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ITエンジニアになりたい高校生が大学へ行く時代はもう終わり

「ITエンジニアになりたい高校生が、大学へ行く必要がある」というのは、昨日の価値観です。
現代の日本では、ITエンジニアが大学へ行くのは悪手になりつつあります。少なくとも筆者はそう考えています。
では、ITエンジニアが大学へ進学するという選択は、具体的にどこが間違っているのでしょうか?
結論から申し上げますと、"機会費用の損失"です。

"機会費用"という言葉はご存知ですか?
機会費用とは、ミクロ経済学上の概念で、複数の選択肢のうち一つを選択したことで失った、選択しなかったもう一方の選択肢で得られた利益のことです。

例えば〇〇大学に進学することと、△△社に就職するという二つの選択肢が18歳(高校3年生)のあなたにあったとします。

ここであなたは前者を選択したとします。
大学に進学し卒業まで完了したことで、「〇〇大学卒業」という肩書きを得ることが出来ました。その一方で、△△社に就職していた場合に得るはずだった給料4年分は失います。

この、失った4年分の給料が機会費用です。

筆者が考える、大学進学がNGな理由

私がITエンジニア志望の高校生に就職を勧める理由は、「大学へ行った場合の機会費用の損失が大きすぎるから」です。

先ほどあげた大学進学で失った機会費用の例をもう少し深く考察してみましょう。

大学進学を選択した場合にあなたに起こること


〇〇大学へ進学するという選択を取ることで、あなたに何が起こるでしょうか。具体的には以下の3つが挙げられると思います。

  1. 大学入学から卒業までの4年間を消費する(デメリット)

  2. 大学入学から卒業までの4年間に必要な学費を消費する(デメリット)

  3. "〇〇大学卒業"という肩書きを得ることが出来る(メリット)


それぞれについて詳しくみていきましょう。
1についてですが、当たり前ですが、大学は基本的に四年制です。そのため大学へ進学し卒業まで通うということは、少なくとも4年間は消費することになります。留年するともっと増えます。これはメリットかデメリットかでいうと、明らかにデメリットです。


続いて、2についてです。成績優秀者で学費が免除されるなどの例外はありますが、基本的に大学というのは学費を必要とするものです。
国立・私立、そして理系・文系それぞれに4年間でかかる学費の目安は以下のようになります。

大学4年間の学費は、国公立大学で「約243万円」、公立大学で「約255万円」、私立大学では、文科系が「約398万円」、理科系が「約542万円」

大学の学費は平均いくら?入学料、授業料の総額を分野別に解説 【FP監修】資金を確保する方法(以下記事)

大学でITを学ぶなら情報学部に入るでしょう。
情報学部は理系ですので、文系と比べて比較的学費が高い傾向にあります。
つまり、4年間で数百万単位のお金を消費します。これも1と同様、デメリットに計上出来るでしょう。


3については、最初の機会費用の例でも挙げた、大学進学をするメリットです。"〇〇大学卒業"という肩書きをバックに、就職活動などに挑戦することが出来ます。


これら3つをまとめると、〇〇大学進学を選択した際に主にあなたに以下のことが起こります。

4年間という時間とその分の学費を消費した対価として、〇〇大学卒業という肩書きを手にする。

〇〇というのは変数なので、ここで得られる対価が消費した分の財に比べて大きいか少ないかは変数の値次第(どの大学に進学するか)で決まります。が、多くの場合消費した財(学費・時間)に比べてメリット(肩書き)が大きくなることはないのではないでしょうか。


高校卒業後就職した場合にあなたに起こること

一方で高校卒業後大学へ行かずに就職した場合はどうなるでしょうか。主に以下の3つが起こります。

  1. △△社の給料◻︎◻︎円が4年分もらえる(メリット)

  2. 〇〇大学卒業のために必要な学費を消費しない(メリット)

  3. "〇〇大学卒業"の肩書が得れない(デメリット)


ではこちらも、それぞれについて詳しくみていきましょう。
1について、会社で労働をすれば、必ずその対価が賃金として支払われます。大学へ行く選択をした場合と比べて4年分給料を多くもらえます。これは明らかにメリットです。


2について、上で記述しました通りですが、大学へ行く場合、4年間で約数百万の支出が発生します。就職した場合はこのお金を払わなくて済むため、お金が目に見えて増えるというわけではありませんが、消費するはずだったお金が消費しなくて済む、というメリットを受けられます。


