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探究学習インタビュー#02 -十文字高等学校✖️アイリスチトセ-

MONO-COTO PROGRAM導入校の十文字高等学校黒田先生と、プロジェクトに協力いただいたアイリスチトセ株式会社社員の皆様に、インタビューをしました。

▼十文字高等学校で実施したプロジェクトの詳細については、こちら
https://note.com/curio_/n/nd16882152006

参加者
◎ アイリスチトセ株式会社
・広報室室長 崔様
・マーケティング部 今津様
・教育事業部 石川様 (以下、敬称は「さん」)
◎ 十文字高等学校 
・黒田先生
◎ 株式会社CURIO SCHOOL 
・角田

左から、今津さん、崔さん、石川さん、黒田先生

角田 今回はプロジェクトオーナーをお引き受けいただき、ありがとうございました。そもそも、なぜ引き受けてくださったのでしょうか。

石川さん  最初は情報教室を改修したい、というお話がきっかけでした。黒田先生から「授業を受けるだけの教室ではなく、生徒と一緒に場を作り上げていきたい」という話を聞き、改修を検討していきました。話を進める中でCURIO SCHOOLさんとの取り組みをご提案いただきました。お話をいただいた時、私も面白いなと思い、CURIO SCHOOLさんのホームページやMONO-COTO INNOVATION(※弊社が支援している中高生向けの創造力を競い合うイベント)のホームページを拝見させていただきました。調べていく中で、今回のプロジェクトを通じて黒田先生は、きっとこういうことをやりたいんだろうな、と感じました。
また、今回のプロジェクトに協力することは、マーケティングや商品開発に絶対生きると思いました。社内で共有したところ、教育事業部長も広報部門もマーケティング部門も賛同してくれました。

今津さん 弊社は「ユーザーイン(※アイリスグループの商品開発で活用されている『ユーザーになりきって真剣に生活し、商品を使い倒すことで、顧客自身も気づいていないニーズを発見し、新しい需要を創造する』という姿勢)」を重視しています。黒田先生とCURIO SCHOOLさんと私どもと、やりたいことがマッチし、そのままの熱量でトントン拍子に話が進んだ感じです。

黒田先生  ユーザーインとデザイン思考は親和性が高いと感じていたのですが、いかがですか。

崔さん 親和性は高いと思います。私が商品企画を担当していたときは、ユーザーを観察するために、ひたすら学校を見に行き、生徒さんの使い方を観察し、おそらくこうだろうと仮説を立てながら商品開発をしていました。今回出てきたアイデアは、今まさに、生徒さんが困っていることを起点に考えられたものです。まさしく「ユーザーイン」の考え方だと思いました。

商品開発について話す崔さん

今津さん 学校の窓口になっている事務室から、集約された生徒さんのご意見を聞くという状況も多いです。今日みたいな場をもっと、もっと設けて、生徒さんの悩み事を直接聞けるといいですね。

黒田先生  では、やはり親和性が高かったんですね。本当にアイリスチトセさんとプロジェクトをやれて良かった。

崔さん  それに、皆さんプレゼンテーションが上手ですね。3分でよくあれだけまとめられるな、と思いました。

黒田先生 スライド作成のために、CANVA (デザインソフト)を使うことは指定しましたが、他に指導はしませんでした。ただ「スティーブ・ジョブズみたいに、かっこいいプレゼンじゃなくていいんだよ」とは伝えましたね。生徒たちなりに考え、寸劇まで発想してきました。
表彰後、泣いてしまった子がいたましたが、泣くぐらい授業で頑張ることは普段なかなか無いと思うんですよね。彼女たちは「選抜クラス」という教科の学習量が多いクラスに所属しています。今回のプロジェクトでは、その子たちに探究学活動の火がついて「全然終わらない!」と葛藤する姿を見ることができました。そこからの今日の涙だったので、生徒にとってとてもいい経験させていただいたな、とすごく強く思います。

角田 授業に関わっていただいた中で、気づいたことがあればお聞きかせください。

崔さん 皆さん、学校に対してめちゃくちゃ不満やニーズがあるんだと思いました(笑) 大人になってしまうと、不満や気づきに鈍感になってしまい、なかなか気付けないですよね。最終プレゼンテーションには残ってませんでしたが、「 階段を滑り台にする」というアイデアを見た時は、確かに、と思いましたね。上り下りが大変なら滑っちゃえ、みたいな(笑)

石川さん  「とりあえず作ってみよう」という班もあれば「不満は出るけどそれを形にするのにはどうしたらいいんだろう」と結構悩まれてる班もありました。授業見学させていただいて、班によって進め方が違うことに驚きました。そのまま進んでいくのかと思ったら、ご提出いただいた動画では全く違うものを提案していたチームもありました。あのときから変えたんだ、というものもあって、驚きましたね。

見学の感想を話す石川さん

崔さん 立ち止まってリセットすることは、すごく勇気がいることですよね。いろいろな葛藤があると思います。それが、生徒さんにとっていい経験になったのかもしれません。

角田  大きな変更やリセットができるのは、すごいことですよね。

黒田先生  いや、そこまでやれるんだと単純に驚きましたね。やはり、1番良かったのは「教員ではない人からアドバイスをもらえる」ということですね。教員からのアドバイスとは、違った印象を生徒たちが受けるんですよね。

