IT系の求人票の見方(1)
どうも。おれです。求人票を見る際の、注意点について書きます。実際の求人票をランダムに見ながら、気付いたツッコミどころをダラダラと書いて行く記事になります。
勤務地はプロジェクト先による
他に「クライアント先」「あなたに任せます」「選べます」「都内近郊」とか、色々あるかもしれませんが、要するに、派遣社員的な感じになる、という意味です。
モデル年収、年収例
平均的な年収、という意味ではないです。うまく行ってる人はこれくらい、という意味だと考えたほうが、誤解が少ないです。平均年収が知りたければ、上場企業であれば、Yahoo!ファイナンスとかで見れます。ただ、○○ホールディングスとか、持ち株会社の平均年収だと、持ち株会社自体の従業員が30人とかしかいなくて、偉い人しか居なくて年収が高いってこともあるので、そこは勘違いしないようにお願いします。
年俸制で500万
単に「年俸制で500万」と書いてるだけだと、いまひとつはっきりしません。正しくは、「月40時間の残業代を含む年俸制で500万」とかになると思います。正しいほうだと、月40時間残業したら確かに500万もらえると思います。
もし、40時間を超えたら、追加の残業代がもらえます。たとえば、時給換算で2000円の人なら、1時間当たり、追加で2500円もらえます。割り増し賃金+25%なので、そうなります。
40時間を割った場合、どうなるかは、会社に聞いて下さい。割った分減らされるんだったら、思ったほど儲からないってことになるかもしれません。
単に「年俸制で500万」と書いてるだけだと、そもそもが、年俸制の仕組みを理解していない人が経営者をやってる可能性があります。500万払えば、働かせ放題だと勘違いしてるってことです。だから、何時間の残業代を含むんですか?って質問したほうがいいと思います。「年俸制っつったら、年俸制だよ。これで全部だよ。」とか言ってたら完全に勘違いしてます。ブラック企業とかじゃなくても、超大手企業でも、人によってはそういう理解の人も居て結構びっくりです。
裁量労働制で500万
裁量労働制で500万の場合、ガチで500万です。1年中、毎日朝9時から22時まで働いても、500万です。追加でお金をもらえるのは、22時を過ぎて深夜手当が付く場合のみです。その場合、時給換算で2000円の人なら、1時間当たり追加で500円もらえます。2500円じゃないです。500円です。そもそも、裁量労働制の場合「8時間のみなし労働」などとも書いてます。つまり、どれだけ働いても、会社としては8時間働いてる人と一緒ってことです。深夜だろうが関係ないです。働いてる時間は8時間なんです。だから、18時過ぎたから時間外、なんていう概念が無いです。
一般の人が遭遇する契約形態としても、最もエグイやつですね。あ、もちろん、仕事が早く終わって、7時間で帰ったとしても、8時間働いたことになりますが、早く終わったって、自分で判断できますか?たぶん、できないと思います。だって、仕事って1日単位で割り振られるものじゃないですから。。1日ごとに今日の仕事はこれだけ!って分かってれば、早く終わるということはありえますが、そもそも、どれだけやれば十分なのか分からないことが多いので、長時間労働を運命付けられてます。
あ、裁量労働制だと、休みの日に働いたら、その分のお金はもらえます。相変わらず、どれだけ働いても、8時間働いたとしかみなされないかもしれませんが。。
管理監督者として500万
あまり見慣れないかもしれませんが、大手だと、こういうのもたまに見かけます。こっちのほうが裁量労働制よりもエグイです。管理監督者ってうのは労働法上の用語で、一般的には「管理職」です。裁量労働制と違うのは、休日働いても意味ないってことです。土日働いても、オールコミコミで500万です。裁量労働制と同じで深夜手当500円は出ます。ほとんど会社経営者と同じって思ってもいいと思います。ただし、それだけエグイわけなので、役職手当とかがちゃんともらえてるとか、管理監督者としての実態が無いといけません。無ければ、一時期、マクドナルドの店長について問題になってた「名ばかり管理職」です。マクドナルドの店長は管理職ではないという結論でしたね。
大手クライアント多数
大手ならいいじゃない?って思いそうですけど、要するにSIerってことですよね。労働力を供給する以外の、自分の会社の具体的なビジネスは無いってことです。ほとんどのケースで、そうです。学生とかには「クライアント」って言われると、なんか、オトナな感じのいいビジネスな感じがしちゃうんだよなぁ。。SIerの注意点はこのへんに書きました。