続いて3についてですが、当然のごとく、大学へ進学していないのですから、"〇〇大学卒業"という肩書きを得ることが出来ません。これはデメリットです。


これら3つをまとめると、〇〇大学へ進学せずに△△社に就職した場合主にあなたに以下のことが起こります。

"〇〇大学卒業"の肩書きを捨てる代わりに〇〇大学へ払うはずだった学費と△△社の給与を4年分得る。

ここでも、"〇〇"と"△△"というのは変数ですので、あなたがどの程度の大学に行けるのか、または会社に入れるのかによってリターンは変わってきます。


大学へ進学することで生じる機会費用の損失とは

ここまで、大学へ進学することで起こること、就職することで起こることを記述してきました。
まとめると、大学へ進学することで以下の機会費用の損失が起きます。

  • 18歳から22歳までの4年間労働することで企業から得るはずだった収入を得れない

  • 払わなくて良いはず(払わないという選択も出来たはず)の大学の学費を払う

  • 18歳から22歳までの4年間の時間を消費する

以上の理由から私は、大学へ行った場合の機会費用の損失が大きすぎると判断しています。


どうして"ITエンジニア"志望の高校生は就職すべきなのか

先ほどまでの文章では、ITエンジニア志望の高校生だけに限らず、全高校生に当てはまるようにも思えます。実際私は、ほとんどの高校生は大学に行く必要がないと思っていますが、ITエンジニア志望の高校生には強くそれを提言します。

その理由は、ITは他の職種、学問と比べて、少ない投資で豊富な知識を得ることが出来る分野だからです。
実際に、PC1台あればプログラミングは始められますし、困り事があってもネット検索をかければ十分です。IT関連資格などもありますが参考書を駆使すれば1万円以下の支出で裕に合格することは可能です。プログラミングスクールや専門学校、大学でITを学んだ人よりも、独学で学んだ人の方が知識や技術でも優れていることはよくあります。


このようにITの分野は、豊富な知識をインプットするために投資の量は関係なく、自分の勉強量で左右されます。つまり、高い金額をかけて学ぼうと安く学ぼうと結局はどれだけ自分で学習できるかがITエンジニアとしてのレベルに影響します。


したがって、他の学問よりも手軽に大量の知識をインプットできるITの分野は、特に大学進学の必要性が薄まるのです。


もちろん、何度かこの記事で申し上げていますがこれはあなたがどの程度の学力を有していて、どの大学を目指せるレベルなのかによって答えが変わる問題でもあります。
例えば東京大学情報学部へ合格出来る頭脳をあなたがお持ちであれば、高卒で就職するよりは進学の道を選んだ方が遥かに機会費用の損失を抑えられるでしょう。
そのためこの記事の内容は全ての人に当てはまる話ではなく、「一部の例外を除いて、多くの人に当てはまる」というものですので、ご参考程度に受け止めください。


結論:ITエンジニア志望の高校生は基本情報取って就職しろ!


ここまで、ITエンジニア志望の高校生は大学へ行くべきか?というテーマで記事を書いてきました。結論としては、「基本的には行かない方が得」という解になりました。ではどうやって高校生が即ITエンジニアとして働くのか。私の体験談をもとにお話しすると、基本情報技術者試験を武器に就活すれば99%上手くいく、というのが答えです。


私は2023年3月まで普通科の高校生でしたが、高校在学中に基本情報技術者を取得しそれを武器に就活を行い、その際に内定をもらったIT上場企業のエンジニアとして現在働いています。弊社は高卒枠などは設けておらず、大卒・専門卒などとの争いでしたが内定を掴み取りました。
このように高校生が基本情報技術者試験に受かるというのは、企業からするとかなりの高評価材料なのです。


したがって、基本情報技術者試験を在学中に取得し、それを武器に企業に高卒でも応募可能な企業に応募することが就活を成功させるコツです。
基本情報技術者試験の合格法については、こちらのポストにまとめましたので、是非こちらをご覧ください。

今後とも、高卒エンジニアとして自分の経験談をもとに記事やポストを投稿していきますので、そういった情報が欲しい方はnote、Twitter共にフォローしていただけますと幸いです。





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