角田 黒田先生から見て、アイリスチトセの社員の皆様との関わりで、生徒さんが変化した点や刺激を受けた点はありますか。

黒田先生 刺激と言ったら難しいですね…私は不登校が増えている中で、生徒にとって学校が楽しい空間になってほしいし、授業が楽しいって思ってほしいと日々考えています。いろいろな大人が関わってくれて、みんなのことを見てるよという状況をつくりたいです。日本の学校は企業と距離があると思います。今回、実際に関わってみて、こんなにいい人たちがいるんだとわかりました。アイリスチトセさんのご協力のおかげで、生徒たちが楽しいと思える授業になりました。本当に感謝しかないです。あとは、やはりその企業のことが単純に好きになっちゃいますよね。例えば、ほとんどの生徒は、どこのメーカーが自分たちの机を製造しているか知らないと思います。でも、プロジェクトを進めるうちに、校内にあるアイリスチトセさんの机を見ながら「あ、ちょっと年代が違うな」「モデル違うんだ」とか、小さな違いをすごく感じるようになっていました。「先生!この机『チトセ(アイリスチトセの前身企業)』だよ!」とか報告に来てくれた生徒もいました(笑)。生徒たちに愛着が湧いていっているのを感じましたね。

生徒たちの変化について話す黒田先生

崔さん 私は高校を卒業して20年経ちますが、黒田先生のおっしゃる通り、当時は企業と学校が接点を持つことはほぼありませんでした。企業と協力して授業を作るという発想すらない時代でしたね。今は大学生からインターンがありますが、もっと早い時期にあった方が、子供たちのキャリア形成がうまくいくんじゃないか、と思いますね。 そういう意味では、今回高校2年生の子たちが企業に触れることで、今後のキャリアにとって大きな刺激を与えられたと思います。

角田 まさに先ほど「マーケティングはどこで学べるんですか」と質問にきてくれた生徒さんがいました。イメージではなくて、体感として「マーケティング」を理解し、興味を持つことで、今後の意欲が違ってくると思います。アイリスチトセの社員の皆様は、本日の最終プレゼンテーションをご覧になっていかがでしたか。

今津さん 熱量の感じ方が全然違いました。生徒さんから、一生懸命やろう、伝えようという姿勢がダイレクトに伝わってきました。やらなきゃいけないことをいっぱいもらったな、いう感じがします。全部が全部、 具現化できるかはわからないですが、皆さんが発表してくれたアイデアをきっかけにこんなものができました、と報告したいですね。

生徒のプレゼンの熱量について話す今津さん

崔さん 今日のプレゼンテーションを聞いて、率直に「すごい」と思いました。たった3分の中で自分たちのプロセスも説明しないといけないし、その結果生まれたアイデアも説明しないといけない。 相当練習されてますよね。

黒田先生 プレゼンテーションに関しては、元々学校でもある程度の練習はしていると思います。ただ今回は「先生にプレゼンテーションをするんじゃないんだから、ちゃんと自分たちで練習しなよ」と少しハードルをつけさせていただきました。これもやはり企業にご協力いただいたおかげです。生徒にもかなり響いていたと思います。

角田 クラス選抜後の生徒さんの様子を見ても、企業の方にプレゼンしたい、商品化まで行きたい、と熱量が高いように感じていました。最終プレゼンテーションまでの生徒さんはどんな様子でしたか。

黒田先生 1番心配だったのが、最終プレゼンテーションを実施する期間です。夏休み期間に実施したため、休み期間中に授業の続きがあることでモチベーションを維持できるか心配でした。しかし、彼女たちはものすごく一生懸命で、プロトタイプを1から作り直すチームがいっぱい出てきました。甲子園を目指して野球やってるのと同じ感覚で、「私たちアイリス行くんだ」「企業で発表するんだ」とやっていました。学校だけの力では、クオリティやモチベーションをつくることはできなかったと思います。

石川さん 黒田先生がおっしゃったように、私も生徒さんの熱量をすごく感じました。プレゼンテーションの最後で、ぜひ商品化してみたらいかがですか、こんなもの欲しくないですか、と気持ちを投げかけてくれるのが、すごく良かったです。 生徒さんの熱量やプレゼンテーションが全部想像以上だったため、グランプリを選ぶ時は審査員全員が悩みました。

角田 最後に今回のプロジェクトが貴社のお役に立てたポイントがあれば、教えてください。

今津さん そうですね。実際に商品に落とし込むことが、恩返しだと思ってます。今日のプレゼンテーションを聞いて、これちょっとやってみたいなと思えたこと自体が、生徒さんからいただいたすごくいいプレゼントですね。

石川さん 私も今回のプロジェクトに参加したことは、営業で絶対生きてくる経験だと思います。先生や事務職の方に、生徒さんはこういうことで現場に悩まれてるんですよねと、投げかけることができそうです。

崔さん 生徒が企業と接する機会がない、という話がありましたよね。その逆も同じで、企業が生徒さんの生の意見を聞けることはほとんどありません。今回のプロジェクトで生徒さんの声を聞けたことは、すごく大きい成果です。

(インタビュー・文章 角田)

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