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酒イさんの本日もしんどい③

Barで傾聴するとしんどい

酒イさんなのだ。
note初心者なのだ。

お酒とお酒のある場が大好きで、よくひとり飲みをしているのだ。
Barにもよく飲みに行ったりするのだ。

「もっとコミュニケーション上手な人になりたい」

昔からコミュニケーションに苦手意識があったのだ。
たくさんコミュニケーションについての本を読んだりしていたのだ。

「話し上手は聞き上手」

「コミュニケーションの基本はまず相手の話しを聞くことから」

傾聴の大事さについて説いている本がたくさんあるのだ。

上手に話せなくてもいい。人の話しに一生懸命に耳を傾けることが
コミュニケーション上手への道だ。

なるほどなのだ。
酒イさんはお話しの聞き役に回ることが多いので、
これぞコミュニケーション達人の近道だとすっかり信じ込んだのだ。

「酒イさんもこれでコミュニケーションの達人!」

今回は頑張って傾聴してみたんだけど、とにかくしんどかったというお話しなのだ。

Barはコミュニケーション練習の場

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地元密着型のBarはお酒を楽しむと同時に、マスターやお客さん同士でお話しをしたりして楽しむ場なのだ。
大人の社交場っていうやつなのだ。

蝶ネクタイをしたバーテンさんがおいしいカクテルを作ってくれて、それを静かに楽しむ。
というオーセンティックなBarもたくさんあるけど、どんな地域にもよくあるようなこじんまりしたBarは、だいたいがお酒と会話を楽しむタイプなのだ。

その日あった出来事や地元のちょっとした話題を話したり聞いたりする。

仕事関係や日常の人間関係から離れて、その場にいる人と気軽に話しをする。
ストレス解消になったり、いろんな年代や立場の人の話しも聞ける貴重な空間なのだ。

酒イさんにとってはコミュニケーションの練習の場にもなったりしているのだ。

「駅前のお惣菜屋さんがつぶれたと思ったらタピオカ屋になってたよ」とか、
「支店長の社内不倫がバレて左遷されちゃってさ〜」とか、
他愛のない話しだったり、自分とは違う世界の話しが聞けたりして面白いのだ。

「話し上手は聞き上手」
と考えていた酒イさんは、Barの常連さんの話しの聞き役に回ることが多かったのだ。

それでも時おり話しを振られたり、共通の話題で盛り上がったりと、なんやかんやで楽しい時間を過ごせることが多かったのだ。

ひたすら自分の話しをしつづける人たち

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Barの常連さんはほんとうに様々な人がいて、お話し好きな人、
あまり話さずにボーっと自分の時間を過ごす人、マスターと軽く会話したらサッと一杯だけ飲んで帰る人、いろんなタイプの人がいるのだ。

そして、必ずどのBarにも1人はいる「やっかいなタイプの人」がいるのだ。

それは「ひたすら自分の話しだけをする人」なのだ。

お話し好きなタイプの人と同じように気さくで愛想のいい人が多いのだ。

席が隣り合ったときに軽く話し始めて、気がつくとその人の話しを延々と聞き続けているという現象が発生するのだ。

とあるBarでの出来事なのだ。
たまたま席が隣り合った元証券マン「俺は若いころは証券会社にいて〜昼も夜もなく働いてたよ。当時は2千万くらいは稼いでたかな〜」

「へぇ〜すごいですね!そんなに忙しかったんですか?」

「何日も家に帰れないことがあったな。毎日億単位のお金を動かしててさ、忙しさのあまり家庭も顧みずだったな。
けっきょく女房には逃げられちゃってさ。それからというもの・・・」

