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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㊾

「やったー!」

 
さて、落ち込んではいられません
先日受けた面接の採否連絡が来る前に、次です。

高速道路のインターチェンジのそばにある
「関係者以外立ち入り禁止」の看板を通り抜け
真っ赤なポルテを運転して待ち合わせ場所へ到着しました。
駐車場の入り口にスーツ姿の優しそうな男性が待っていてくださり
なかへ誘導していただきました。
車の窓を開け「○○です」
と名乗ると
「お待ちしていました。ご苦労様です」
と笑顔で答えてくださいました。
私が車から降りようとすると
「すみません、ちょっと別の場所にご移動いただきたいのですが」と言われました
そして、後ろの方から、少し小柄で年配の別の男性が笑顔で車に近寄ってこられました
上等そうなスーツを着こなして「総務部長の○○です」
と笑顔でごあいさつされて
「サービスエリアで面接させて頂きたいので、車で後からついてきていただけますか」
とのことでした。
「はい、わかりました」
私はそのまま車を降りずに黒塗りの高級車の後ろを、ど緊張の運転で
高速道路を走り、近くのサービスエリアに向かいました。
あの、テレビで有名な日本一のサービスエリアです。
サービスエリアに着いて、車いす用の駐車場に車を停めて
どっこらしょっと車椅子を降ろして、座ります。
二人の男性に盛んに感心され注目され、着なれないスーツでもう汗だくです
 
「お天気がいいから、ここでいいでしょう」
「どうぞ」
と、サービスエリアのテラス席のテーブルにつき
現場の事務所の女性と責任者の男性も加わり
五人でコーヒーを飲みながらお話をさせていただきました。
またまた、変わったスタイルの面接試験です。
お話の内容もなんだか雑談ぽく、和やかに進み
サービスエリアのテラス席ということもあって緊張がほぐれていくのを感じました 
感動したのは、その総務部長が自ら車いすに乗って
私が働くことになった時の動線や、環境を確認し、
いろいろと改善を支持されていたということです。
いくつかの職場を経験してきましたが、自分で車いすに乗って確認してくださった方はこの方だけでした。
後日、その素敵な総務部長が
「いやあ、僕はね○○さんに一目惚れでしたよ」
と言ってくださいましたが、私もすぐにファンになりました。
ものすごい愛犬家でもいられたので、ワンちゃん談義にも花が咲きました。
なんだかとてもご縁がありそうな予感です
 
その数日後、求職サイトの担当者から電話をいただき
どういう訳か、あの散々な適性試験のコールセンターの会社からも「採用」の連絡を頂きました
びっくりです。
いろいろと、こちらの条件ものんでくださり、熱心に誘ってくださいました
なぜでしょう、いまだにわかりません

けれども、私は総務部長と相思相愛でしたのでそちらは丁重にお断りをして
2012年5月から、かの有名な日本一のサービスエリアのバックヤードで
働くことになりました。
本当にありがたいことです。
「やったー!」

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