詩「僕の観察日記」
スイカの種は ほとんど黒い
スイカの種は スプーンで取られた
スイカの種は ぷっと口から吐き出された
スイカの種は 「いらない。」と言われ
ゴミ箱に捨てられた
スイカの種は 庭に埋めたら芽は出ても実はならないと言われた
僕の肌は陽に焼けてくろい
スイカの種は別に嫌いじゃない
風鈴がちりんと鳴った
今日の晩も皆でスイカを食べた
僕も笑顔で「いらない。」と言われた
スイカの種と一緒だ
口のすぐ横にスイカの種が張り付いている
テレビの音が やけに騒がしい
CMの家族は やけによそよそしい
笑っているから 冗談か嘘か判断出来ない
僕の目の前が黒く歪んだ
スイカの種を庭に埋めてみた
芽が出ても実はならないんだってさ
そんなの知るか
蝉の声が近くに聞こえる
僕は夏の中心で天を仰いだ
真っ黒に塗り潰した僕の観察日記
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