直請け、エンド直請、一次請け、プライム案件、直接取引
これも、SIerに特有の用語です。最終顧客から直接仕事を請けてるって意味ではいいですが、やっぱり、SIerってことです。一次請けをアピールしているということは、その下にさらに二次請け、三次請けがありうるし、この会社も、二次請けや三次請けで仕事をするケースもあるんだろうなぁ、というニュアンスを醸してます。二次請け、三次請けっていうのはもちろん、下請けってことです。たとえば、1人アタマ100万で一次請けが仕事を取ってきたら、20万抜いて、80万で二次請けに発注、二次請けも20万抜いて60万で三次請けに発注、三次請けでは、会社が40万抜いて、20万の社員を使って仕事をさせる、という感じです。
もちろん、三次請けが抜いた40万は、そのまま利益になるわけじゃなくて、賞与とか、会社の維持費などにもなります。まぁ、実質賞与が無いケースもあるらしいですが。。一次請けや二次請けが抜いた20万ずつも、全部が利益になるわけじゃなくて、二次請けや三次請けを探したり、交渉するのにかかった費用や、プロジェクト開始後に進捗確認をする際の管理職の費用などにもなります。
日本って、こういうのが多いから、IT業界ってブラックって言われるんですよね。なんで、こうなるかって言ったら、みんな自前の社員を抱え込み過ぎたくないからです。日本では解雇が難しいからです。大不況になって、人余りが深刻化してきた場合、その難しい解雇を非合法ななんらかの圧力を使って、うまいことやるのは、下っ端の零細企業ということになります。下っ端より上は、単に会社間の請負契約を切るだけなので、全然合法です。
賞与の記載が無い
賞与欲しいです。賞与無いなら、月給が高くないと。。
受託開発
これも請負の一種ですが、派遣みたいなことはされずに、自分の会社で仕事ができるって意味です。そういう意味ではいいですが、納期っていう締め切りみたいなものがあって、それに追われていて、長時間労働になりがちです。受託メインでやってる会社なら、年俸制とか裁量労働制が多いでしょう。自分の会社でできるって意味では確かにいいのですが、長時間労働のきつさを思うと、派遣されたほうがラク、っていう面もあります。派遣されて、毎日進捗確認をお客さんがやってれば、本当に仕事してるっていう信頼を得やすいですから、納期を調整したりとかはしてくれやすいですし、そもそも、納期っていうような区切り方じゃなくなる場合もあるでしょう。
まぁ、若い人が短期間でスキルを上げるっていう意味では悪くないです。ただ、これが一生続くとなると、結構きついです。
完全自社内開発
第一印象はそれほど悪くないですが、これは受託なのか、社内システムなのか、自社サービス開発なのか、どれなの?っていうのが、注目点です。受託なら上に書いた通りでエグイです。社内システムや自社サービスだった場合も、まだ安心できません。
社内システムだと、つまりその会社が、その会社のビジネスのために使ってるシステムってことですが、長期間メンテしてるような古臭いシステムである可能性もあります。ですので、使ってる技術要素を要チェックです。技術要素ってプログラミング言語だけじゃないですが、今、参考に出せるのは、この記事だけです。
手っ取り早く探りを入れるには、いつからあるシステムなのか聞けば良いです。10年前とかだったら、結構古そうですね。5年くらい前なら、まぁまぁ、これから作るんだったら、結構イイです。あ、ただし、あっても無くてもいいようなシステムだったら、お勉強メインの可能性あるので、微妙です。実際にビジネスにとって必要なやつじゃないと。。
自社サービスだった場合も、それって、実際にリリースして、多くの人に使ってもらう予定になってて、収益の柱にしていくつもりのシステムなの?っていう点に要注目です。単に客寄せパンダの、お勉強のためにやってるだけのシステムっていうのもありえます。本当にビジネスにしていくつもりなら、会社のホームページとか見ても、ちゃんと説明とか分かりやすく書いてるはずです。お客さんの引き合いとかは実際あるのか、スマホアプリなのであれば、ダウンロード数はどれくらいなのか、要チェックです。
新規開発
新規開発っていうのは、基本的には良い話が多いです。何も無い所から作るっていうのは、作りやすいし、スキルも上がりやすいですから。。
