友久

若いころノックしただけだったモダンジャズのドアを開けてみる。田舎育ちで谷あいの街に住ん…

友久

若いころノックしただけだったモダンジャズのドアを開けてみる。田舎育ちで谷あいの街に住んで入るのに、トレッキングに目覚める。名言・格言が好きだ、だけど実行はできない。旅人の詩集と歌集を枕元に置き、夢は枯野をかけ廻る。旧街道を歩くと時めくのはなぜだろう。書店と図書館は僕の遊園地です。

最近の記事

六月の黒麦酒

梅雨前の夕刻の風や暮れ残る残紅、あるいは早朝の光。 「ふぁっ」と、満足な笑みを誰もがうかべる。 幸せなひと時だ。 田に水が入り、ホタルが舞いだす、もうすぐ6月。 夕暮れ時、急いでツバメが飛びまわり、子燕を親ツバメが「もう帰るのよ、帰るのよ」とばかりに追い立てて行く。7時を過ぎてさわやかな風とともに夜の帳が下りてくる。 早朝、外に出てみると、何もかもが日々生まれ変わるのではないか、そのように錯覚するのは、東の空からきらめく光のせいだ。6月は光と風のベストシーズンだ。 6月と云

    • さよならだけが人生ならば

      花が咲く、風がくる。 お決まりの嵐で花びらが舞う。 後を追うように新芽が見える。 咲き誇り、勝ち誇る驕りの美しさもひと時で、春の宴を嵐が奪う。 これでいいのだ。さよならだけが人生だ。 于 武陵 勧君金屈巵 満酌不須辞 花発多風雨 人生別離足 酒を勧める 君に黄金の杯を勧める このなみなみと注がれた酒を断ってはいけない 花が咲くと雨が降り、風も吹いたりするものだ 人生に別離は当然のことだ 井伏鱒二 名訳 この杯を受けてくれ どうぞなみなみ注がしておくれ 花に嵐のた

      • 誰もが、ハートの奥に思い出の写真を持っている

        桜が咲くと記憶のアルバムを開く。そしてまたシャッターを押す。 街と呼べるほど人はいないが、以前この町にも電車が走っていた。 自宅の前のなだらかな坂道を下りると、中学校があり、 その少し先に、小さな私鉄の始発駅があった。 学校と自宅の坂の途中には、桜の木で囲まれた寺がある。 昨日は蕾だった桜の花が、今朝の光の中、昼過ぎには八分咲きになっていた。 明日風で、咲いたばかりの花びらが散ってしまうかもしれない。 この桜が咲くと、思い出す事がある。 駅に行くには、この寺の桜の木

        • 『俺の旅立ち』             井の頭公園でカースケとオメダ、グズ六が待っている。

          受験の季節真っただ中だ。 勉強が特別できた方でもない、田舎の公立中学校で中の上、そんなところだろう。みんなが行く、近くの公立高校の普通科に入学した。 同じ高校に2つ上の姉がいた、寒くなってきたころだった、姉が東京の女子大に推薦入学で行くのが決まったという。 東京・・・とうきょう・・・トウキョウ・・・。 あの井之頭公園がある、東京! 当時3人の若者が演ずる「俺たちの旅」を食い入るように見ていた。 東京、井之頭公園は僕にっとて「俺たちの旅」そのものだった。 中村雅俊演じる「カ

        六月の黒麦酒

        • さよならだけが人生ならば

        • 誰もが、ハートの奥に思い出の写真を持っている

        • 『俺の旅立ち』             井の頭公園でカースケとオメダ、グズ六が待っている。

          電車がレ-ルを鳴らすたび 僕らは旅をしたくなる 春を呼べ 

          年の瀬に万年筆を買った、インクはブルー。 別に重大なことを書き留めるわけではない、ただ何となく紙に書いてみたかった。 冬の夕刻、北の国では暖炉に火を入れるのだろうと思いつつエアコンのスイッチをいれた。2月に入り、少しずつ日の傾きが遅くなってきている。 一年で一番寒い時期だが、最近は暖冬傾向でおしなべてそんなに寒くはない、温暖なこの地でも、以前は屋外の水たまりが凍ったり、時々ツララを見ることがあったが、今は目にすることはない。 冬の温かい日差しで黄金色に輝いていた南向きの

          電車がレ-ルを鳴らすたび 僕らは旅をしたくなる 春を呼べ 

          -√R(ルートマイナス R)と青春 

          東の都会に向かう新幹線で、多摩川の手前に差し掛かると、必ず席を立ち、右側のデッキから流れる風景を小さな窓から見つめる。 40数年前、住んでいた木造2階の赤い屋根のアパートの窓を開けると、新幹線と東海道貨物電車が走る土手だった。 交通至便でトイレ・キッチン付き、日当たり良好。ただアパートがおんぼろであり、隙間だらけの木製窓から、日中は新幹線、夜は貨物電車の運行音が聞こえた。当然家賃は安い。 少し上流の川向は有名な高級住宅地だった。こちら側はその昔は華町があったそうだが、その名

          -√R(ルートマイナス R)と青春 

          しぃしぃ・全然・ら抜きの人は、「こちらのホウからお預かりしてよろしかったでしょうか」と言ってくださるのは、大丈夫ですか。

          話し言葉は時代と共に変わっていくのは重々承知しているが、僕たちの世代から見ると、耳障りで仕方がない時と、返事に困るほど理解できない場合がある。 「全然おいしい」のように全然+肯定は、全然+否定と習った世代では耳障りと言いつつも最近慣れてきた。確かに「全然」の後は肯定でも否定でも良いらしいが、会話の中で「良いですよ」と言うのを、相槌を打つように、「全然」「ぜんぜん」と言われると、否定されているような気がして面白くない。 多用者 バラエティ番組の「ゼンゼン面白くないお笑い芸人」

          しぃしぃ・全然・ら抜きの人は、「こちらのホウからお預かりしてよろしかったでしょうか」と言ってくださるのは、大丈夫ですか。

          コロナ禍が教えてくれた、その2

          昨年のからボチボチ旅行に行き出した。まずは近場の温泉宿一泊から。 春に海辺の「政府登録国際観光旅館」(こどもの頃この看板を見て、ロビーに入る時、嬉しくてうれしくて、最近この看板最近みないけど)。 秋に秘境と言ってよい山深いホテルで一泊、紅葉三昧。 正月は、海に面した露天風呂付個室隠れ家的ホテル。 何所もそれぞれそれなりの味があり、料理もサービスもそこそこ及第点で満足だ。ただ、コロナ前と比べて料金がお高いのがちょっと。 でも、人手不足とコロナ禍での赤字挽回で仕方がないか、と。

          コロナ禍が教えてくれた、その2

          コロナ禍が教えてくれた、その1

          さて、休日の夕刻、note書き始め。 毎日が休日と言う友人が増えてきているが、現役で職につき、当分休日が待ち遠しい日々が続きそうな僕である。 早朝より、ハイキングシューズに履き替え古道を歩き、峠を越え、海に出る(16821歩)。古の宿場町の駅前食堂でしらす丼を食し、帰宅。足腰にアイシングシート貼り、還暦を過ぎた身体を労わる。 緊急事態宣言なるものが出たのも、遠い昔のような気がする。 あれからつい最近まで、遠出や旅行はせず、極力人混みの中には行かなかった。 活字中毒者だから

          コロナ禍が教えてくれた、その1