ…………そうデスよね………………?。


フェリーニは監督グイドに、こう語らせます

「映画は他の芸術表現に比べて五十年遅れている……………。」

  確かに、そりゃそうだけど……………。

フェリーニは彼の人間離れした記憶力により
音楽、絵画、建築美術等との、その五十年の差を埋め合わせ、縮めようとします。

グイド監督の作品でしょうかは解らないが、作中に出てくる、SF映画の撮影現場の宇宙ロケット発射基地等は、いきなりの凄い発想力の発露と言えるでしょう。

フィルム・カットされたかもですが、グイド監督のピストル自殺をほのめかすシーンもあり………。

映画制作のキツすぎる重圧をも感じさせます
………………………。

この映画の最後の幕引きですが、愛人達、妻や監督に関係する人々が溢れんばかりに、ウジャウジャとパレードの様になだれ込んで来ます。


最期のセリフが、

「人生は、お祭りだ。一緒に過ごそう………。」

・最後・

悩もうが、重圧に苦しもうが、快楽に酔い痴れようが、物思いに耽ようが、様々な多種多様な人々と、数々の想像、空想、妄想達と共に人生をお祭りの様なパレードとして、楽しみゃぁ、いいのさ、ヒヤッホーー……………!


イカした幕引きですよネ。様々な各種の大問題をパレード、お祭りの様にガヤガヤと、大勢での大騒ぎの流れで締めて終らすなんて、想像力やクリエイティブな器が大きいというか、デカイというか!!  ネッ!!

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