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栗山民也「演出家の仕事」岩波新書


・「アウシュビッツという場所が恐ろしいのではない。こういう場所があったということの人間の記憶を消し去ることこそ恐ろしいのだ」
 至言である。記憶から目をそらしたまま、いくら「未来志向」とかいってたって、それは偽善でしかない。。真剣なコミュニケーションではないのだ。この本でとりあつかっていることは<演劇>にとどまっていない。

・「演出に必要なことは何か」 
 「聞くこと」 ・・・・・ 何を聞くのか?
 「人の声」「記憶(歴史)の声」「音と音の隙間」「沈黙こそ音・・」
 なるほど!<人の心の動きを聞くこと>こそが聞くことの真髄であり、
 忘れられがちな真理なのだ。この聞くとい行為が人と人を、心と心を結びつけるのだ。

・演出家や俳優にとっての稽古場・・これは記憶の再生、新たな自己の発見をさせてくれる場所であり、奇跡を起こす場所・・
 (俺にとっての教室であり、学校・・・)

・「気持ち悪い」を楽しむ・・・このカオスこそ教室の問題を解く重大な鍵だろう。盛り上がっている教室だけが素晴らしいのではない。苦しみもがきながら答えを手繰りよせる過程。。ここに醍醐味がある。。。

・「新聞に書かれていることは読めばわかる。しかし、この新聞にかかれてないことが新聞を読むということなのだ。」これも至言だろう。そのための勉強なのだ。ワイドショーのコメンテーターから全てを得ようとするジャンクフード主義者にならないように警笛を鳴らすべし!

俺は教室で今年も学ぶ、答えはない。教室は宇宙なのだ。カオスそのもの・・・。同じものは一つもない。だからこそ、心地よい空間をつくるために教室に流れる空気に耳を澄ませる。
そこから小さな奇跡を起こす。。教室から人生を学ぶ。天国にもなれば地獄にもなる真剣勝負の舞台。そういう舞台に毎日立てる職業・・・そう、それが教師という仕事・・・。授業の一つ一つを捉えなおすいい機会を与えてくれた一冊だった。

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