ただし、コアビジネス(収益の柱になるビジネス)がまだ無い会社が言う所の新規開発というのは、危うい面もあります。そもそも、新規開発で作ったものが売れるかどうかが分からないわけですから。。売れなかったら会社は倒産です。売れそうかどうかは、会社の資本金を見れば、ある程度推測が付きます。人は30人くらいしか居ないのに、資本金が2億、3億とあったら、結構期待されてる会社ってことです。
1億っていうのは、ちょっと分かりません。1000万よりはそりゃいいでしょうけど。。めちゃめちゃ有望か?って言われると、断言はできないですね。めちゃめちゃ不安ってことも全然ないですけど。。あ、ちなみに、1000万っていうのは最低ランクです。そもそも資本金を書いてない会社もありますが、あちこちググると、出てきたりして、500万だったりします。あまり有望じゃないんだなぁっていう感触になります。
有望そうだけど、1000万っていう会社もたまにあります。たとえば、会社が始まった時は有望そうって思われてて、優良な人材を多数抱えたけど、その優良な人材の維持にかかる金ほどもは、収益化に成功してなくて、お金が入って来てないケースとかです。
※新規開発について、詳しい話はこちら。
使ってるプラグラミング言語がやたらと多い
SIerではないんだけど、やたらと多い会社があります。これをどう捉えるか?なんですが、1つには自由そうではあります。どのプログラミング言語で仕事をしてもいいという可能性があります。それはいいんですが、全体の統制が取れていないという見方もできます。もしくは、古いシステムを多数抱えていて、徐々に新しい言語に変えてきたんだけど、古いシステムのメンテの仕事もある、っていうケースです。もしくは、協力会社に丸投げが多いのかな?という見方もできます。なるべく安くやってくれるところを探して、やってもらった結果、依頼した協力会社ごとにスキルセットがバラバラっていうケースです。
おすすめは、自分がやりたい言語の組み合わせ”のみ”であるケースです。たとえば、バックエンドはKotlinで、フロントエンドはTypeScriptがいいと思ってる人だったら、その組み合わせの会社が最適です。当たり前ですが。。
やたらと多い会社でも、実際に自分が選べればいいんですが、選べないって可能性もありえます。特に若い人だったら、問答無用で、勝手に部署を決められる可能性もあります。それなりに経験年数あって、これが専門!っていうのが決まってたら、割と平気なんでしょうけど。。
というわけで、運要素がある点は要警戒です。
どう見ても派遣会社
会社名から、一般的に派遣会社って知られている会社があります。そういう会社が、技術者派遣をやってるケースがあります。やめたほうがいいです。そういう所に行くくらいだったら、一見すると、何の会社か分からない会社のほうがいいです。何の会社か分からなければ、その会社に入った後、さらに転職する際に、転職時の面接で、好き勝手に脚色できます。誰が見ても派遣会社だったら、「この人は派遣社員さん」っていう安っぽいレッテルをバッチリ貼られてしまい、剥がしようのない安っぽさを醸すことになります。まぁ、もちろん、そういう会社は政府からの監視監督もちゃんとやられているでしょうから、非合法なことをやってる可能性は少ないんでしょうけど。。
やたらと知識ゼロの人に寄り添う求人票
確かに知識ゼロの人にとっては、心強いとは思いますが、それくらいレベルの低い人であっても、集めなきゃいけない理由がある、ってことでもあります。たとえば、長年勤めても年収が上がらないとか、入った人がどんどん辞めちゃうとか、です。スクールとかで勉強した人だったら、こういう求人票よりも、ちょっと上の求人を出してる会社のほうが、年収もいいかもしれません。
ビジネス領域がバラバラ、何の会社なのか分からない
SIerでよくありそうです。業種をチェンジするたびに、ノウハウがリセットされてつらそうです。
やたらと上流工程なのが自慢そうな記事
これもSIerにありがちです。上流ってつまり、プログラムとか書くよりもずっと前のフェーズってことです。要件定義とかってやつです。何ができるシステムを作るのか?とか、どういう人がいつ使うシステムを作るのか?とかそのへんの工程です。まぁ、確かにそういうのを考える人も必要だとは思いますけど、私は興味無いですね。
上流っていうのは、レトリック(言葉のあや)ですね。上流と言えば、上流家庭、上流貴族みたいな感じで、当然に良いもの、という雰囲気がしてしまいますが、単に仕事の種類が違うだけです。川の流れで、最初の水源に近い所の仕事ってだけです。確かに上流のほうが年収良かったりしますが、興味ない仕事で年収良くてもアレじゃないですか?