「わ〜、ご苦労されたんですね・・・」

「仕事を辞めて転職をしてそれからというもの・・・」

他人の人生話しを聞くのは貴重な体験でもあるのだ。
人生勉強。
酒イさんはそう思って、その人の話しに合いの手をいれながら一生懸命に聞いたのだ。

ノンストップで元証券マンさんが語り始めて2時間くらいたっていたのだ。
彼の自分話しはとどまることを知らず、けっきょく閉店までその人の話しをずっと聞いてたのだ。

その時の酒イさんは、きっと酸欠の金魚みたいな顔をしていたと思うのだ。
目はにごり、口もパクパクしてたかもしれないのだ…。

ほかのBarでもちょくちょく同じように初対面の酒イさんにノンストップで自分の話しをし続ける人がいて、
そのたびに酒イさんはを聞き役に回っていたのだ。

そして帰るころには瀕死の金魚のような表情になってて、にごった目をして口をパクパクさせながら家に帰るのだ。

聞き続けて、とにかくしんどい

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たくさんお話しを聞けたし、相手も楽しそうに話していた。
でも、お家に帰るとどっと疲れがくる。しんどい・・・。
ズウゥン…とした感じで、体重は増えてないのに身体だけ重たくなっている感覚なのだ。

「傾聴ってしんどい」

たぶん酒イさんは傾聴というものを間違って認識していたのかもしれないのだ。

それを気づかせてくれたのは、あるBarで席が隣り合った高齢のマダムさんなのだ。

品の良さそうなマダムさん。グレーヘアでお召し物も上品な感じだったのだ。
なんてことのない世間話しからはじまって、気づけばマダムさんが一方的に話し続ける流れに・・・。

「昔はこのあたりも良い店もあった。今はほんとうにしょうもないお店ばかり。」
「若いあなたには分からないでしょう?ほんとにね、今の若い人はダメ。」

なんだか分からないけど、しだいに酒イさんのこともディスられるような話しの流れになっていたのだ。

途中から話し半分に相づちを打ちながら、酒イさんは気づいてきたのだ。

(ああ…この人は周りの人から話しを聞いてもらえなくなって、それでも誰かに話しを聞いてもらいたい。
だから夜な夜ないろんなBarに出かけては、話しを聞いてくれそうな人を捕まえて自分の話しをしているんだ・・・)

傾聴とは相手との信頼関係を築くのに大事なスキルと言われているのだ。
それは間違いないと今でも思うのだ。

しかし、
一方的に自分の話しをしまくる人は、自分が話しができればそれで満足なので信頼関係もへったくれもないのだ。

ひとつ証拠と言えるものがあるのだ。

Barではあるていど話しをした同士や、顔なじみになったりする人同士は
「なんてお呼びしたらいいですか?」と、そのBarでのニックネームだったりあだ名を聞いてくる人が多いのだ。

名前をたずねてくる場合、その人と友好関係を結びたいという気持ちの現れだと言えるのだ。
そうやって知らない人同士が仲良くなって、徐々に交流を深めていくのだ。

一方的に自分の話しをしまくる人たちには、酒イさんは名前を聞かれたことがないのだ。
相槌マシーンとしての存在である酒イさんの名前など、どうでもよいというわけなのだ。

結論 うわべだけの傾聴は毒!

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「話し上手は聞き上手」

「コミュニケーションの基本はまず相手の話しを聞くことから」

「聞く8割 話す2割」


は、本当だと思うのだ。

でもしんどい。一人になったときにどっと疲れる。
酒イさんのように感じたことがある人は、きっと無理して聞き上手を演じていたからだと思うのだ。

傾聴は、ほんとうに興味のある人仲良くしたいと思った人だけでよいと思うだ。
私たちは聞き役のボランティアではないのだ。

お互いに相手の話しも聞いてみたいという気持ちがないのなら、こちらだけが傾聴する必要はないのだ。

仮に聞き役に徹して仲良くなれた相手がいたとしても、その人との関係はずっと自分が聞き役に回ることによって成り立つ関係でしかないのだ。

もしそれがしんどいと思うのことがあるのなら、その関係は見直したほうがいいと思うのだ。

「聞く8割 話す2割」は相手にもちょっとでもその気持ちがある場合にのみ通用するスキルだと思うのだ。

もしくはこの人の話しを聞いているだけでも楽しい。聞き役に回っていても居心地がいいと思える相手とならいいと思うのだ。

「傾聴のご利用は計画的に」
というお話しだったのだ


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