具体的なことが全然分からない記事
これもSIerにありがちです。実際、仕事を握ってるわけじゃなくて、どの仕事に割り当てられるのか、事前に分からないから、曖昧なことしか言えないんです。
1年中求人票出してる会社
まぁ、確かに超大手だったら、人も多いんで、常に出してるっていうのはありえます。問題は、大した規模でもないのに、ずっと出してる会社です。要するに、人が抜けていくペースが早くて、それの埋め合わせのためには、常に求人を出してないといけないんでしょう。転職を何回かやってると、そういう会社は名前を覚えて来るので分かります。
やたらと資格手当ありますよアピールが多い会社
これもSIerにありがちです。特に、IPA(情報処理推進機構)の資格推しが強いようだと警戒しますね。資格手当くれるんだったら、いいじゃない?って思われそうですが、なぜ、資格が必要なのか考えたほうがいいです。つまり、色々なプロジェクトに人を割り当てる時に、その人の能力を、全く知らない人(一次請け企業とか)に簡単に理解していただくために、資格が必要なんです。自分の会社で仕事できてれば、そんなの無くても大体分かります。そうは行かないってことですね。
平均年齢が20代、やたらと若さアピール
最近始まったばかりの会社なら分かりますが、社歴割とあるのに20代だと、かなり怪しいですね。逆を言うと、ベテラン層が居ないってことですよね。ベテランはどこへ行ったんでしょうか。イヤなことがあって辞めざるをえなかったか、条件が悪過ぎて、他に移ったか、そんへんかな。平均年齢は32~38歳ぐらいの間には収まっててほしいですね。
PG、PL
SEとPM(プロジェクトマネージャー)ぐらいだったら、まぁ、いいでしょう。でも、PG(プログラマー)とPL(プロジェクトリーダー)というワードが出て来る会社は、イヤな予感しかしません。要するに、PG ⇒ SE ⇒ PL ⇒ PMと進んでいくことがありきの会社ってことです。あまりプログラマーは大事にされてなさそうですね。技術者軽視、頭数揃えればOK!って会社の香りがします。でれきば、SEやPMも出て来ないに越したことはないです。開発者(developer)、エンジニア、アーキテクトなどのワードが良いです。
今時、SVN、VSS
今ならGit使うのが当たり前ですが、SVNとかVSSと書いてることに恥ずかしさを感じない会社です。マジでやめたほうがいいです。あ、いずれもソースコード管理ツールのことです。
画像にやたらと若い人しか出て来ない
SIerでは、おじさんたちは、現場に派遣されてるので居ません。若い人で、まだ仕事がない人が写真に写ってる、というパターン。
SES?
SES(System Engineering Service)のことです。SIerで、派遣会社みたいな仕事やってます、っていう意味です。あまり見慣れないので、たいそうなビジネスなのかなと勘違いする人も居るかもしれませんが、全然そんなことないです。
年収200万台
いや~、さすがに200は無いでしょう。ちゃんと探しましょう。
定着率98%
これ、マジで詐欺です。ただの印象操作です。そりゃ、定着率を算定する期間を自由に決められれば、定着率なんて、なんとでも言えますよね。たとえば、50人雇って1人が4か月目に辞めたとします。続いて、5か月目にもう1人が辞めたとします。3か月目での定着率は100%です。4か月目での定着率は98%です。5か月目は96%です。4か月目のデータを使えば98%って言えますね。5年後は30%かもしれませんけどね。
株主が全員家族
これは求人票だけ見ても分からないですね。上場企業ならulletとか見ると、一目瞭然です。まぁ、上場企業ってだけでもマシなんでしょうけど、ある程度いいポジションについても、窮屈な感じがするかもしれません。多少贅沢な悩みです。
自己資本比率がやたらと低い
これも、上場企業なら、ulletとか見ると、一目瞭然です。ただし、同業他社と比べて下さい。異業種だと、全然違うことはありえます。金融関係の子会社とか持ってなくて、純粋にITの会社であれば、全業種共通ですが、40%っていうのが目安です。40%あると、結構安定してると言われます。20%切ってると、怪しい感じがします。ただし、金融機関だとそうでもないんで、業種に注目です。
あと、自己資本比率は高過ぎても「あまり有望な投資先が無いのかな?」「もう伸び切った古臭い会社なのかな?」っていう見方もできます。有望な投資先があれば、銀行が安くお金を貸してくれて、それも使って、ビジネスをどんどんでかくしていく所なのでしょうが、それがないので、お金も借りず、負債が無いので、自己資本比率が高いってパターンです。単に安定さえできればいいのであれば、悪くないでしょうが。。
やたらとコミュニケーションスキル重視
コミュニケーションはだるいよ!っていうおっさんとかは警戒しますね。稼ごうと思ったら大事なんでしょうけど、ストレス減らしたいなら、こういう会社は避けたほうがラクに生きれそうな気がします。
案件多数
「案件」っていうワードもSIerがよく使うワードです。プロジェクトを日本語で言ったら「案件」かな。多数ならいいじゃない?って思いそうですが、「よそ様の会社に多数ありますよ」って意味です。自分の会社には何もありません。まだ獲得してもない仕事を既にあるかのように言ってるだけの場合も普通にあると思います。そもそも獲得できるかどうかは、誰を割りあてるかによっても変わるわけで、新人だったら戦力にならないので、断られる可能性も高いですから。。つまり仕事は探せば色々あるけど、あなたが入れてもらえるかは別ってことです。
会社の規模
規模についての話は、こちらの記事が参考になるかもしれません。
BtoB vs BtoC
それについては、こちらで。
おわりに
まだまだ書けそうですが、2時間ぐらい、求人票をざーっと見た感じだと、気付いた点は以上です。他にも色々あるんでしょうけどね。絞り込み検索のおかげで今となっては見なくても済むようになっている類の求人票も見たので、ちょっと疲れましたね。では、また~♪
もっと見たい方はこちら
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